26
27
.
“私”、”私の”という
いつもの言葉から離れて
いっさいの言葉から離れて
沈黙で
耳を傾けてごらんなさい
弥(いや)生いの明け方
静謐な冷気が
からだを包むとき
きかずともきこえてくる
静寂の生の讃歌を
昨夜の雨の余韻を
濡れた舗道
通り過ぎる車輪の音を
若草の芽吹きの音を
.
#音
28