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JKの娘「そういえばこの間、学校でドッペルゲンガー見た」
父「え?でもちょっと待って、ドッペルゲンガー見たら死ぬんじゃない?」
JKの娘「うん。それ以降見てないから、向こうが死んだんだと思う」
#twnovel #本当にあった怖い話
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#twnovel 「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」「厨房の老メイド長です」「それは誰目線で?」「彼女の夫である庭師のジョン目線で」「いいわね」「ちなみに下町の飾り紐売りの娘も世界一美しいです」「誰目線で?」「彼女の一つ年下の幼馴染みの少年の目線で」「今日もいい話を聞かせて貰ったわ」
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父親教室の体験学習でテストが配られた。「30分でそれを解いて下さい」だが看護師が話しかけたり電話を始めたりと邪魔をして、結局誰も解けなかった。苛つく彼らに看護師は言った。「予定をこなしたくても邪魔が入って達成感を味わえない。それが赤ん坊を抱える母親の気持ちです」 #twnovel
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#twnovel 「50年待ってくださいまし」祖母は若い頃、神に求婚されてそう言った。時の概念の違う神は「わかった」と去った。そして50年がたった。孫の私は祖母そっくりだそうだ。神はかわりに私を連れてゆくだろうと皆が嘆いた。あらわれた神は、花嫁衣装の私を素通りし、祖母の墓の前で泣きだした。
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#twnovel 図書館に行くと、背中にナイフを生やしたあからさまな他殺死体が床に転がっていて、うわどうしようと慌てていたら、「あら」と眼鏡の司書さんが冷静に死体を観察し、「これはクリスティね」と棚から本を一冊出して開いた。死体は本に吸い込まれて消えた。「ときどき落っこちてきちゃうのよ」
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#twnovel 人魚姫は王子を浜辺に返す際に、自分の肉をひと切れ削いで、気を失ったままの王子の口に押し込みました。あとはただ待つだけでよいのです。人々が年老い死に国が滅び地上の何もかもがなくなっても、若いまま生き続ける王子は、やがてこの海に戻ってくるでしょう。そのときまで。
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『悲しい事件』
※1ツイート内で完結する小説です。
※再掲載
#140字小説 #掌編小説 #twnovel #創作 #小説
#創作クラスタさんと繋がりたい
#冬の創作クラスタフォロー祭
#小説書きさんと繋がりたい
#物書きさんと繋がりたい
#twitter小説
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#twnovel 本好きの叔父は独り暮らしの家にこれでもかと本を積み上げていた。いったい何百、何千冊あるのか、本人も把握していない。「俺に何かあったら始末を頼むよ」「冗談でしょ」私の返答に叔父は言った。「あの山のどこかに、お前が十五のときに初めて作った同人誌が埋もれてると言っても?」
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#twnovel 「この地獄は何の地獄ですか」「たくさんの書物を積んだまま読まなかった者たちの地獄です。彼らは自らが積んだ書物を読み続けなくてはならない。しかも読んだ端から読んだことを忘れてしまう。彼らは永遠に読み続けなくてはならない」「それって天国じゃないですか」「えっ?」「えっ?」
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#twnovel つい夫を殺してしまった私を助けてくれたのはホームレスの男だった。何の関わりもないのに。「なぜ優しいの」手際よく死体の始末をしながら男が答える。「旦那、浮気してたんだろ」「ええ」「あんたが作ったオニギリを毎朝公園のゴミ箱に捨ててた」「ええ」「オニギリ美味かったよ」
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#twnovel 山の遠足で迷子になって、そいつに会った。「あんた誰なの?」「さあ。神と呼ばれたり化け物と呼ばれたり」「本当は何よ」「呼ばれたものになるだけさ」「じゃあ、お兄ちゃんて呼んだらそうなるの?」「なるよ」そいつはあたしを背負って、麓まで運んでくれた。去年死んだ兄の姿で。
