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ドイツに逃れたユダヤ人は当時、賎業とされた高利貸しなどをやってお金持ちになるんだけど、これに目をつけたハプスブルク家は彼らに姓を義務付け、売りつける商売を考える。
姓のない彼らに何らかの姓を登録させ、登録料と使用料を徴収したのね。悪どい。
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ユダヤ人が祖国を持たぬ民族でありながら同化や消滅を免れたのは、皮肉な事に彼らが被差別民だったからで、ヨーロッパのマイノリティであると言う事実が彼らを2000年間支えた。
イスラエルは何かときな臭いし、暴力的な印象があるけど、二度と国を失い差別されたくないと言う信念がそうさせるのね。
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サヴォイ・オペラの代表格である『ミカド』。都ティティプー(秩父)に住む美男の皇太子ナンキプーが父であるミカドの決めた婚約者が醜女だったんで身分を隠して美しい街娘ヤムヤムと恋仲になり、ひょんなことから一ヶ月後の処刑を条件に結婚する事になり……。というあらすじ。
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お昼のTIPS。
19世紀以前、料理は過酷な仕事であり、しばしば命の危険が伴った。
料理をするには火を使わないとならないけど、木炭や石炭を使っていた時代は有毒ガスが発生し、しかも温まるのに時間がかかるし火加減の調整も利かなかった。料理人はしばしば厨房で失神して死んだ。
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19世紀のフランスに生まれたソワイエは修行を積んだ末、外務省お抱えのシェフとして栄達する。
しかし1830年、ナポレオン没落後、反動政治を布いていたブルボン王朝に対して七月革命が勃発。革命派が外務省にも殴り込んできて、ソワイエは命の危険に晒された。貴族の一味と思われて殺されかねない。
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慌てて帽子とエプロンを脱ぎ捨てたソワイエは群衆の中に混ざり、革命派のフリをしてその場をやり過ごすと、命辛々、イギリスへと亡命する。
当時のイギリスはメシマズ街道をまっしぐらに進み、フランス料理を礼賛、メニューでは意味もなくフランス語で料理名が記されるレベル。
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ソワイエのような優秀なシェフが職を得るのに時間は要さず、たちまち彼はセレブ御用達のシェフとなり、イギリス貴族同士で彼の取り合いとなり、貴族から貴族へとソワイエは条件の良い方へと流れていき、最終的に高級クラブの総料理長になった。
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照明のために使われていたガスをソワイエは厨房に転用する事を思いつき、こうして世界初となるガスコンロが生まれた。当時世界で最も洗練されたインフラを持つロンドンだから出来たことね。
ソワイエの厨房は評判になり、彼はイギリスいちの料理人となった。
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エリート料理人街道まっしぐらのソワイエだけど、転機が訪れる。
1845年、アイルランドで飢饉が発生。
主食であったジャガイモが一斉に疫病に感染し、アイルランド人は飢餓に苦しんだ。イングランドの植民地であるアイルランドでは小麦はイングランドに流され、貧民はジャガイモを食べるしかない。
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欲深いイングランド人の農主達はアイルランド人が飢えても構わず小麦を輸出したので、アイルランドの人口は最終的に半分になった。
この危機にソワイエが派遣されるけど、現地の状況にソワイエは衝撃を受ける。
痩せ細った人達に料理を届けようとしても、そもそも何もない。
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限りある食材の中でソワイエは最善を尽くし、『貧者のスープ』と称される、可能な限り味と栄養に気を払った料理を届けた。それでも焼け石に水で、アイルランド人はばたばたと餓死し、祖国に見切りをつけてアメリカに渡る。
エリート料理人ソワイエの心に火が灯った。
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『美味しい料理を万人に届けるべし』
料理書を執筆し、キッチンの改善に励み、上流でなくても、素材に限りがあっても美味しい料理を届けられるよう、ソワイエは尽力。貧者向けに無料で施してもいたけど、それも手を抜かない。
やがてクリミア戦争が始まると、彼は従軍した。
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現地の状況は酷いもので、兵士達は不衛生な環境で栄養価の乏しいものを食べていた。兵士達は輪番で料理しており、将校達は自分の家から料理人を連れてきている。負傷兵の状況はなおひどく、彼らは弱った身体で犬の餌のようなものを食べて死んでいった。
ソワイエの心が燃える。
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「以後は俺が仕切る! 臨死の兵士にも不味いものは食わせん! 連隊ごとに俺の弟子を配置しろ!」
傷病兵の看護にナイチンゲールが活躍する一方、食はソワイエが統括し、死ぬに任されていた兵士たちに可能な限り栄養と品質に配慮した食事が届けられる。
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エリート街道まっしぐらで、イギリスの食の頂点に達したソワイエはこうして、砲弾降り注ぐ戦場の料理人となり、戦争中、野営のテントの中でも構わず万人のための美食を追求し、限られた食材を如何に美味に調理するかを研究し、発表した。やがてその本はベストセラーとなる。
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48歳の若さで亡くなったソワイエだけど、食の大衆化を推し進めた功績はあまりに大きい。
かつて、美食は権力者やお金持ちの特権で、料理人はその奉仕者だった。
しかしソワイエ以後、どんな階級の人であれ、相応に美味しい料理を食べることができるようになる。
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フランスからイギリスへ、エリート街道から、貧民の料理人、そして野戦陣地のコックへと。
波瀾万丈の人生は、最終的に貧しい者への燃える闘志となって結実した。
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ギリシアから神火を灯して開催地まで消すことなく走る『聖火リレー』をご存知よね?
アレの原型は古代ギリシアの神ヘスティア。かまどの神というちょっと地味な立ち位置で、逸話もほぼないキッチンの女神様。
でも格は高くて、なんと主神ゼウスの姉で、オリュンポス12神の一角。
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つまりこれは愛国者一般を貶す言葉ではなく、出自や主義主張で相手を売国奴だの、非国民だのと貶め、自分達こそ愛国者だと言うニセ愛国者に対する言葉なのね。
もっとも、ジョンソンその人も真の愛国と偽の愛国を独善的に区別することそのものはやってる。
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わたしはいつも通りやるよ。明日も働くし、歴史知識も流すよ。
皆も、普段通り振る舞おう。
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大国の指導者を真面目にやれば見る見る老化する。
身体も悪くする。指導者は周りの誰より働いてる。プライベートなんてない。
北朝鮮が嫌がらせのように未明にミサイルを撃てばすぐさま起きて国民の前に立つ。自然災害が起こっても同じ。
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通算で10年、なんだかんだで世界屈指の大国の宰相をやってた人に本来相応しいのは、悪評混じりの名望と共に静かな老後を迎える事でしょう。
日本一働いた人がこんな最期を遂げるのは納得できんわよ。労働者として。
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お昼のTIPS。
豚は古くから食べられていた家畜で、古代ローマ人も豚肉を愛し、博物学者プリニウスは「豚は50近くの風味を持つ」と称えてる。色んな風に加工できるし、ソーセージやハムにすれば保存もきくからね。軍隊食にもぴったり。
ただ、そのローマ人もガリア人に比べればそこまで食べてない。