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件の大怪獣映画の京極夏彦氏のコメントがパンチ効きすぎで、どうしたら「怪獣魂を天麩羅にして粉砂糖をまぶしたような快作」なるマリアージュを思いつけるのか、京極氏本人に思わずメールしてみたところ「魂をテンプラにするのは水木ファンにとっては当たり前」と返ってきて意味がわかりませんでした。
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ふたたび君と出会える日が来るなんて、思ってもいませんでした。通路の先に突然君が現れた途端、電流が走りました。でも、君はこんなに小さかったか。ちがう。私がずっと大きくなってしまったのだ。かつて、わたしはへりの位置から君を見上げていたのだから!
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恒例となりました京極夏彦邸にてボードゲームを嗜む会、今回は趣向を変えて、まさにいま流行りがきている「マーダーミステリー」にトライしました。京極夏彦氏、綿矢りさ氏、森見登美彦氏、小川哲氏、そして私。それぞれ殺人事件の関係者になりきり、誰が犯人かを当てる。シナリオ制作は各務都心氏。
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しょせん全員が嘘つき職業ゆえ、森見氏から「万城目さんが言うとすべてあやしい」と自分を棚に上げた攻撃が放たれ、綿矢氏が「私、犯人じゃないです」と告白してもまったく信用できず、京極氏が「僕は空を飛べる」と無茶苦茶言っても、そうかもと思えるし、一言でまとめるととてもやりにくかったです。
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最近、写真をトレースし自分の絵に仕上げた人の話題に触れ、思い出したことがありまして、以前あるインタビューの依頼を受け、出来上がった記事に自分が回答していない内容が書かれていて「これ話しましたっけ?」と不思議に思って訊ねると「文字数が足りずweb記事で見た内容を苦肉の策で入れた」と。
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『アタック25』が終了してしまうと聞き、以前児玉清さんと奈良に取材に行き、宿泊先ホテルで並んでエレベーターを待っていたらドアが開くも満員。エレベーター内の人たちが「あ」と気づき、そこで児玉さんが「アタックチャンス!」とやったら歓声の嵐とともにドアがチンと閉まったこと思い出しました。
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本当にどうでもいい話ですが、「時すでにお寿司」は昭和ダジャレぽいけど新しい響きがあるなあ、とgoogleで検索条件変えて調べたら、2007月8月30日にある人が突然書きこむまで、公に存在しなかったダジャレのようで、それが今や5分に一度、誰かがつぶやくから、8月30日は「時すでにお寿司」記念日。
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フィンランドの新首相が34歳と聞いて、心底うらやましいと感じるわけですが、大政奉還の年のキーマンたちの年齢を挙げていきますと、ちょうど桂小五郎が34歳、西郷隆盛39歳、大久保利通37歳、徳川慶喜30歳、坂本竜馬31歳、伊藤博文26歳。この国にもそんな時代があったのだなあと。
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15年前、『鴨川ホルモー』が出た直後、近所に住むおばから「売れてないだろうから、私が15冊くらい買っておいたわよ、友達に配るわよ」と言われ、どうもすみませんねぇとお礼しつつ、その後、書店で文芸担当の方に勇気を出して話しかけたら「いきなり15冊も売れて、こんなのはじめて、これ売ります!」
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とにかく明るい安村氏が英国で大成功して「I'm wearing」のあとに会場が「pants!」と応じるのは、「wear」が他動詞ゆえ、そこで止めることで会場に目的語をコールさせる高等パフォーマンスという解説を聞き「すごい」と思っていたら、安村さん英語をまったく理解していなくて全部が適当でいい話です。
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エヴァ映画を観てきました。24年前、京都の祇園会館で「Air/まごころを、君に」を見た帰りにバスに乗ったら、後輩の女の子に出くわし、「何してたんですか」「エヴァンゲリオンの映画見てた」と答えたら「うわ・・・」と顔をしかめられた日からは想像できぬ圧倒的メジャーぶり。隔世の感ありです。
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twitter社の株価が下がった、業績よろしからずという記事を見るたび、twitterは3年後には消滅しているサービスではないかと真面目に思います。何せ一円も落としていない。広告もない、広告から何かを買ったこともない、なぜこの便利な空間を自由に使えるのか、自分でもよくわからない。
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写真のタイミングも素晴しいわけですが、ひとつ解説を加えるならば、鹿の背後に並ぶ樹木の葉っぱラインが横一線であること、これは「ディアライン」と言って鹿が後ろ脚で立ち、口が届く限界まで葉と枝を食い尽くすがゆえ生まれる約2メートルの奈良空間。まさしく鹿主演&演出の一枚と言えましょう。 twitter.com/hayakawasouta2…
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図書館の新作の貸し出しについては、寛容であろうと思っています。文化の多様性を支える一翼でありたいからです。でも、これをやられると、やはり心が冷えます。もしも、すべての図書館がこのやり方で本を集め、タダで貸し続けたら、作家は死にます。city.takaoka.toyama.jp/library/riyo/k…
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実は二年前から、とある映画の制作に携わっていました。原作ではなく、オリジナルの作品の脚本を担当するという話で。準備のために、去年はシナリオ学校に通い、書き方を学び、今年になってから脚本を書き上げました。しかし、全ボツを食らいました。
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作家になって初めての全ボツだったので、かなりショックでしたが「いつか小説というかたちで書き直したらいい」と半年くらいかけて気持ちを整え直したあたりで、次の問題が発生します。私が脚本をクビになったあとも、映画は進行していたわけですが、その出来上がった予告編を見て我が目を疑いました。
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なぜなら、私の脚本の要素が残っていたからです。私が脚本に書いた非常に重要なフレーズが、映画で小ネタとして使われ、これが公開されてしまうと、私が小説を書いても、「ああ、あの映画のあれね」とオリジナリティ・ゼロのものと扱われてしまう、つまり小説を書けなくなる。
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私が二年かけて本気で書き上げた作品は、監督とプロデューサー含め、二、三人が読んでお蔵入りです。本当なら、たくさんの読者を楽しませられる内容だったのに。それが何よりもくやしい。いちばん仕事をしてはいけない相手と関わってしまったうかつさ。大失敗だった。今も毎日後悔を繰り返しています。
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頼みます、幻冬舎。そこで連載し、出版することに作家が自信を持てる、日々原稿を書くことに納得ができる出版社でいてください。世間を狭く、息苦しくするのではなく、社会を広く、風通しのよいものにするために出版社はあるはずです。
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相手の会社でそれなりの騒ぎになり、偉い人たちから謝罪したいとコンタクトがありましたが全部お断りしました。なぜなら、撮り直しはしない、公開は強行する、という部分は変わず、結局私は小説が書けないままだからです。自分が提出したアイディアに邪魔され、小説を諦めなくてはならない間抜けさ。
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前述の重要なフレーズについても同様です。しかし、こちらの抗議に対し、プロデューサーの回答は「聞いていません」でした。二年もともに準備し、そのアイディアをどれだけ私が大事にしていたか知っているはずなのに、小ネタで消化して、私の手から奪うことに何の疑問も持たない彼ら。呆然としました。