同窓会でAさんに会った。俺の初恋の人だ。友人が俺とAさんの前で軽口を叩く「そう言えばお前、Aの事好きだったよな」酒の席とは言え、本人の前でかつての恋心を暴露されるのは良い気分じゃない。Aさんも反応に困ってる風で、苦笑いを浮かべていた。 帰り際、Aさんは俺の耳元でこう囁いた。 「今は?」
「息子よ…俺も、もう長くない」 「親父…」 「お前に、言わなきゃらなんことが…」 「なんだ?」 「いや…やめておく。代わりに、俺が逝ったらこの封筒を開けてくれ」 「遺書か?」 「辞世の句を記してある」 少しして、親父は他界した。 辞世の句にはこうあった。 隠し事 死ぬまで言えず 隠し子と
「先生!いい加減〆切やばいです!最悪、ネームでいいので下さい!」 「はぁ…仕方ない…本気を出すか…」 先生はそう呟き、リストバンドを外して落とすと、床にめり込んだ。 「!?」 「30分、待ってな」 そう言って先生は部屋に籠った。 30分後、部屋に入ると、窓が開いてて先生の姿は無かった。
『私は小さい頃、トランプタワーが大好きでした。高く積み上げたトランプが一気に崩壊していく様に、なんとも言えない快感を覚えたのです。もっとこの感覚を味わいたい。そのために、もっともっと高く…』 タワー専門建築家のインタビューが怖すぎて、高く積み上げられた彼の地位は、見事に炎上した。
「博士。進化したポケモンを、元に戻す事は出来ませんか?」 「残念じゃが、それは不可能じゃ。なぜそんな事を聞く?」 「…ヒトカゲからリザードンって、大分、大きくなりますよね」 「そうじゃな」 「ピカチュウを抱っこしていると、リザードンが時々、羨ましそうな目でこっちを見ているんです」
「ひっ…!」 私は恐怖した。 捨てたはずのフランス人形が、今日も玄関前に戻ってきていたからだ。 私は監視カメラを設置して真相を確かめる事にした。 もう1度捨てると、やっぱり人形は戻ってきた。 映像を確認すると、人形を戻していたのは夫だった。 私は恐怖した。 夫は、もっと前に捨てたのに。
「僕と結婚して下さい」 「嬉しい…夢みたい…」 「頬っぺたでも抓ってみるかい?」 抓ってみると、目が覚めた。 え、本当に夢? 嘘でしょ…? 抓らなければよかった…。 「起きて~!朝ご飯できたぞ~」 リビングから、夫の声がする。 もう少しあの時の幸せに浸っていたかったけど、まぁ、いいか。
田中 弘 本庄 綾子 白鳥 啓介 全力院 玉蹴之助 神田 淳史 山田 由香里 「まただ…登場人物一覧ページの時点で、もう犯人わかっちまった」 「どうしてわかるの?」 「この推理作家、せっかく謎は面白いのに、同じ名前の子が現実でイジメられないようにって、犯人には必ず存在しない名前つけるんだよ」
先輩は私の憧れだ。 物怖じせず上司に意見するし、堂々と定時で帰るし、飲み会も「気分じゃない」と断れる。 「私も先輩みたいになりたいです」 「ふーん…じゃあ私の師匠を紹介してあげるよ」 後日 公園に案内された。 「この方が私の師匠」 そこには、1匹の猫が気持ちよさそうに寝転がっていた。
前人未到の世界最難関の山。 その頂に俺は遂に到達した。 人類未踏の地を単独で踏みしめた栄誉と快感に酔いしれていると、視界の端に入るものがあった。 「…俺は、2番手だったのか」 そこには登山者の遺体があった。 俺は遺体から、何か名前がわかるものを探した。 生きて、彼の栄誉を伝えるために。
Q1:小学生の頃どんな技を練習しましたか? という質問に、様々な解答が寄せられました。 波紋・かめはめ波・霊丸・二重の極み・螺旋丸・ギア2・月牙天衝・領域展開・水の呼吸… しかし Q2:それは習得できましたか? という質問に97%もの人がNOと答えました つまり、挫折は決して恥じでは無いのです
会社をクビになったと言えず、妻の弁当を、今日も公園のベンチで食べる。なんて惨めなんだ。無職の夫など、捨てられるに違いない。弁当を食べ終え、包みを開くと、カードが落ちた。そこには一言、こう書かれていた。 『辛い時こそ、一緒にいようね』 大人になって初めて、声を上げて泣いた。