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#twnovel 「もう犬でも猫でも何でもいいから嫁を貰え」養い親である魔法使いは口癖のように俺に言う。「もう人形でも婆でも」「石でも牛でも」「絵でも樹でも」バリエーションは豊富なのに、頑なに「男でも」とは言わないのは、言った瞬間に自分がプロポーズされると薄々気づいているからだろうか。
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#twnovel 「子供の頃からシンデレラの物語が好きだったわ。ある意味でね」老婦人は語る。「皆が私を馬鹿にした。誰も私の夢を理解しなかった。でも私は諦めなかった。頑張って夢を叶えたのよ」「シンデレラになった?」「まさか。魔法使いのおばあさんになったのよ」彼女は女子奨学金の創設者である。
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#twnovel 病院で知り合った老人と賭け将棋をする。元殺し屋だという老人に、僕は勝ちをためては人を殺して貰った。僕をズタボロにして病室に縫い付けた奴らを一人ずつ。あとは僕自身を殺して貰っておしまい、のつもりなのに、今日はなぜか全く勝てない。老人が笑う。「俺ァ仕事は選ぶのさ」
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#twnovel 「海が綺麗だね」と教授。「わん」と犬。「空も綺麗だね」「わん」「空と海しか見えないね」「わん」「ボートにもっと食料を積んでおくべきだったね」「わん」「救助が来るといいね」「わん」「思うんだが、私が君を食べたら一生後悔するけど、逆なら良くないかね」犬は答えない。
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#twnovel 十年後にまた会おうと冗談交じりで約束した喫茶店は勿論もうなかったが、瓦礫の上で奴がキャンプグッズで湯を沸かしていたので笑った。それから泣けてきた。奴がまずい珈琲をすすり、「よく国境を越えられたな」と言った。「建設屋に国境はないのさ」「医者にもな」さあ、国を再興するのだ。
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#twnovel 生まれ変わったらどうしても逢いたい相手がいた。しかし何度も生まれ変わるうちに理由を忘れてしまった。なのに逢いたい気持ちだけが募る。心の奥底から込み上げるこの感情は……。「ところで、お前は私の恋人であったのか敵であったのか」訊くと、やっと逢えた相手は何か凄い表情をした。
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#twnovel 「好きな子に贈るなら花だろ」友人の勧めに従って、毎朝、彼女に花をあげた。花は友人がくれた。彼女には結局フラれた。友人宅を訪れると、友人はいつもどおり庭で泥にまみれてたくさんの花の世話をしていた。「毎日、僕に花をくれてありがとう」僕が言うと、友人の顔が真っ赤になった。
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#twnovel 祖母が、孫みたいな歳の青年と結婚すると言い出した。「だってね、若いころ死んだおじいちゃんの生まれ変わりだって言うんだよ」「嘘に決まってる、財産目当てだよ」「でも、何もかも知ってるんだ。おじいちゃんが本当は事故死じゃなかったことも、犯人が私だってことも、何もかも、全部」
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#twnovel むかし逢った人魚にまた逢いたくて、海に近い場所に喫茶店を開いた。常連になった地元の女性と結婚した。人魚とは二度と逢えなかった。その妻を早くに亡くしたあと、酒の席で義父が言った。「口止めされてたんだけど、元々あいつは養女でな」記憶喪失だったのを浜辺で拾ったんだよ。
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#twnovel 祖父が昔教えてくれた星座があった。誰も知らない、どんな本にも載っていない、祖父がかつて恋人と作ったという二人だけの星座。山間合宿の夜、空を見上げて「あ、四ツ葉のクローバー座」と先輩が言ったのでびっくりした。「昔、おばあちゃんが教えてくれたの」
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#twnovel ケルベロスの仔犬をもらった。小さな体に小さな頭が三つ付いていて、すごく可愛い。「大抵、成長すると頭は一つになっちゃうんだよ」「そうなの?」「可愛い顔をいっぱい見せなくても、複数の口で無理矢理いっぱい食べなくても、ちゃんと大事に愛されて守られると安心できたら、そうなる」