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革命前、旧体制(アンシャン・レジーム)下のフランスは厳格な身分社会で、平民が一代で成り上がるのはとても難しかった。
しかし、唯一、完全な実力主義が貫かれていた世界がある。それが料理人。身分が高くても、お金があっても、コネがあっても、舌は誤魔化せない。
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1809年11月。オーストリアでイギリスの外交官が煙のように消えた。秘書や従者の見ている前での事だった。以後、彼の行方は杳として知れない。
ドラえもんでも取り上げられた有名な神隠し事件のひとつ。さて、この外交官の身に何があったのか、今日は話しましょう。
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19世紀末、ロシア帝国で大規模なユダヤ人迫害であるポグロムが起こると、ロシアに住むユダヤ人達は他国に亡命した。
イギリスにも12万ものユダヤ人が亡命してくるけど、彼らの殆どは貧しく、手に職もなく、貧民街のイーストエンドに定住した。
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妻売りはなんと20世紀まで続けられたと言うけど、1857年、離婚がそれまでより簡単になるとほぼ終息する。19世紀の初めごろには流石にその光景は悪趣味なものとも捉えられていた。
一見酷い光景に見えても、それは過度に道徳的で現実に即さない法に対する逃げ道だったのね。
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お昼のTIPS
童話とは歳を取ると共に訳が分からなくなるものもある。『ジャックと豆の木』もその一つね
主人公のジャック少年は牛を売りに行ったところ、道中、不思議な老人と出会い、天まで伸びる木の豆と牛を交換してしまう
怒った母親は豆を投げ捨てるも、翌朝、その豆は天まで伸びる大木になった
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48歳の若さで亡くなったソワイエだけど、食の大衆化を推し進めた功績はあまりに大きい。
かつて、美食は権力者やお金持ちの特権で、料理人はその奉仕者だった。
しかしソワイエ以後、どんな階級の人であれ、相応に美味しい料理を食べることができるようになる。
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話題の『底辺』企業、見てみたら『Fラン大学』とかも平気で使ってて、多分日頃からこういうやり取りを身内とやってて、危険領域が分からなくなってたんだろうな。
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照明のために使われていたガスをソワイエは厨房に転用する事を思いつき、こうして世界初となるガスコンロが生まれた。当時世界で最も洗練されたインフラを持つロンドンだから出来たことね。
ソワイエの厨房は評判になり、彼はイギリスいちの料理人となった。
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