「ひっ…!」 私は恐怖した。 捨てたはずのフランス人形が、今日も玄関前に戻ってきていたからだ。 私は監視カメラを設置して真相を確かめる事にした。 もう1度捨てると、やっぱり人形は戻ってきた。 映像を確認すると、人形を戻していたのは夫だった。 私は恐怖した。 夫は、もっと前に捨てたのに。
「思えば、お前とは随分と旅したなぁ…ピカチュウ」 「ピカ♪」 「お前と山ではぐれた時は、もう2度と会えないかと思ったよ」 「ピカ!」 「もういいよ、ピカチュウ」 「ピカ?」 「ずっと…演じてくれてたんだろう?」 「……」 「もう、いいんだ。ありがとう、メタモン」 「…………モン」
「近くで殺人事件があったらしいよ」 「マジ?」 「しかも、まだ凶器の包丁は見つかってないんだ」 「……待て、なんで見つかってないのに、凶器が包丁って知ってるんだ?」 「…頼む、犯人を見つけてくれ」 そこで目が覚めた。TVでニュースが流れた。被害者の名前に、夢に出て来た友人の名があった。
「博士。進化したポケモンを、元に戻す事は出来ませんか?」 「残念じゃが、それは不可能じゃ。なぜそんな事を聞く?」 「…ヒトカゲからリザードンって、大分、大きくなりますよね」 「そうじゃな」 「ピカチュウを抱っこしていると、リザードンが時々、羨ましそうな目でこっちを見ているんです」
不思議な本があった。 カバーは真っ白で、タイトルすら無かった。中身も、全ページが白紙だった。 「それは完璧な本です」 「完璧?」 「はい。あらゆる表現規制の声に忖度した、誰も傷つけない本です」 数年後、その本は発禁となった。 444というページ数が、死を連想させて不快だと言われたからだ。
「近くで殺人事件があったらしいよ」 「マジ?」 「しかも、まだ凶器の包丁は見つかってないんだ」 「……待て、なんで見つかってないのに、凶器が包丁って知ってるんだ?」 「…頼む、犯人を見つけてくれ」 そこで目が覚めた。TVでニュースが流れた。被害者の名前に、夢に出て来た友人の名があった。
アパートに帰ると、お隣の男子大学生が自室の前で体育座りしてた。 「鍵無くしたの?」 「いえ、終電逃した女友達を中に泊めてるので」 「それで君は外に?紳士過ぎない?」 「いえ、せめて床に寝せてって頼んだら『ダメ』って…」 「え、女の子に追い出されたの?」 「はい。そんな所に惚れたんです」
俺のサークル同期の女子に、チョロ過ぎて心配な子がいる。 普段、大人しくて目立たないくせに、男慣れしてないせいか飲み会で周りから「可愛い」って言われただけで終電逃すし、聞かれたらすぐLINE ID教えちゃってる。 「もう少し危機感持ちなよ」 「じゃあ…俺君が守って?」 俺はLINE IDを交換した。
宿題もせず遊ぶ息子に怒り、ゲームは鍵付きの箱に入れた。宿題を済ますまで鍵は開けない。それ以来、息子は必死に勉強した。そして見事にピッキングで鍵を開けられるようになった。思えば、それが奴の最初の〝盗み〟だった。 今や大泥棒となった奴を、俺は止めねばならない。 刑事として、父として。
「助手君、ついにタイムマシンが完成したぞ!」 「本当ですか博士!?」 「ただし注意点がある…これは5回しか使えないんじゃ」 「わかりました!」 僕はさっそく江戸⇒弥生⇒白亜紀を時間旅行した。そこでタイムマシンは起動しなくなった。 「あれ?」 ……あ 博士が〝完成〟を確認したってことは…
怖いことがあったんで聞いて。後輩がパワポ資料出来たって言うから、見てやったんだ。図形も使ってわかりやすく仕上がってたけど、四角形をわざわざ4本の直線組ませて作ってるのがNGだった。でもさ、それ、よく見ると直線じゃなかったんだよ。限界まで細くした、イラスト屋の、子供のイラストだった。
「本当にいいんですか?この物件は、幽霊が出ると評判ですが…」 「いいんです」 俺は荷物の開封を終え、部屋の中を見て回った。柱にはペンで120cmと書かれてる。身長を測った跡だ。ふと、人の気配がして振り向いたけど、誰もいなかった。 母さん? ただいま 俺、今はもう178cmもあるんだよ
「HEY彼女!俺で妥協しなぁい?」 「気に入らない」 「…ですよね」 「違うよ。そうやってフザけて、断られても傷付かないよう予防線を張ってるのが気に入らないの」 「!?」 「失敗を恐れないで。ほら、もう1度真剣に言ってみて?」 「…お姉さん、俺とお茶してくれませんか?」 「僕、男です」
