1
2
「星空に泪」
私永遠に 生きたいと
言ってた君は
なぜ死んだ
美人薄命と
言うけれど
数奇な運命 君までも
あの日嵐が 来なければ
あの日あの道
避けてれば
今頃君は
しあわせに
星空眺めて 僕のそば
儘にならない 運命に
翻弄されて
星となり
見つめているのか
僕のこと
瞬きながら 何年も
#詩紺碧
3
「晩夏」
森の木立は 風に揺れ
旅立つ夏に
サヤサヤと
ともに行くのか
法師蝉
空には夏と 秋の雲
何方の声か 古里の
歌が流れる
丘の上
帰らぬ君の
囁きも
歌って欲しい 行く夏に
君は何処ぞ 空の果て
待つ当もなく
陽は落ちて
軒端の燈
君恋ひて
夏の名残の 夕べかな
夏の名残の夕べかな
#詩紺碧
4
「あの夏」
もしも僕が鳥ならば
過ぎた夏の日
追いかけて
南に向かい
飛ぶでしょう
海原見下ろしただ一路
はるか南の砂浜で
あの夏の日を
見つけたら
直ぐに思い出
探すでしょう
あの日の君とあの海の
やがて夏が暖流と
ともに日本に
向かうなら
僕も一緒に
帰ります
思い出連れて君連れて
#詩紺碧
5
「君は蜻蛉」
君は蜻蛉と同じだと
僕はいつも
思ってた
寄れば逃げるが
又来ては
僕の周りを飛び回る
時には側で立ち止まり
僕を見つめて
居るのかと
思えばやがて
遠ざかる
何と不思議な君だった
秋が進んで行く中で
いつか君は
居なくなり
真っ赤で麗し
アキアカネ
僕の目先でホバリング
#詩紺碧
6
「秋の里」
錦秋の里は 透き通り
日差しは白く
降り注ぐ
温もり遠き
父母よ
クヌギに泪の 我が家跡
連なる山の 頂の
先は紺碧
秋の空
友らを思いて
名を呼べば
声の限りの 木霊かな
黄昏なれば 鳴く虫の
悲しさひびく
幾年か
思い出だけの
山里に
ポツポツ灯る 軒明かり
#詩紺碧
7
「忘れ得ぬ君」
そこに君が 居るのなら
僕は直ちに
駆けて行く
花野の径か
城山か
教えて欲しい 秋景色
もしも君に 逢えたなら
両手広げて
迎えたい
果てなく広い
青空と
優しい雲の その下で
澄んだ瞳に 片えくぼ
時は過ぎても
忘れない
爽やか秋は
束の間に
思い出残し 行くけれど
#詩紺碧
8
「君と秋」
あの日の君は 今何処に
幾年過ぎても
忘れない
秋たけなわの
燃ゆる里
繋いだ君の手 温もりを
ともに見つめた 花の園
思い出します
遠い日々
長い睫毛の
横顔に
やわい口づけ 過ぎた秋
コスモス畑の その中で
あの日の君に
逢ったなら
摘んだ一輪
黒髪に
飾ってあげよう 花の秋
#詩紺碧
9
「妖精」
頃は錦秋の 山の里
黄金のリボンの
女の子
木の葉を眺め
微笑んで
なぜに独りで 森の中
木の葉が風に 揺れる時
真っ赤なモミジの
樹の下で
あの子が踊る
ヒラヒラと
木の葉が風に 舞う様に
やがて枯れ木の 森の中
カサコソ落ち葉と
戯れる
夢か現か
幻か
もしやあの子は 妖精か
#詩紺碧
10
「人生街道」
苦しいだとか辛いとか
不平不満や
愚痴ばかり
言っていないで
腹据えて
元気に歩こう前向いて
生きてる限り人間の
歩む道には
苦難あり
平々凡々
いいけれど
苦難に勝てば輝くさ
性根を据えて歩くなら
たとへ躓き
転んでも
立ち上がれるさ
君ならば
人生街道なんの其の
#詩紺碧
11
「風に願いを」
どれ程縁があったのか
仮想の世界の
その貴女
不治の病に
冒されて
病床だとは 聞いたけど
貴女の歩いた長い旅
楽しい語りの
続きさえ
最早聞けない
幻か
何とも切ない 秋の昏れ
貴女の帰り手を広げ
いつの日までも
待ってると
伝えて欲しい
そよ風よ
海山越えて 窓開けて
#詩紺碧
12
「望郷」
都会の街に 憧れて
上京しては
みたけれど
喧騒渦巻く
人の波
右住左住の 日々ばかり
ビルの谷間に 囲まれて
この身を削り
幾年か
望みは叶わず
街角で
故郷をしのび 空あおぐ
華やぐ心は すでになく
望郷の念は
募るのみ
遠い故郷の
父母の
老いは如何にと 泪する
#詩紺碧
13
「過ぎた恋」
学生当時を 思い出す
授業の席で
ただ一途
ノートを取ってた
女学生
凛々しい横顔 目に浮ぶ
クラスの中でも 一際に
さわやか君は
気立てよし
頭も切れるが
控え目な
皆のマドンナ 窓の際
体育祭で 繋いだ手
握り返して
頷いた
そのときめきを
生かせずに
