1
2
「過ぎた恋」
学生当時を 思い出す
授業の席で
ただ一途
ノートを取ってた
女学生
凛々しい横顔 目に浮ぶ
クラスの中でも 一際に
さわやか君は
気立てよし
頭も切れるが
控え目な
皆のマドンナ 窓の際
体育祭で 繋いだ手
握り返して
頷いた
そのときめきを
生かせずに
蛍の光で 過ぎた恋
#詩紺碧
3
「恋の行方」
いつか誰かが言っていた
恋は魔物で
厄介と
楽しさなんて
脆いもの
時に苦しみあるんだと
現を抜かした恋ならば
何も言うまい
語るまい
どうせ聞く耳
持たぬだろ
蚊帳の外から眺めよう
もしも失恋したとても
愚痴を溢して
嘆くなよ
切れた縁だと
諦めて
笑顔で消しなその炎
#詩紺碧
4
「常夏の人」
僕の知らない遠い島
ブーゲンビリアが
咲くという
寒さ知らない
常夏の
遥か南に在るという
君が生まれて今も住む
風光明媚な
青い島
珊瑚の海の
人魚姫
もしや君かと思いきや
白い砂浜海見つめ
ハイビスカスも
咲くという
リボン代わりに
付けたなら
お似合いだろう君の髪
#詩紺碧
5
「村のアイドル」
何年経っても忘れない
三つ編み長い
可愛い子
君はアイドル
輝いた
僕らのあこがれ村娘
時にアイドル歌ってた
小高い丘の
一里塚
梢が風に
サワサワと
リズムを奏で聞こえてた
僕が旅立つその日には
見送りくれた
アイドルの
潤んだ瞳
しょんぼりと
陽炎揺れて恋揺れて
#詩紺碧
6
「君よ」
遠くの君に逢えたなら
抱いて上げよう
この胸に
きっと君の
ことだから
瞳潤ませ泣くだろう
忘れはしない君のこと
指切り拳万の
細い指
胸寄せ合った
時めきを
何で忘すれるこの僕が
二人に翼があったなら
一緒に空を
翔びながら
僕の住んでる
都会まで
来てはみないか今直ぐに
#詩紺碧
7
「山吹」
時は流れてしまったが
忘れはしない
君のこと
陰で支えて
居てくれた
優しい気遣い忘れない
僕は遠くに旅立つと
告げたあの日の
昼下がり
シトシト雨の
降る中で
傘に隠れて泣いていた
別れの径で振り向けば
棚田の脇で
手を振った
山吹の花が
咲いていた
僕は忘れない別れさえ
#詩紺碧
8
「恋の欠片」
いつか壊れた恋だけど
欠片がひとつ
残ってた
繋いだその手
温もりが
欠片の中に残ってた
欠片はぽつり呟いた
ほかの欠片に
会いたいと
そうかと僕は
目を閉じた
僕も逢いたいあの人に
二人の恋が戻らなきゃ
罪ない欠片が
可哀想
僕らに撚りが
戻ったら
欠片と僕に燃ゆる夏
#詩紺碧
9
「春から夏へ」
季節は常に 移ろいて
春から夏も
駆け足で
端午の節句
過ぎたなら
暦で立夏 最早初夏
五月の空に 風薫り
青葉若葉の
芽吹く頃
木立を撫でる
涼風に
木の葉が揺れて ソヨソヨと
清々しきは 野も山も
川も海もが
キラキラと
春の日名残る
五月雨は
降りつ止みつを 繰り返し
#詩紺碧
10
「君が育まれた町」
君が育まれたその町に
行ってみたいな
是が非でも
今頃桜も
満開で
君を彷彿させてかな
君の暮らした幾年が
何処にあるのか
その町の
君の歴史の
走馬燈
回って見せて欲しいもの
君がいつか言っていた
鄙びた町が
故郷と
それはそれでも
構わない
君の面影あるのなら
#詩紺碧
11
「果てなき青春」
青春とはと問うならば
心に若さ
ある限り
幾年その身
重ねるも
青春なりと答うなり
めざす航海幾海里
青春名乗る
者ならば
血潮は滾り
湧きいでて
舵取り怒涛越えらるや
愛や恋やの青春は
一喜一憂の
夢語り
望み叶わず
潰えても
燃ゆる気迫は永遠なるや
#詩紺碧
12
【桜の花・卒業】
幾年過ぎても 忘すられぬ
白い校舎の
仲間たち
ともに学びし
青春は
桜の花と あった日々
友情きずいた 通学路
桜の蕾
さようなら
君も泣いてた
卒業日
花の開花を 見ぬ儘に
町を見下ろす 駄馬の丘
白い校舎を
眺めては
仲間と語らい
組んだ肩
最後の校歌の 懐かしき
#詩紺碧
13
「晩春」
あれから随分過ぎたから
もう覚えては
いないだろ
広げた僕の
腕の中
駆けて来た頃深い春
長閑に春は行くけれど
僕は行けない
君おいて
そんな昔の
一言に
皐月の花も燃えていた
春を名残りて又惜しみ
あの日の君は
煌めいて
呼び名は はつな
漢字では
初夏 と書くのと急ぎ足