デートで終電が無くなった私は、彼氏の家に初めてお泊まりする事になった。 そしたら、まさかの実家。 まぁいいか。 と思ってあがると、居間に服を着たマネキンが2体座ってた。顔にはクレヨンで笑顔が描かれている。額にはそれぞれ、父・母とあった。立ち尽くす私の後ろで、チェーンを閉める音がした。
夏休みが終わるなり、僕とA君は職員室に呼び出された。 「お前ら読書感想文見せ合ったろ?」 そんな事はしてない。でも、僕達の感想文は何故か、一字一句一緒だった。 あぁ そうか。 僕達は同じ感想ブログを真似てしまったんだ。 でも、怒られたのは僕だけだった。 それは、A君のブログだったから。
「私はランプの精。さぁ願いを3つ叶えてやる」 「お願い!私の彼氏を生き返らせて」 「うむ」 後日 「残る願いは2つだ」 「私の彼氏を生き返らせて」 「また死んだのか?いいだろう」 後日 「最後の願いを言え」 「彼を生き返らせて」 「またか?」 「えぇ。あの男は、何度殺っても足りないから」
コンビニ強盗は銃を突き付けた。 「金を出せ」 「お客様、大変です!」 「あ?」 「銃にセーフティー(安全装置)がかかったままです」 強盗は鼻で笑う。 「そうやって隙を作ろうってか?クラシカル(古典的)だな…その手には乗らねぇよ」 強盗は勝ち誇り、続けた。 「モデルガンにそんなモン無ぇからな」
「あ~あ…やっちまった」 足元に缶珈琲をこぼしてしまった。ふと『珈琲は飲むよりこぼした方が目が覚める』というネタを思い出し、1人で笑った。また2人で笑える日は来るだろうか。病室のベッドで横になる妻に目を向ける。すると、妻はその目をゆっくりと開いた。2年ぶりに、妻は目を覚ましてくれた。
「俺も、もう歳だ。そろそろ免許返納するかな」 「あなた…」 「その前に…最後のドライブに行かないか?」 「プロポーズも、車の中でしてくれたわね」 「覚えてたのか」 「当然よ」 ドライブを終え、家に戻ると、夫はしばらく運転席を離れなかった。そして「楽しかったなぁ…」と呟き、車を降りた。
「俺達、親友だよな」 「どうした改まって」 「戦場に行く前に、お互いだけの秘密を共有しないか?」 「いいぜ」 「じゃあ俺からな。実は俺の姉、血が繋がってないんだけど、好きになっちまったんだ」 「マジなのか?」 「あぁ。次は、お前の秘密を教えてくれ」 「お前の姉ちゃんと付き合ってる」
奇妙な新連載がスタートした。 第1話目のはずなのに、第100話と表記されてるのだ。最初は印刷ミスかと思ったが、翌週は99話と記載されてた。なるほど、そうか。この物語は、過去に遡っていく話なのか。真の1話目には何が仕組まれているのかと、俺は毎週楽しみに読んだ。76話目で打ち切りになった。
「お前、逆突き以外も使えよ」 空手部でそう言われ続けて2年。それでも俺は逆突きだけを磨き続けた。毎日1000回の逆突きを欠かした事は1度も無い。いつしか俺の逆突きは神速の域に達し、他校からも〝逆突きの池田〟と恐れられた。そして迎えた決勝戦、あり得ないほど美しく、俺の回し蹴りがキマった。
「ヘイSiri 今日の天気は?」 「……」 「ヘイSiri 今日の天気は?」 「……」 「ヘイSiri?」 「はい、なんでしょう?」 「今日の天気は?」 「雨です」 時々ウチのSiriは調子が悪くなる。修理に出しても異常なし。なんでだろうなと思い返してみると、全て、彼女とデートした翌日の事だった。
「私はランプの精。さぁ願いを3つ叶えてやる」 「お願い!私の彼氏を生き返らせて」 「うむ」 後日 「残る願いは2つだ」 「私の彼氏を生き返らせて」 「また死んだのか?いいだろう」 後日 「最後の願いを言え」 「彼を生き返らせて」 「またか?」 「えぇ。あの男は、何度殺っても足りないから」
描いた絵を投稿していると、憧れの絵師さんがイイネをくれた。 私はそれが嬉しくて、沢山絵を描いた。 自分でも、昔より大分上手くなったと思う。フォロワーさんもかなり増えた。でも、憧れの絵師さんは、いつの間にか私にイイネをくれなくなっていた。 私はそれが嬉しくて、もっと沢山絵を描いた。