転売用にPS VR2の抽選列に並んでると、隣で親子連れがこんな会話をしてた。 「楽しみだな」 「楽しみ~♪」 が、親子は抽選にハズレたようで、意気消沈してた。 「おい」 「…何でしょう」 「これ持ってけ」 俺はアタリ抽選くじを親に渡した。俺もヤキがまわったな…。後日 別の会場にその親子はいた
「かーねーしょんください!」 男の子はヒマワリみたいな笑顔で俺にそう言った。両手の上には沢山の10円玉がある。 しかし、それでは1輪しか買えない。 だが、金額なんて些末だ。伝わるべきことがしっかりと伝われば、世の中はそれでいいのだ。だから俺はこう伝えた。 「坊主。ウチは八百屋なんだ」
父の訃報が届いた。 俺が歌手を目指して家を飛び出したその日から、俺は勘当されてると言うのに、今更どの面下げて葬式に出ろって言うんだ。 出棺される父を見送る。話によると、出棺の際に流す曲は、予め指定できるらしい。それは、父の遺言の1つだったそうだ。流れたのは、俺のデビュー曲だった。
「パパ、今日学校で教えてもらったんだけど、昔の人って凄く想像力が豊かだったんだね!」 「何を教えてもらったんだい、娘ちゃん?」 「まだ絵文字も無かったころって、orzで膝と手をついてガックリしてる人を表現してたんでしょ?凄い!もうそうとしか見えない!あれ?パパ?どうしてorzしてるの?」
あれ?俺は今、車にはねられたはずじゃ…? 振り返ると、地面に倒れてる俺の姿が見えた。そうか…今の俺は霊体ってやつか。俺の身体の身の周りには人が集まり、AEDで心肺蘇生を試みてくれている。 頼む!助けてくれ…!お、やった!俺が息を吹き返した!意識も回復したみたいだ!…じゃあ俺はなんだ?
どうしよう…私の小説 誰も読んでくれない。 「きっと掲載場所が悪いんだ」 私は服を脱いでお腹に小説を書き、それを映してアップしたら、恐ろしい程バズった。いつしか収益化もされ 小説で食べていく夢は叶った。 「…そうじゃない」 私は握っていた筆を折り、服を着て、キーボードの前に座った。
私の彼氏凄い。 腕も胸板もヒョロいのに、腹筋だけはバッキバキに割れてる。「どうして腹筋だけ?」って聞いてみた。 「1年前、イイネの数だけ腹筋するってツイートしたら、3.8万も集まっちゃって…でも、もうすぐ達成するんだ♪」 私はそのツイートを見つけ、10万人のフォロワーに向けて拡散した。
「お爺様、お婆様、ただいま戻りました」 「おぉ、桃太郎…!鬼は退治できたかい?」 「…お爺様。鬼がどのように産まれるか、ご存知ですか?」 「?」 「鬼ヶ島には、大きな大きな桃の木が1本、ございました」 「……」 「…最後の鬼を、退治致します」 そう言って、桃太郎は己の首に、刀を添えた。
筋トレはマジでオススメ。 上司に怒鳴り散らされても「お前が無事でいられるのは、俺が我慢してやってるからだぞ?」と精神的優位を築ける。 だがもう限界だ。 俺は上司に殴りかかる。 上司は掌で俺の拳を受け止め、恐ろしい握力で握り、こう呟いた 「お前に本当のパワーハラスメントを教えてやろう」
田中 弘 本庄 綾子 白鳥 啓介 全力院 玉蹴之助 神田 淳史 山田 由香里 「まただ…登場人物一覧ページの時点で、もう犯人わかっちまった」 「どうしてわかるの?」 「この推理作家、せっかく謎は面白いのに、同じ名前の子が現実でイジメられないようにって、犯人には必ず存在しない名前つけるんだよ」
「俺、彼女出来た」 「マジ!?」 昔ついた嘘を嘘と言えず、架空の彼女との関係は順調だと親友に3年間、報告し続けた。そして、遂に結婚する所まで来た。もはや嘘も限界だ。 「ごめん…彼女なんて実はいないんだ」 「…架空は、彼女だけか?」 「え?」 顔を上げると、親友の姿は何処にも無かった。
「母さん?オレオレ」 「え、この声…ツヨシ?」 「そうそう、ツヨシ」 「そんな…どうして…ちゃんと産め…!」 「は?」 「…そんなハズない。アンタ、詐欺でしょ?」 「チッ」 そこで俺は電話を切った。 さっさと次行こ。 だが、向こうの言いかけた言葉が気になった。 産め…… ……………埋め?