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「山吹」 時は流れてしまったが 忘れはしない 君のこと 陰で支えて 居てくれた 優しい気遣い忘れない 僕は遠くに旅立つと 告げたあの日の 昼下がり シトシト雨の 降る中で 傘に隠れて泣いていた 別れの径で振り向けば 棚田の脇で 手を振った 山吹の花が 咲いていた 僕は忘れない別れさえ #詩紺碧
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「春から夏へ」 季節は常に 移ろいて 春から夏も 駆け足で 端午の節句 過ぎたなら 暦で立夏 最早初夏 五月の空に 風薫り 青葉若葉の 芽吹く頃 木立を撫でる 涼風に 木の葉が揺れて ソヨソヨと 清々しきは 野も山も 川も海もが キラキラと 春の日名残る 五月雨は 降りつ止みつを 繰り返し #詩紺碧
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「常夏の人」 僕の知らない遠い島 ブーゲンビリアが 咲くという 寒さ知らない 常夏の 遥か南に在るという 君が生まれて今も住む 風光明媚な 青い島 珊瑚の海の 人魚姫 もしや君かと思いきや 白い砂浜海見つめ ハイビスカスも 咲くという リボン代わりに 付けたなら お似合いだろう君の髪 #詩紺碧
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「恋の行方」 いつか誰かが言っていた 恋は魔物で 厄介と 楽しさなんて 脆いもの 時に苦しみあるんだと 現を抜かした恋ならば 何も言うまい 語るまい どうせ聞く耳 持たぬだろ 蚊帳の外から眺めよう もしも失恋したとても 愚痴を溢して 嘆くなよ 切れた縁だと 諦めて 笑顔で消しなその炎 #詩紺碧
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「君よ」 遠くの君に逢えたなら 抱いて上げよう この胸に きっと君の ことだから 瞳潤ませ泣くだろう 忘れはしない君のこと 指切り拳万の 細い指 胸寄せ合った 時めきを 何で忘すれるこの僕が 二人に翼があったなら 一緒に空を 翔びながら 僕の住んでる 都会まで 来てはみないか今直ぐに #詩紺碧
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「村のアイドル」 何年経っても忘れない 三つ編み長い 可愛い子 君はアイドル 輝いた 僕らのあこがれ村娘 時にアイドル歌ってた 小高い丘の 一里塚 梢が風に サワサワと リズムを奏で聞こえてた 僕が旅立つその日には 見送りくれた アイドルの 潤んだ瞳 しょんぼりと 陽炎揺れて恋揺れて #詩紺碧
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「恋の欠片」 いつか壊れた恋だけど 欠片がひとつ 残ってた 繋いだその手 温もりが 欠片の中に残ってた 欠片はぽつり呟いた ほかの欠片に 会いたいと そうかと僕は 目を閉じた 僕も逢いたいあの人に 二人の恋が戻らなきゃ 罪ない欠片が 可哀想 僕らに撚りが 戻ったら 欠片と僕に燃ゆる夏 #詩紺碧
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「果てなき青春」 青春とはと問うならば 心に若さ ある限り 幾年その身 重ねるも 青春なりと答うなり めざす航海幾海里 青春名乗る 者ならば 血潮は滾り 湧きいでて 舵取り怒涛越えらるや 愛や恋やの青春は 一喜一憂の 夢語り 望み叶わず 潰えても 燃ゆる気迫は永遠なるや #詩紺碧
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「素敵な女性たち」 君は可憐な山の人 残雪脇の イワカガミ 僕のピッケル 見つめては ヒラヒラ蝶に揶揄われ 君は麗し海の人 しあわせ運ぶ サクラ貝 渚でポッリ 僕を待つ コロコロ波と遊びつつ 君は淑やか里の人 都会を知らぬ ユリの花 僕の帰りを ジッと待つ ユラユラ風の便り待ち #詩紺碧