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1905年、3月27日。ロンドンのデプトフォードで痛ましい事件が起こった。塗装店を営む老夫婦が殴打されて亡くなったのだった。通報を受けて警察がやってくる。
「金庫がカラだ。金品目的の強盗で決まりだろう。だが、厄介な事になったぞ」
当時、現行犯以外で犯人を捕まえるのは困難だった。
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フォロワー数が何千何万とあるアカウントはアジテーター的な性格があるから、言ってる事は話半分で聞いたり、眉に唾つける事にしようね。
支持者向けに思ってもないような事を言うよ。わたしが保証する。
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前線で戦うだけが名誉や義務ではない。危険な工場で二度にも渡って勤務し、負傷してもなお身を奮い立たせて国家と戦勝に貢献した彼女もまた、イギリスの英雄の名に相応しい存在でしょう。
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戦後、工場は閉鎖され、彼女は大学の食堂の厨房スタッフになり、平和な日常に復する。夫は1954年に亡くなったけど、彼女は100歳まで生き、1995年に亡くなる。イギリスで最も有名な女性労働者の一人である彼女の誕生日には同じく戦友とも言えるエリザベス女王からメッセージが来た。
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1943年、爆発事故が起こり、モードは重傷を負った。顔、胸、手、腕に重度の火傷を負ったモードは五ヶ月の入院を余儀なくされる。彼女はイギリスで整形手術を受けた初めての女性の一人となった。
それでもモードは怯まず、退院すると工場に復帰し、終戦まで遂に働く。
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しかし1940年、第二次世界大戦が始まると、モードは再び工場労働者として軍需工場にいた。既に46歳だったけど、グレトナの工場と変わらぬ危険な化学物資を扱う工場に彼女は勤める。薬品の影響で視力は低下し、彼女は特殊な青いメガネをつけなければならなくなった。
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「英雄的な行為が私の工場労働者、特に女性によっても行われている事は非常に喜ばしい」
働きに感銘を受けて地元大貴族のバックルーシュ公爵が彼女を表彰した。
「戦地での兵士の活躍と何ら変わらない。大英帝国勲章を授与しよう。あなたは素晴らしい労働者だ」
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ある時工場で火災が起きた。コルダイト工場における火災は致命的な被害を齎す。自衛消防団の一員だったモードは怯まず駆け出し、ポンプを操作して水を浴びせる。
「消防隊を呼んできて!」
彼女は2度、自ら率先して火災を喰い止めると言う英雄的な働きを示した。
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もちろん爆発事故も起きた。死者も出る。
そんな危険な現場で22歳のモードもまた働く。彼女は周囲より僅かに歳上で、30人の女の子を率いる職長だった。真面目な仕事ぶりは上からも下からも評価されており、大変人気のあるスタッフで、責任感が強い模範的な労働者だった。
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グレトナは元々、親の同意なく結婚するには男女21歳以上でなくてはならぬと言うイギリス法を厭って、15歳以上なら誰でも結婚できるとするスコットランド法の下に避難する駆け落ちカップルの聖地として有名な長閑な農村地帯だったけど、拡大する砲弾需要に必須の無煙火薬コルダイトの最大の工場が建設。
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1914年、第一次世界大戦が始まると、イギリス中の男子が兵士となり、工場から男は消え、その穴埋めに女が補填される。
それは危険な物資を扱う軍需工場でも同じ事だった。前線で砲弾が大量に消費され、需要は拡大するばかり。南スコットランドのグレトナに巨大な工場が作られた。
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