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#天使週間 やたらと天使が登場する画題として有名なのが「ヤコブの梯子」です。なんでも天界には大気がないので翼は意味をなさず、ゆえに梯子の出番なのだとか。軌道エレベーターみたいなものなのでしょう。神学論争は実に面白き哉、と。
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#天使週間 天使の剣はフランベルジュというトピックがありましたが、あれはもっぱら対人用のようです。悪魔相手になると槍や片手剣を描く例が多く、使い分けがされているのであります。聖書の記述と絵画制作上の約束事は両立するのか。興味深いのであります。
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#天使週間 16世紀中頃に英国で鋳造されていた金貨。悪魔を倒す大天使ミカエルという意匠ゆえに通称「エンジェル金貨」といいます。あの当時の戯曲などでよく「天使にはとんと縁がござんせん」などと悪党がほざいたりするのは金貨とのダブルミーニング。縁削り防止のギザが摩耗しているのも生々しや。
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#天使週間 10月2日は守護天使の祝祭日です。夜、細い道を歩く子供の足元にヘビがいても、それに気づかせることなく正しい道を歩ませるのがかれらの職能とのこと。事故るときは、人間サイドが天使の警告を無視した結果なのであります。強力な守護天使になると第三者が認識できるとの説も。面白や、と。
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#天使週間 アンデルセンの慰霊童話「天使」に登場する天使は厳密には守護天使ではないのですが、数々の挿絵が人の心に残り、全体として守護のイメージを醸し出します。カウルバッハはすでに紹介しましたので、それ以外を若干。
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#天使週間 さらに天使の剣。リッピが描くミカエルはファルシオン(だと思います)を手にしています。英国ですとワーム特効のファルシオンが伝わっていたりしますので、この絵もなんらかの特定モンスター(あるいはドラゴン)を想定しているのかもしれません。
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#天使週間 信仰を同じくする男女のもとに天使が派遣され神意をもって結ばれるとする美しい発想は、ときどき人間サイドの(天使さまのほうが素敵)というツイストで破綻するのであります。スウェデンボルグ系のお約束といえましょうか。絵はトレイル・ローズ。
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#天使週間 細い橋を渡る子供たちと守護天使。この構図は多色刷り絵葉書でさんざん利用されたあと、19世紀末頃から実写化されてさらに大量投下されていきます。一応「幸運絵葉書」の範疇にあるような。商業レベルでの天使のイメージの固定化の資料として。