#詩紺碧
14
「素敵な女性たち」
君は可憐な山の人
残雪脇の
イワカガミ
僕のピッケル
見つめては
ヒラヒラ蝶に揶揄われ
君は麗し海の人
しあわせ運ぶ
サクラ貝
渚でポッリ
僕を待つ
コロコロ波と遊びつつ
君は淑やか里の人
都会を知らぬ
ユリの花
僕の帰りを
ジッと待つ
ユラユラ風の便り待ち
#詩紺碧
15
「晩夏」
森の木立は 風に揺れ
旅立つ夏に
サヤサヤと
ともに行くのか
法師蝉
空には夏と 秋の雲
何方の声か 古里の
歌が流れる
丘の上
帰らぬ君の
囁きも
歌って欲しい 行く夏に
君は何処ぞ 空の果て
待つ当もなく
陽は落ちて
軒端の燈
君恋ひて
夏の名残の 夕べかな
夏の名残の夕べかな
#詩紺碧
16
「さすらい」
桜の花は咲いたけど
あの日の君は
もう居ない
ああ やがて散る
儚さに
別れを重さね眺めいる
想い出たどり行く旅は
先の見えない
長い旅
ああ 面影を
忘れ得ず
独りとぼとぼ何十里
続く旅のその途上
水面に浮かぶ
花びらを
ああ 見つめては
涙する
この世のさだめ悲しかな
#詩紺碧
17
「昔に戻れたら」
もしも昔に戻れたら
逢ってみたいな
お下げの子
僕の姿を
見掛けたら
初な顔して照れるかな
幼なじみの二人にも
仄かな恋も
あったやら
あれから何年
お下げの子
駆けて来るかな僕の側
共に語るも遊ぶのも
それも有りだが
春の夢
桜の花の
一枝を
飾って上げたいお下げ髪
#詩紺碧
18
「いい女」
君は素敵ないい女
誰もが慕って
来るでしょう
くれない春の
陽のような
長閑さ想わす 人だから
君は可愛いいい女
誰もが寄って
来るでしょう
黄色い帽子の
菜の花の
温もり感じる 人だから
君は綺麗でいい女
誰もが恋を
するでしょう
爛漫春を
然とする
色彩兼備な 人だから
#詩紺碧
19
「縁があったら」
別れとなれば
仕方ない
サヨナラなんて
言わないで
黙って行けば
いいものを
名前も呼ばず
声掛けず
後ろ姿に
手を振ろう
またも何処で
知らぬ間に
ふたたび袖が
触れたなら
手繰り寄せましょう
赤い糸
縁は異なもの
味なもの
何処で泣くやら
笑うやら
#詩紺碧
20
「ひ弱じゃない」
僕が歩いた この道を
一人で歩いて
みてごらん
山坂茨も
多いけど
汗と涙の
その先に
苦労の成果が
待っている
光輝き 待っている
君を伴い アルプスの
表銀座の
縦走だ
岩壁ガレ場の
稜線に
臆病風は
吹かすなよ
見事縦走
幾峰で
もうひ弱な 君じゃない
#詩紺碧
21
「君と秋」
あの日の君は 今何処に
幾年過ぎても
忘れない
秋たけなわの
燃ゆる里
繋いだ君の手 温もりを
ともに見つめた 花の園
思い出します
遠い日々
長い睫毛の
横顔に
やわい口づけ 過ぎた秋
コスモス畑の その中で
あの日の君に
逢ったなら
摘んだ一輪
黒髪に
飾ってあげよう 花の秋
#詩紺碧
22
「雪の子」
鉛色した 大空に
少女の声が
木霊する
冬将軍の
靴音に
合わせて北から 雪景色
昨日も今日も 降る雪と
白い少女が
戯れる
もしや雪ん子
妖精か
将又将軍の 姫さまか
残雪かがやく 峰越えて
将軍少女は
北へ去り
里はほどなく 花便り
#詩紺碧
23
「風に願いを」
どれ程縁があったのか
仮想の世界の
その貴女
不治の病に
冒されて
病床だとは 聞いたけど
貴女の歩いた長い旅
楽しい語りの
続きさえ
最早聞けない
幻か
何とも切ない 秋の昏れ
貴女の帰り手を広げ
いつの日までも
待ってると
伝えて欲しい
そよ風よ
海山越えて 窓開けて
#詩紺碧
24
「君は蜻蛉」
君は蜻蛉と同じだと
僕はいつも
思ってた
寄れば逃げるが
又来ては
僕の周りを飛び回る
時には側で立ち止まり
僕を見つめて
居るのかと
思えばやがて
遠ざかる
何と不思議な君だった
秋が進んで行く中で
いつか君は
居なくなり
真っ赤で麗し
アキアカネ
僕の目先でホバリング
#詩紺碧
25
「忘れ得ぬ君」
そこに君が 居るのなら
僕は直ちに
駆けて行く
花野の径か
城山か
教えて欲しい 秋景色
もしも君に 逢えたなら
両手広げて
迎えたい
果てなく広い
青空と
優しい雲の その下で
澄んだ瞳に 片えくぼ
時は過ぎても
忘れない
爽やか秋は
束の間に
思い出残し 行くけれど
#詩紺碧