西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(新しい順)

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雑。リチャーズの『ハーディーガーディー』には奇妙な展開の詩が多くて楽しいのであります。孔子に昼食をおごってもらおうと中国に行ったグリフィンとガーゴイル、路上オルガンを演奏するゴルゴンと目が合って石になるという無説明暴走ファンタジーがこれ。ジョー・モーラの挿画もいい感じです。
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恐竜。ローラ・E・リチャーズ『ハーディーガーディー』(1902)から「イクチオサウルス」。思いっきり子供向けにアレンジされた例といえましょうか。学校にも行かない、歯医者さんにも用がない、と気ままなライムが展開されていきます。
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雑。19世紀。妖精やドラゴンのフェアリーテイルを古臭いものとして排除し、より現実的な児童の読み物を目指す風潮が見られるわけですが、やはりモンスターは欲しいということで恐竜に白羽の矢が立ったようです。古代の怪物がどこかに生き残っているかも、と。図は1880年のチャターボックス誌から。
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雑。curfew 夜間外出禁止令はフランス語の couvre-feu 消火が語源で、もともとは就寝前に竈や暖炉の火を落とす合図の鐘の音だったとのこと。ノルマン征服とともにこの習慣が英国に持ち込まれ、やがて意味もほとんど忘れ去られ、不気味な鐘の音として田舎の一部で継承されていったそうですーー
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先の角飾りで思い出したのがアゾレス諸島のカポーテ、いわゆる「アゾレアンフード」。こちらの紹介記事によると「古今東西、女性が着用した頭部用スーパーストラクチャーでこれを超えるものはない」。実際に見るとものすごく可愛いんだそうです。『グッドワーズ』誌1889年から。
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衣装。19世紀のレバノンにてよく見られた女性の外出姿。頭に一本角の装飾帽をかぶってフードをまとうとこのようなシルエットになったそうで、なかなかの雰囲気だったとのこと。1899年のチャターボックス誌から。
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雑。詠唱の有効範囲というトピックに関して、参考になるのが教会内の音響設計。ロンドンとその周縁に51もの教会を設計・建立したクリストファー・レンによると「中くらいの声量が届く範囲は話者から前方50フィート、両サイドに30フィート、後方に20フィート」とのことーー
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さて七夕、ということで恒例のリンダー「スターラヴァーズ」(1895)の図を。年いちのデートで気合を入れてドレスアップした織女。そこにのこのこ普段着で現れる彦星。もはや対岸のモブと化した男に向けられる冷たい視線が怖いです。
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英国の一部で行われた樹木呪術。  トネリコ等の若木を縦に裂いて体の弱い赤子をくぐらせる。それから裂いた若木を釘などで縫合する。若木がその後も順調に成長すれば赤子も健康に育つ。… twitter.com/i/web/status/1…
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化け物の 正体見たり 枯れ尾花  ーー也有 同じくミラー編纂の句集から。「ゴブリン」「ホブゴブリン」が有する語感というかイメージというかは、他文化圏の相当物を知ることで補完されるのかもしれません。
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麦藁の 家してやらん 雨蛙 ーー智月 ミラー編『日本のリトルピクチャーズ』(1925)はキャサリン・スタージスの挿画もいい感じの英訳句集であります。音節の五七五で翻訳する離れ業は名人芸の域でしょうか。面白や、と。
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暦。七月四日は独立記念日、ということで幸運絵葉書も存在しますがデザインが面白いのです。蹄鉄はともかく忘れな草と四葉のクローバー(?)の意図するところがわかりにくい。単にラッキーアイテムを並べただけではないようなーー
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さて七月。先月の「カニ乗り」に続いて「獅子乗り」おやじの登場であります。「手に大鎌、腰に丸鎌、すべての衣をかなぐりすてて」と描写にありますが、そのまま描くと問題ですので画家たちが忖度しております。絵は1849年のロンドンアルマナックから。周囲の遊ぶ中高年たちもいい味出してます。
