2
「え、ひとりで行くの? せっかくの休みなのに付き合わせたら悪いって?」
「でもほら、二人の方が怪しまれないかも……行きの列車のチケットをもう取ってある?」
「そっかー……光がしっかり者でお兄ちゃん誇らしいよ……」
「うん、じゃあまたね。気を付けてね」
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「……と、これで僕が調査したことは全部かな」
「どうする? ここから先は実際に旅館に行ってみるしかないと思うけど」
「依頼してくれるなら、僕が一緒に……」
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「そっか。そういう直感は大切にしたほうが良い」
「まだ情報が無いからって、そこに居ないと決まったわけじゃないからね」
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アイツがカメラを置いて消えるわけがねー。
きっと何かあったんだ、向こうで……。
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職場の奴らもそう言ってる。どうせ仕事がツラくて逃げたんだって。
でも……。
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「それから、探してるっていう同僚のカメラマンのことだけど……」
「今のところその子が旅館に滞在しているという核心的な情報は得られなかった」
「その子が自分の意志で消息を絶った、ということは無いのかな」
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探し人の残して行った物。
これはオレが持って来たものだ。
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これで所内の調査結果は一通り見ることが出来た。
最後に探し人に関する話を聞いてみよう。
🐈最後の調査結果は明日の20時30分から🐈
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「かわいいよね、大きい猫」
「なんでも満月の夜になると踊りだす珍しい猫だったとか」
「結局この子は見つからなかったようだけど……最近、例の旅館付近で同じ特徴の猫の目撃情報が上がっているらしいよ」
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黄ばんでボロボロのチラシが置いてある。迷い猫のチラシだ。
猫が迷子になったのは、どうやら10年以上昔のようだ…。
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さて、残りはこの古いチラシだけだ。
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「行方不明の子供に似た人物が当時の姿のまま例の旅館に居る、……って噂があるんだ」
「……どういうことなんだろうね?」
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原因は不明とされているが、当日当夜、現場から逃げ去る小さなふたつの影が目撃されている。
しかし、当時サーカス団に在籍していた子供は動物たちの世話係1名のみであり、事件以降行方不明。
子供はペットの黒猫を特に可愛がっていたそうだ。
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50年前の新聞記事だ。
全国を興行して回っていた人気サーカス団のテントに、深夜突然大きな火の手が上がりたちまち全焼してしまったらしい。
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さて、次は何を調べようか。
🐈調査の続きは明日の20時から🐈
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「わあ、なんてどうでもいいニュースだろう」
「チャンネル替えとくね~」
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『え、しないんですの?』
『え?』
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『アホらし。この時代に政略結婚なんかあるわけないやろ』
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昼のニュースが流れている。
東と西それぞれの極道者を束ねる組織、その会長達の娘と息子が顔を合わせて食事をしたらしい。
東西の裏社会統一のための政略結婚を視野に入れたお見合いなのでは、と囁かれているが……。
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さて、次は何を調べようか。
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「ヒトならざるものに惹かれるなんて、変わった性癖の男だよね」
「全く共感出来ないな」
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『二度とここへ来てはダメよ、なんて言われたが……俺はいつか、あの子と再会するのが夢なんですよ』
『あんな美人にまた会えるなら、猫になってもイイ……ッ!!』
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『――結局、そうやって俺は人里に戻って来たんですけどね』
『あの時俺を逃がしてくれた女の子のことが、どーしても忘れられなくってさぁ~』
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古いカセットテープだ。再生してみよう。
……幼い頃に神隠しに遭って山奥の不思議な旅館に迷い込んだ男性が、どこか嬉しそうに当時の体験談を語っている。
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