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相手の会社でそれなりの騒ぎになり、偉い人たちから謝罪したいとコンタクトがありましたが全部お断りしました。なぜなら、撮り直しはしない、公開は強行する、という部分は変わず、結局私は小説が書けないままだからです。自分が提出したアイディアに邪魔され、小説を諦めなくてはならない間抜けさ。
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来年の五輪のマラソン、どこを走っても暑いのなら、梅田の地下を走ったらいいんじゃないかな。40キロくらいあるでしょう。知りませんけど。
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【京都へ】外出ままならぬ連休なればこそ、読書で旅気分を味わうも一興と、自著に紹介できるものはないか本棚をのぞいたら意外とありました『鴨川ホルモー』。左京区から鴨川、祇園、四条烏丸、衣笠と洛中をところ狭しと駆け回り、このごろ都にはやるものにうつつをぬかす若者たちの物語です。#読書旅
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1、坂元さんは揚げ物にレモンをかけたい人
2、坂元さんは揚げ物にレモンをかけたくない人
3、坂元さんは揚げ物にレモンをかけることをネタにする人を支持する人
4、坂元さんは揚げ物にレモンをかけることをネタにする人を鬱陶しいと感じる人
さあ、どれだ。ちくしょう、なんて面倒なんだ坂元氏!
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なぜなら、私の脚本の要素が残っていたからです。私が脚本に書いた非常に重要なフレーズが、映画で小ネタとして使われ、これが公開されてしまうと、私が小説を書いても、「ああ、あの映画のあれね」とオリジナリティ・ゼロのものと扱われてしまう、つまり小説を書けなくなる。
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ちなみに私は、とてもいい具合にフリットがカラッと揚がっていたので、どちらかというとレモンをかけたくなかったのですが、『カルテット』の十字架を背負った坂元氏のレモン先制攻撃に何も言えなくて、梅雨・・・でした。
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大学生の時分、京都の御所グラウンドで草野球をしたとき、ショートに八朔くんという名プレーヤーがいて、「いいなあ、八朔という文字、はっさくという語感」という記憶から、「九朔」を持ってきたことは、そのときの草野球かぎりの八朔くんは、知るよしもないのである。(本当の話です)
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作家になって初めての全ボツだったので、かなりショックでしたが「いつか小説というかたちで書き直したらいい」と半年くらいかけて気持ちを整え直したあたりで、次の問題が発生します。私が脚本をクビになったあとも、映画は進行していたわけですが、その出来上がった予告編を見て我が目を疑いました。
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進次郎構文を体得して何かしら明瞭にして不明確な文章を作ってみようと試みるも、これが非常に難しい。自転車に乗れるようになった人間に、乗れなかった時間を表現しろと言われるような難しさがある。つまり、そこに非常な難しさがあるから、非常に難しいのである。
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明日の『バベル九朔』第6話は、あまりに純度の高い血中万城目濃度に、自家中毒を起こしそうなほどの出来映えでございます。とにかく濃い。怒濤の終盤展開が向かうベクトルはついに垂直方向へ、そこにわけもなく登場しますのは、ひょうたん! 何の紹介文なんだ、これは!
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【奈良へ】悠久の都が醸し出す、味わいと薫り深き1800年もののノンビリを味わいたいときは『鹿男あをによし』がオススメです。奈良公園から飛鳥、黒塚古墳、平城宮跡と巡り、鹿に卑弥呼に剣道に野生的魚顔と全然ノンビリじゃない鹿男ライフ。合言葉は「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」です。#読書旅
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去年刊行された『バベル九朔』文庫版は、単行本バージョンに大幅に手を加え、バベル新作並みに装いを新たにしています。ドラマのほうは文庫版を底にして制作されていますので、もしも原作を先に読んでみようという方には、文庫本をオススメします。
バベル九朔紹介
70th.kadobun.jp/interview/09/
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山田風太郎賞の選評を読んだ。著作に関し「恐竜とメソポタミア文明など、面白くなりそうな要素がいっぱいあるのに面白くならない。なぜなら、作者自身が面白いと思って書いていないから。」と評され驚いた。面白くないと思っているものに3年以上打ちこむアホはいない。
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前述の重要なフレーズについても同様です。しかし、こちらの抗議に対し、プロデューサーの回答は「聞いていません」でした。二年もともに準備し、そのアイディアをどれだけ私が大事にしていたか知っているはずなのに、小ネタで消化して、私の手から奪うことに何の疑問も持たない彼ら。呆然としました。
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今日は私が作家デビューして15年目の記念日なのですが(2006年4月20日、『鴨川ホルモー』が刊行された)、何でどうでもいい部首についてのツイートなんてしてしまったんだろう。
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即座に抗議しました。私はすでに自分の代わりに映画で本採用された脚本を読んでいました。その際、全ボツ後のやり取りに消耗し、もう相手と関わりたくないと心底思っていたので、新脚本に残された主人公の名前はじめ、中途半端に踏襲された私の要素は全て削除するようプロデューサーに頼んでいました。
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これまでの『バベル九朔』第1&2話を見て、いちばん好きなカットは、少女が満大を突き落とす(1回目)ですね。少女が勢いつけて走っていく、でも、カメラはそのまま! 動かない! のところがいいですね。そして第3話はすごいです。すごいとしか言いようがない。
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KADOKAWAの担当編集者氏が来週KFCされるとか。ひょっとしたら、どこかの雑誌の表紙取材やもしれませんぞ。
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「快作」ではなく「怪作」ですね。大事なニュアンス。失礼しました。
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その一回だけの発言のぬしを、やがてジャニーズの方が演じることになる不思議。はじめて少女と出会うまでのくだり原稿用紙100枚分くらいを、文庫化改稿の際にばっさり切り落としたので、この部分の会話も文庫本には残せず、今となってはちょっと残念です。
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イチローの記録に関する質問を受けたときの言葉の処理が、将棋の羽生名人とそっくりなときがあって、その高みに達すると自然とそういう口ぶりになるのか、それとも、そういう思考方法の人間がその高みまで達するのか、いつかお二人の対談を読みたいと思いました。
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ついに次週『バベル九朔』は最終回。私がこの作品の脚本に深い敬意を抱くのは、実現できなかったストーリーを構築することに成功しているからです。実は連載開始時、担当編集者から「せっかく個性的なテナントが揃っているので、各テナントからのお使いなり、悩みごと解決なりを描き、各階を紹介しつつ
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監督・プロデューサーと何度も打ち合わせを重ねた内容を反映させたものだったのにダメでした。プロデューサーの説明は最後まで要領を得ず、いまだに私は正確なボツ理由を理解していません。ただ、一発で採用される内容を書かなかった自分の力量の低さも原因だと、自分を納得させました。