蛍の光で 過ぎた恋
#詩紺碧
14
「春の夢」
夢を見ました 春の夢
桜の花の
木の下に
少女の儘で
変わらない
お下げの髪の君が居た
僕に気付いて
駆けて来る
桜の花びら 身に纏い
すでに薄れて いた筈の
里の景色や
お下げまで
昔の儘でよみがえり
帰っておいで と
ささやいた
長閑な春の
夢を見た
可愛い君の 夢を見た
#詩紺碧
15
「お月様」
広い夜空のお月様
独りぽっちで
淋しかろ
泣いたあの子も
今夜から
独りぽっちさ 恋失くし
あの子の家の屋根の上
冬の十五夜
お月様
あの子を明かりを
注いだら
似た者同士と 包みなよ
やがて薄れるお月様
独りのあの子を
思うなら
月の女神や
かぐや姫
合わせて夢を 語りなよ
#詩紺碧
16
「夢を見た」
夢を見ました 君の夢
可愛い笑顔の
夢を見た
くれない春の
陽のような
ほのぼの君の 夢を見た
夢を見ました 旅の夢
優しい君と
旅をして
春の日差しの
長閑さに
君と同じと 知った夢
夢を見ました 嫁ぐ夢
綺麗な君の
嫁ぐ夢
潤ませ
僕を見て
花嫁衣裳で 行った夢
#詩紺碧
17
「雪の子」
鉛色した 大空に
少女の声が
木霊する
冬将軍の
靴音に
合わせて北から 雪景色
昨日も今日も 降る雪と
白い少女が
戯れる
もしや雪ん子
妖精か
将又将軍の 姫さまか
残雪かがやく 峰越えて
将軍少女は
北へ去り
里はほどなく 花便り
#詩紺碧
18
「いい女」
君は素敵ないい女
誰もが慕って
来るでしょう
くれない春の
陽のような
長閑さ想わす 人だから
君は可愛いいい女
誰もが寄って
来るでしょう
黄色い帽子の
菜の花の
温もり感じる 人だから
君は綺麗でいい女
誰もが恋を
するでしょう
爛漫春を
然とする
色彩兼備な 人だから
#詩紺碧
19
「ひ弱じゃない」
僕が歩いた この道を
一人で歩いて
みてごらん
山坂茨も
多いけど
汗と涙の
その先に
苦労の成果が
待っている
光輝き 待っている
君を伴い アルプスの
表銀座の
縦走だ
岩壁ガレ場の
稜線に
臆病風は
吹かすなよ
見事縦走
幾峰で
もうひ弱な 君じゃない
#詩紺碧
20
【桜の花・卒業】
幾年過ぎても 忘すられぬ
白い校舎の
仲間たち
ともに学びし
青春は
桜の花と あった日々
友情きずいた 通学路
桜の蕾
さようなら
君も泣いてた
卒業日
花の開花を 見ぬ儘に
町を見下ろす 駄馬の丘
白い校舎を
眺めては
仲間と語らい
組んだ肩
最後の校歌の 懐かしき
#詩紺碧
21
「縁があったら」
別れとなれば
仕方ない
サヨナラなんて
言わないで
黙って行けば
いいものを
名前も呼ばず
声掛けず
後ろ姿に
手を振ろう
またも何処で
知らぬ間に
ふたたび袖が
触れたなら
手繰り寄せましょう
赤い糸
縁は異なもの
味なもの
何処で泣くやら
笑うやら
#詩紺碧
22
「さすらい」
桜の花は咲いたけど
あの日の君は
もう居ない
ああ やがて散る
儚さに
別れを重さね眺めいる
想い出たどり行く旅は
先の見えない
長い旅
ああ 面影を
忘れ得ず
独りとぼとぼ何十里
続く旅のその途上
水面に浮かぶ
花びらを
ああ 見つめては
涙する
この世のさだめ悲しかな
#詩紺碧
23
「君が育まれた町」
君が育まれたその町に
行ってみたいな
是が非でも
今頃桜も
満開で
君を彷彿させてかな
君の暮らした幾年が
何処にあるのか
その町の
君の歴史の
走馬燈
回って見せて欲しいもの
君がいつか言っていた
鄙びた町が
故郷と
それはそれでも
構わない
君の面影あるのなら
#詩紺碧
24
「昔に戻れたら」
もしも昔に戻れたら
逢ってみたいな
お下げの子
僕の姿を
見掛けたら
初な顔して照れるかな
幼なじみの二人にも
仄かな恋も
あったやら
あれから何年
お下げの子
駆けて来るかな僕の側
共に語るも遊ぶのも
それも有りだが
春の夢
桜の花の
一枝を
飾って上げたいお下げ髪
#詩紺碧
25
「晩春」
あれから随分過ぎたから
もう覚えては
いないだろ
広げた僕の
腕の中
駆けて来た頃深い春
長閑に春は行くけれど
僕は行けない
君おいて
そんな昔の
一言に
皐月の花も燃えていた
春を名残りて又惜しみ
あの日の君は
煌めいて
呼び名は はつな
漢字では
初夏 と書くのと急ぎ足
#詩紺碧