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ここは都内某所 脅威の依頼解決率を誇る超有名探偵事務所――
#源怪異探偵事務所
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「やあ、いらっしゃい。待ってたよ」
「眠そうだって? はは、昨日まで大きな依頼が入っていてね」
「今日からは休暇の予定だし、徹夜仕事なんて珍しくもないから大丈夫だよ」
「それに忙しさで言えば、記者だって似たようなものだろ?」
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「例の旅館に関する情報、そこにまとめておいたよ」
「……え、どこかわからない? あぁごめん、最近忙しくて片付けが追いつかなくてさ」
「他の依頼の資料も散らばっちゃってるけど……。お前なら構わないから、ちょっと探してみて」
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事務所内には様々な物品が散らばっている。
気になるのは……。
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可愛らしいデザインの日記帳だ。
どこかに落としたのか汚れが酷く、踏みつけた靴の跡がついている。
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中には丁寧な文字で日々のささやかな出来事が綴られている。
『今日は鉢植えの花が咲いた』『友達とお出かけ』『かわいい猫を見つけた』
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……しかし日記は突然途切れ、代わりに違う誰かの筆跡で落書きがされているようだ。
『いなくなっちゃえ』
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「ああ、それは旅館とは関係ないよ」
「大切な人から貰った日記帳を見つけてほしい、って依頼を受けてね」
「見つかりはしたんだけど、ご覧の通り……どうも職場環境が良くないらしいな」
「良い転職先の目星がついたから今度見学に行って来る、って言っていたけど、どこに……」
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――コンコン!
「ん?」
「誰か来たね、飛び込みの依頼かな」
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「あれ、お客さんが居る。こんにちは」
「僕はちょっと忘れ物取りに来ただけなのですぐに出て行きますよ。いやぁ、実は明日から幼馴染と旅行で!」
「二人っきりで温泉旅行、これはもうするしかない。ゴールイン……」
「所長はせいぜい灰色の休日出勤楽しんでくださいね。じゃ!」
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「幼馴染と温泉旅行、ね……」
「ああ、今のはうちの所員だよ。彼も今日から休暇の予定なんだ」
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月刊モーという怪しげな雑誌が置いてある。
とある記事に栞が挟んであるようだ。
UMAの特集……?
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「例の旅館ではUMAの目撃情報が後を絶たなくてね」
「現地へ行くなら捕まえてみる? 臨時収入になるかもよ」
「はは、冗談冗談」
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さて、次は何を調べようか。
🐈調査の続きは明日の20時から🐈
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古いカセットテープだ。再生してみよう。
……幼い頃に神隠しに遭って山奥の不思議な旅館に迷い込んだ男性が、どこか嬉しそうに当時の体験談を語っている。
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『――結局、そうやって俺は人里に戻って来たんですけどね』
『あの時俺を逃がしてくれた女の子のことが、どーしても忘れられなくってさぁ~』
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『二度とここへ来てはダメよ、なんて言われたが……俺はいつか、あの子と再会するのが夢なんですよ』
『あんな美人にまた会えるなら、猫になってもイイ……ッ!!』
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「ヒトならざるものに惹かれるなんて、変わった性癖の男だよね」
「全く共感出来ないな」
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さて、次は何を調べようか。
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昼のニュースが流れている。
東と西それぞれの極道者を束ねる組織、その会長達の娘と息子が顔を合わせて食事をしたらしい。
東西の裏社会統一のための政略結婚を視野に入れたお見合いなのでは、と囁かれているが……。
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『アホらし。この時代に政略結婚なんかあるわけないやろ』
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『え、しないんですの?』
『え?』
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「わあ、なんてどうでもいいニュースだろう」
「チャンネル替えとくね~」
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さて、次は何を調べようか。
🐈調査の続きは明日の20時から🐈
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