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「おのれ、余の子を噛み殺したか!」
怒ったルウェリン王子は剣を引き抜き、ゲラートを刺し殺すも、その悲鳴を聞いて赤ん坊が泣く声が聞こえてくる。ルウェリンの子は無事だった。そして、その傍らには大きなオオカミの死体が。
「お前、命懸けで余の子を守ってくれたのか。ああ、なんて事を……」
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実はこのエピソードは創作で、ベッドゲラート村の人達が何の変哲もなければ面白い逸話もない自分達の村に何かしらの由来をつけようとしてできたもの。
愛犬家の国イギリスの精神性に訴えるものがあったのか、すっかり広まり、村の唯一の観光資源と化した。
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創作である事はよく知られてるけど、それはそれとしてよく出来たお話なので知られてるみたいね。
よかった、勘違いで主人に斬り殺された犬はいなかったんだ。
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お昼のTIPS。
ルドルフ・キルヒシュレーガーは1974年から86年までの長期間、オーストリアの大統領職にあった名政治家。当選時の得票率は80%にも登ったと言うから驚き。どこぞの独裁国ではなく、オーストリアでこれだけ支持されるのはよほどの事ね。
さて、そんな名大統領も泣きべそかいたことがある
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そう言えば、普通のイギリス人にとって、英仏百年戦争はイギリスの勝利に終わったという歴史認識なのは、常識かな?
なので、実はイギリスの怨敵ジャンヌ・ダルクも別段、憎悪の対象ではないのね。
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チャールズ3世陛下は73歳。
エドワード7世や、ウィリアム4世同様、ご高齢での即位となるけど、史上最高齢で即位した英国王ね。
チャールズと言う名の王は17世紀、ピューリタン革命後、王政復古の当事者となるチャールズ2世以来で、実に350年ぶり。
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炎上したらすぐ消すけど、取り敢えずわたしの知るところを簡単に。
まずのっけから言うと、現在のイギリス王家は万世一系を号する皇室と異なり、かなりの紆余曲折と変遷をしてきている。 twitter.com/suzuken0524/st…
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昨日の続きだけど、エリザベス1世が子供を残さず亡くなると、王位はスコットランドの王朝であるステュアート家に移行した。
この話はエリザベス1世の在位中から密かに進められてて、これと言ったトラブルもなくジェームズ1世が即位する。
しかしステュアート朝はトラブル尽くしの王朝だった。
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キャサリン・ウィルキンソン。通称キティは19世紀前半の貧民の女で、生涯の殆どを極貧の中で過ごした
アイルランドから港町リヴァプールに引っ越してきたキティはその道中、海難事故に遭い父と妹を亡くす
母子家庭となったキティは母親の負担とならぬよう、年季奉公人として紡績工場で12歳から働いた
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「上流階級は何をやっている! 下層階級がノブレスを発揮しているのに!」
そうした声が高まる。無論上流階級も黙っていなかった。
「ここで身を張らずして、何がノーブルか!」
地区共済組合と慈善家がキティの支援を声明した。
「これは不潔との戦争だ! 彼女を助けるぞ!」
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やがて入浴と洗濯は習慣をこえて娯楽となり、イギリスは徐々にコレラを克服し、やがてパスツールが遂に正体を探り当てる。
キティは不潔との戦争における英雄となった。ヴィクトリア女王より称賛のメッセージが込められた銀のティーポットが授けられるけど、彼女は最期まで貧しい洗濯屋に過ぎなかった
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おはよう、今朝のTIPS。
キティ・ウィルキンソンの献身を契機として公衆浴場の建設ラッシュが始まる。貧民にまで清潔を提供するのは、衛生上の大きな命題となっていた。昨日はお話の都合上一気呵成に解決まで書いたけど、実際にはコレラは毎年流行し、その都度何万人も亡くなってる。