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妖精。赤子に妖精たちが贈り物をします。歌の才能を与えるというのです。赤子の母親が「幸せを与えていただけませんか?」と頼みますがそれは難しいと言われます。歌の才能は悲しい目に遭えば遭うほど開花するから、と。ヒューム『妖精年代記』(1911)の「悲しい歌」の一場面であります。
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雑。ダイコン系野菜が地中にて妙な形に生育する現象。西洋でも珍事として注目されていて、なかにはマンドレイクなみの扱いをされるものも。図のお手々大根は1672年にオランダのハールレムにて採取されたそうで、見世物として評判を呼んだそうです。カッセル社『世界の不思議』(1883)から。
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雑。猫楽譜をもうひとつ。挿絵入り楽譜は珍しいものではありませんが、デザインが五線譜にまで入りこむのは少数派かもしれません。結果として読みにくくなっては本末転倒でしょう。いずれにせよ蓄音機の普及によりシートミュージック市場が縮小したため、遊び心がある楽譜も少なくなった模様。
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暦。6月25日は船員の日、ということで関連伝承。 ・船上のウサギは嵐を呼ぶので不吉 ・船員の妻は夫の安全祈願として黒猫を飼うこと多し ・難破船からの漂流物に触ると不吉 ・風の値段は6ペンス 風売りの魔女が風を結んだロープを6ペンスで販売していたとの記録があるのです。
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珍品。19世紀末(?)の猫楽譜。よくみると音符も猫だったり小鳥だったり。シートミュージック全盛時にはこうした絵入り楽譜も多かったようです。swallow a swallow はなかなかのインパクト。 魔法資料収集の途上でときどき妙なものに遭遇しますのでこうして報告しておく次第。
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雑。付喪神の英訳語がいまひとつ難しいのであります。だいたいの文献は tsukumogami で済ませていて、たまに artifact spirits などが散見される程度。図はニト&ワグネル『日本のユーモア』(1903)にあった「家庭用品の夜宴」。雰囲気はようございます。
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雑。以前も紹介しました1709年の空飛ぶ船。前後の球体磁石の反発力で浮上する一方、上部の琥珀による謎の力で推進する模様。ようするに「飛行石」的発想なのでしょう。設計者によると12人は乗れるそうです。天球儀と海図を組み合わせる自動航行装置もあるとのこと。『不思議世界』(1896)から。
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妖精郷への迷い込み方はいろいろあれど。 夏。キノコと小鳥の巣を見つけて、魚が泳ぐ小川に足を浸したあと、白い雲を追って丘を駆けていくとフェアリーランドに行ける、とパジェット・フレデリクスが書いている(ような気がします)。牧神の笛の音が聞こえます。『緑の笛』(1929)から。
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さらに『世界不思議図鑑』(1768)。カナダのビーバーは樹木をかじって倒し、川をせきとめてダムを造るというトピックがあり、文章で読む分にはおおむね正確なのですが、挿絵がつくと「なんかすごい」。ほとんど土木事務所の作業であります。これも「神が与えたもうた恩寵のなせるわざ」とのこと。
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雑。どうでもよい話題なんですが、昔の本にあるモモンガの挿絵が「なんかちがう」。1768年刊行『世界不思議図鑑』のそれは空飛ぶ変態中高年みたいで趣があるのであります。この種の博物学的驚異は神の御業の玄妙さを示すものとして19世紀児童文学に影響を及ぼしていきます。面白や、と。
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2023年の #夏至 到来。 英国で夏至 summer solstice というと思い浮かぶのはストーンヘンジ。延々と続く黄昏のなかにぽつんとたたずむ姿がようございます。絵はいわゆる「オクスフォードのターナー」が描いたもの。静寂のなかを目に見えないものたちが歩くのであります。
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聖遺物。チェンバースによれば359年にコンスタンチヌス帝が使徒たちの遺骨を集めて合祀しようと企画し、結果として一大発掘ブームが発生。さまざまな使徒の遺骨と称するものが大金で取引されるようなったとのこと。この時点で聖ヨハネの頭蓋骨が複数登場したそうです。聖遺物業界は歴史があるのです。