エリザ(@elizabeth_munh)さんの人気ツイート(新しい順)

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夫が戦死したらたちまち再婚しないとならないけど、どっこい生きてたと言うケースも頻発する。 この際、関係を整理するために大量の妻売りが発生したと言う。 見た目にはとんでもない光景だけど、実のところ合理的に機能したのね。不備のある法に対する民衆のバランス感覚の発揮と言えるかも。
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無論この離婚は法的な意味での離婚ではなく、法的には新しい夫に買われた妻は依然として前の夫の妻だった。しかし社会的合意としては紛れもなく離婚として捉えられてたのね。 ナポレオン戦争中、イギリス軍は数多の戦死者を出すけど、戦死の誤報も飛び交った。当時の女性は一人では生きられない。
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逆に夫側に責任がある場合、妻は法的には不利な立場だった。妻のふしだらを咎める法はあるけど、夫のそれを咎める法はない。これで離婚したいと思うなら売り飛ばされるしかなかった 故に、売買の段になって怖気付く夫を妻が怒鳴りつけることも。 「さっさと売りなさい! アンタとはもうゴメンよ!」
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『離婚』の事由は現代と同じく妻側にある事もあり、夫側にある事もあった。たとえばベッドで妻が見知らぬ男と寝てた事に気づいた夫が激怒し、妻の買取りを命じ、それを男が受け入れた、と言うこともある。 姦通の罪で追い上げられるより、そちらの方が安上がりだった。
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妻売りはまるで奴隷や牛の売買を思わせる公開の場でのオークション形式となる。法的な離婚ではないので、売買する当人達、売られる妻、そして周囲に『彼女は売られた』と言う合意が形成されねばならなかった。 ために、オークションの形式だけど、実際には事前に話がついてて、買う人は決まってた。
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17世紀、イギリスで普通の人達が離婚をするのは大変困難だった。離婚法は厳しく、手間と費用が掛かり、庶民にとって離婚はとてもハードルが高い行為となる。 しかし元は他人の男と女。上手くいかない時だってそれはある。こうして、代替の離婚手段として妻売りが始まる。
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男性が公開の場で女性を売り、値がつけられる。しかも、売っているのは自分の妻。 現代的な視点からすると身の毛もよだつような光景だけど、17世紀から19世紀のイギリスでは比較的よく見られた光景で、かつ、売られる方の妻も悲しむどころか堂々としたものだった。 これが、妻売り。
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クリスマスシーズンだけど、イギリスでは不思議な伝統があって、この時期に怖い話をするのが習慣になってる。幽霊ばなしね。 冬至の時期、夜は長く陰鬱で寒い。中世の人達は月もない凍える夜に暖炉の側で想像力を働かせ、超自然的な現象を空想し、やがて各村や町ごとに怪異譚が生まれた。
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親もなく、コネもなく、頼れるのは腕一つ。そんな立場から身を立て、高みに至る。 アメリカンドリームの体現者となった騎手達はそれぞれ、ポニーエクスプレス社の騎手であった事を看板に、それぞれの夢へと走る。 彼らもまた、歴史の浅い国アメリカの建国神話の一部。
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ポニー社は破綻した。しかし、ただ一人馬だけを友として、使命を胸に抱いて荒野を駆け抜けるポニー・エクスプレス社の騎手達はアメリカの伝説の一翼となった。
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こうしてポニー社は東西アメリカを繋ぐ最速の連絡手段として伝説になるけど、たった一年でその伝説は終わる。 割高な速達は庶民には敷居高く、ポニー社のメールを利用する者は少なかった。そして、程なく電信がカリフォルニアまでやってくる。 熟練の騎手と馬も電信には勝てない。
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魅力的で無いはずがない。 騎手達を西部の女は鈴なりで迎え、嬌声で歓迎し、彼らの一部でも剥ぎ取れないかと疾走する彼らに手を出した。 ポニー・エクスプレスの騎手達は大いにモテる。
