1
チャイムに出ると、警察が立っていた。
「あなたの旧友である高橋さんが、先日の同窓会の後、殺害されました」
僕は驚愕した。
「そこで、当日の様子をあなたからもお伺いしたく…」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「はい」
「同窓会があったんですか…?」
2
『悲しい事件』
※1ツイート内で完結する小説です。
※再掲載
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3
会社をクビになったと言えず、妻の弁当を、今日も公園のベンチで食べる。なんて惨めなんだ。無職の夫など、捨てられるに違いない。弁当を食べ終え、包みを開くと、カードが落ちた。そこには一言、こう書かれていた。
『辛い時こそ、一緒にいようね』
大人になって初めて、声を上げて泣いた。
4
泥棒をしていると、玄関で音がした。
まずい!
見つかる前に、俺は身を隠す。
「……いるんだろ?出てこいよ」と 家主の声。
バレている…だと!?
俺は観念し、家主の前に姿を現した。
「え!?」と驚愕する家主。
「え…?」と困惑する俺。
パトカーの中で、俺は考える。
え、毎日あのセリフ言ってたの?
5
ネイルを初めて塗ったけど、最初に気付いてくれたのは彼だった。勿論、彼氏じゃない。友達のささいな変化にも、すぐに気付いてくれる。そんな彼だから、みんなから好かれているのは当然だった。だから、これは私の片想い。でもある日、私の恋は、恐怖と共に終わりを告げた。
「家の鍵、変えたんだね」
6
「見てごらん、この美しい夜景を」
50Fのレストランから見える街並みは、闇に包まれていた。
「…これのどこが美しいの?」
「この景色に至るまでに、どれだけの人が辛酸をなめてきたか…。僕は、この真っ黒な夜景を誇りに思う」
「だから、どうして?」
「わからないか?誰も残業していないんだ」
7
俺は恐怖していた。
お隣のOLさんの部屋から、毎朝7時におぞましい悲鳴が聞こえてくるんだ。
尋ねると「私ホラー映画マニアで…悲鳴をアラームにしてるんです…すみません」と恥ずかしそうに言った。
「今朝の悲鳴は、『死霊のはらわた2』?」
「わかったんですか!?」
それが、妻との出会いだった。
8
「でね、3泊4日で旅行に行くって言ったらこう言われたの『俺の飯はどうするんだ?』って」
「うわぁ出た!いるよね、そういう夫。そんなの無視して旅行いっちゃいなよ」
「うん…もう飽きたし、そうするね」
後日 彼女の家から夫の死体が見つかった。夫は首輪で繋がれ〝飼われていた〟様子だった。
10
チャイムに出ると、警察が立っていた。
「あなたの旧友である高橋さんが、先日の同窓会の後、殺害されました」
僕は驚愕した。
「そこで、当日の様子をあなたからもお伺いしたく…」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「はい」
「同窓会があったんですか…?」
11
会社をクビになったと言えず、妻の弁当を、今日も公園のベンチで食べる。なんて惨めなんだ。無職の夫など、捨てられるに違いない。弁当を食べようと、包みを開くと、カードが落ちた。そこには一言、こう書かれていた。
『辛い時こそ、一緒にいようね』
大人になって初めて、声を上げて泣いた。
12
彼女の母姉父は、プロゲーマーだった。
結婚を認めてもらうために、某格ゲーで家族全員に勝つ条件が課せられた。死に物狂いで特訓した結果、なんとか、俺は母姉父に勝つ事が出来た。恋人を抱き締めようとしたら、彼女はコントローラーを手に取った。
「黙っててごめんなさい。一番強いのは、私なの」
13
「俺、彼女出来た」
「マジ!?」
昔ついた嘘を嘘と言えず、架空の彼女との関係は順調だと親友に数年間、報告し続けた。そして、遂に結婚する所まで来た。もはや嘘も限界だ。
「ごめん…彼女なんて実はいないんだ」
「…架空は、彼女だけか?」
「え?」
顔を上げると、親友の姿は何処にも無かった。
14
「この度は弊社がご迷惑をおかけしてしまい…申し訳ありません…」