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西部で彼らを迎える人達、特に女達はまるでアイドルでも迎えるように待ち構えた。 「来た、来た、私のジョニー!!」 一秒でも早くと馬を飛ばすメーラー達は痩身に無駄な肉もなく、心には使命一つ。手紙ポーチが失われるくらいなら死ねと言われて、笑ってそれを受け入れた人達。
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ある騎手は、自分から引き継ぐ騎手がこの先にいるネイティブに恐れを表明した時、言下に言い放った。 「チキンめ! おれがここまで届けた手紙を託す価値はない。すっこんでろ。休みなどいらん。もう1日、俺が馬を飛ばしてやる!」 こうして彼らは伝説になった。
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馬への負担を減らすため、手紙を詰め込んだポーチ以外はリボルバー拳銃一挺と水筒しか持たない彼らは、盗賊、ネイティブアメリカン、その他荒野の危険全てに馬一頭を友として駆ける。 駅の数は184。もちろん、その全てを一人で踏破するわけではない。しかし例外もある。
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背が低く、体重が軽く、しかし筋骨隆々で体力気力のある若い男達がたちまち任に就いた。 彼らは長時間馬を早駆けさせるだけの体力筋力の持ち主で、若く、アスリートなみの身体の持ち主で、即ち皆がイケメン揃いだった。 従来一ヶ月以上かけた道のりを、彼らは個人的な技量に任せて10日で踏破する。
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こうして、ポニー・エクスプレス・サービスが始まった。 「求む、針金のように痩せた10代の男。単身、危機に挑み、使命を生命より重視せねばならぬ。孤児は特に優遇。以上」 男気を煽る挑発的な文句に向こう水な若者が大勢志願した。
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貨物輸送や倉庫サービス業に関わっていた業者で、彼らは拡大を続けるアメリカが、いずれ東西の連絡に不便をきたすだろうと予測していた。 彼らはアメリカ人らしく、全くの力技でこの問題に応える。 「選抜された騎手と、優秀な馬を使い、駅ごとに乗り換え、最短ルートで手紙をやり取りする」
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「このままではカリフォルニアは政府から離れた存在になってしまうのではないか」 時あたかも南北戦争の手前。アメリカ全体が分断の危機に立っていた頃。連絡もろくにつかないど辺境が都会化するのは恐怖だった。 そんな中、手を挙げた人たちがいる。 「お任せください。迅速に連絡をつけます」
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カリフォルニアは東部から始まったアメリカのフロンティアのいちばんはしっこだった。そこが急速に人口を伸ばし、都会化されていく。ワシントンはカリフォルニアをマトモに把握できない。やり取りもまともにできない相手を同じ国と言っていいのか。 手紙は送れる。しかし届くまで一月掛かった。
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1848年、アメリカの片田舎カリフォルニアで大騒ぎが起こる。 「金だ! 金鉱を見つけだぞ!」 未知の土地で未知の金鉱。美味い話にも程があるたちまちゴールドラッシュが起こり、チャンスを求める貧民と、彼ら相手に商売する人達でカリフォルニアは拡大する。 これはアメリカには頭の痛い話だった。
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1895年、イタリアの発明家マルコーニが無線通信を発明した。既に有線通信が普及しており、世界はさらに狭くなって情報伝達は高速化する。 しかし海を跨ぐ移動手段は船舶よりなく、世界最大のメイン海路である大西洋を行き来する人達はスピードアップを求めた こうして生まれたのが、ブルーリボン賞。
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試してみると確かにマラリアの特効薬としてキニーネは機能した。ただ、キニーネは非常に苦く、飲むのが難しい。彼らは砂糖と炭酸水で薄め、何とか飲めるように調合する。この過程で薬用酒として用いられていたジンを混ぜた。 これが現代まで、カクテルの王道とされるジントニックの始まりとなる。
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17世紀、インドと東南アジアにそれぞれ進出したイギリスとオランダはマラリアに苦しめられた。夏季に死亡率はピークに達し、毎年駐在員の1/3が死亡する。 その対策として作られたのが、ジンだった。
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帆船最速を競ったティークリッパー達の最後の一隻であるカティ・サークは保存され、今も優美な船体で往時のティーレースの華を伝えている。 船を称する時に女性名詞を使うけど、正に絶世の美女ね。