「誠意が感じられんなぁ…」
「誠意…?」
「日本にはあるだろう?両手と頭を地面につける、伝統的な謝罪方法がさぁ…」
悔しさに歯を食いしばりながらも、俺は従った。
「申し訳ありませんでした!」
「うん、三点倒立じゃなくてね」
15
元SEの祖父は大層な助兵衛で、膨大なエロデータをPCに蓄えていた。
そんな祖父が亡くなった。
俺は遺品整理のついでに祖父のPCを漁った。さっそくそれっぽいファイルをクリックしてみる。次の瞬間、色んな処理が走り、全データは消え、1つのtextファイルが残された。
『宝は自分で掴め。達者でな』
16
「変だな…味がしない…」
コロナを確信した俺は内心歓喜していた。これで仕事を休める。
しかし、医者の「コロナではありません」というセリフに俺は激しく落胆した。医者は続ける。「おそらく、鬱による味覚障害です。仕事は休んでください。そして、大事な人と、穏やかな時間を過ごしてください」
17
講義室に50歳くらいのオッサンがいた。サボる生徒ばかりの中で、歳とっても大学に入る姿勢に、俺は尊敬の念を抱いていた。「偉いッスね」と初めて声をかけると「今更、勉強が好きになれたんだ」と彼は照れ臭そうに答えた。気合が入った俺は、初めて「優」で単位を取得した。オッサンは覗きで捕まった。
18
「見てごらん、この美しい夜景を」
50Fのレストランから見える街並みは、闇に包まれていた。
「…これのどこが美しいの?」
「この景色に至るまでに、どれだけの人が辛酸をなめてきたか…。僕は、この真っ黒な夜景を誇りに思う」
「だから、どうして?」
「わからないか?誰も残業していないんだ」
19
俺は激しく後悔していた。
最後まで見たら死ぬ呪いのYoutube動画は本物だったんだ。開いた瞬間、俺は金縛りになった。指も瞼も動かせない。動画の中で、髪の長い女性が、ゆっくりとこっちに近づいてくる。もう終わりだと思った瞬間〝彼〟が現れ、金縛りは解けて助かった。ありがとう、楽天カードマン。
20
俺は恐怖していた。
お隣のOLさんの部屋から、毎朝7時におぞましい悲鳴が聞こえてくるんだ。
尋ねると「私ホラー映画マニアで…悲鳴をアラームにしてるんです…すみません」と恥ずかしそうに言った。
「今朝の悲鳴は、『死霊のはらわた2』?」
「わかったんですか!?」
それが、妻との出会いだった。
21
不思議な本があった。
カバーは真っ白で、タイトルすら無かった。中身も、全ページが白紙だった。
「それは完璧な本です」
「完璧?」
「はい。あらゆる表現規制の声に忖度した、誰も傷つけない本です」
数年後、その本は発禁となった。
444というページ数が、死を連想させて不快だと言われたからだ。
22
俳優の夢を諦めた時、人生が一気に色褪せた。
どうやって死のうかと毎日考えてた俺に友人が言った。
「死ぬ前に、この漫画読んどけ」
それが、尋常じゃないくらい面白い。あっという間に最新刊まで読んだが、まだ完結してないらしく、親友に聞いてみた。「なぁ、HUNTER×HUNTERの続き、いつ出るんだ?」
23
「~以上が、御社を志望した理由です」
よし、練習通り言えたぞ。面接官は満面の笑顔だし、手応えアリだ!憧れの大企業に入れるかもしれない。ただ、面接官がずっと指で机を叩いているのが気になるな。
トン・トーン・トン……
これはまさか…モールス信号?
『ニゲロ ココ ハ ブラック キギョウ ダ』
24
筋トレはマジでオススメ。
上司に怒鳴り散らされても「お前が無事でいられるのは、俺が我慢してやってるからだぞ?」と精神的優位を築ける。
だがもう限界だ。
俺は上司に殴りかかる。
上司は掌で俺の拳を受け止め、恐ろしい握力で握り、こう呟いた
「お前に本当のパワーハラスメントを教えてやろう」
25
息子がonlineゲーム中毒になった。叱るよりも、まず子供の目線に立つべきかと、私も始めてみる事にした。
その甲斐あって、息子のオンゲー中毒は改善された。息子曰く「自分の姿を、客観的に見れたから」らしいが、今やそんな事はどうでもいい。向こうの世界で今日も、仲間達が私を待っているのだ。