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こうしてサンドリンガムズはテリトリアル部隊時代の組織をそのままにノーフォーク連隊に所属した。
当時、こうして仲間同士で集まって一緒に志願した兵士は非常に多く、彼らはパル(友達)兵士と呼ばれた。気心が知れてて円滑に動ける一方、上から下まで友達なので馴れ合いもあり、実践経験は、ない。
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大戦が始まった時、サンドリンガムズには出征義務はなかった。テリトリアル部隊は敵が本土上陸を果たした際の最後の盾であり、外征部隊ではない
しかしテリトリアル部隊ですらない民衆ですら競って志願する中、曲がりなりにも軍属で、かつ国王の警護団であるサンドリンガムズが出ない訳にはいかない。
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彼らは社会的身分によって軍隊の階級が割り当てられており、サンドリンガムズの中隊長はサンドリンガム・ハウスの管理人。以下、ファーストフットマンやコーチマン、ガーデナーが下士官で、それ以下の使用人は兵士、と言う具合に使用人のヒエラルキーがそのまま軍隊に適応された。
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彼らは国王エドワード7世のお気に入りの別荘であるサンドリガム・ハウスの警護や管理、維持・運営のために集められた部隊で、軍隊というよりはシーズン中、イギリス王に仕える別荘の使用人団だった。 twitter.com/elizabeth_munh…
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ガリポリ作戦の総司令官であるハミルトン将軍も「極めてミステリアス」とコメントを残した。
彼らに何があったのかをE中隊、通称サンドリンガムズの視点から話して行きましょう。
サンドリンガムズは元々、イギリスのパートタイムな軍隊であるテリトリアル部隊に属した。
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また、彼女のビジネスモデルは美食を求める中流階級とキッチンメイド、或いは豪奢な料理を周りに誇示したい働き者の奥さんで成り立っていた。
1914年、第一次世界大戦が勃発。イギリスは没落し、またメイド達もメイドではなく工場労働者になる。
ヴィクトリア流の豪華な料理は時代遅れになった。
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しかし自分の運命は予測できない。1904年、マーシャルは乗馬中に落馬し、重傷を負う。彼女はキッチンに立てなくなった。
「まだ、やりたい事があるのに……!」
翌年マーシャルは亡くなる。49歳だった。彼女のバイタリティによって成り立っていた彼女のビジネスは急速に崩壊する。
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「いつの日か、自動車に冷凍庫が搭載され、どこにいても新鮮な食材が使われる日が来るでしょう。
やがて、大型の生鮮食品店が庶民の生活の柱になる日が来る。私には分かる」
マーシャルは最新の科学技術に興味津々で、それが社会にもたらす変化を正確に予測した。
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マーシャルは当時のどの冷凍庫よりも高性能な冷凍庫を発明し、それを使ってアイスを急速に造り、販売する。巧妙なマーシャルは冷凍庫そのものも売りつけて回った。
「レシピは公開してます。私の冷凍庫さえあれば、誰でも私のアイスは作れますよ」
憧れのアイスに大勢が殺到。
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マーシャルは次のビジネスチャンスを捉える。ノルウェーから氷が輸入され、冷凍設備が普及され出した頃、アイスクリームが静かに流行っていた。
アイスクリームそのものは遥か昔からあるけど、冷凍庫もない時代、それを食べるのは貴族の特権。しかしそれが庶民にも降りて来た。
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学校には腕を上げたいメイドがやってくる。いい料理人は引っ張り凧。賃金交渉のチャンス。マーシャルは週に5回講義し、自ら料理を実践する、彼女の学校は最大時、2000人の生徒を抱えた。入学できなかった女性は彼女のレシピ本を買った。
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マーシャルはヴィクトリア時代の中流階級憧れの高級料理を彼女の生徒達に仕込む。アンチョビビスケット、カメのスープ、子牛の頭のエスカロップ、アスピックのウサギのクリーム。
レシピは簡略化され、動作をパターン化し、誰でも作れるようマニュアル化される。
料理学校は大評判となった。
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しかし料理人であると同時に、マーシャルは当時の女性としては異例の野心家だった。
「美味しい料理に需要はある。なら、料理学校を開いて生徒を育て、彼女たちを各家庭に斡旋すれば、大きなビジネスになるわ」
こうしてマーシャルは夫と共に料理学校を開き、雇用斡旋企業まで作る。
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19世紀、イギリス料理はまずかった。
上流階級への憧れから主婦を働かせる事は恥と考えられ、メイドを雇って調理させるけど、キッチンメイドとして雇われた女性でさえマトモな料理が作れず、まして雑役メイド(家事全般をこなすメイド。最も数が多い)なら尚の事だった。家庭料理は崩壊する。
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妻売りはなんと20世紀まで続けられたと言うけど、1857年、離婚がそれまでより簡単になるとほぼ終息する。19世紀の初めごろには流石にその光景は悪趣味なものとも捉えられていた。
一見酷い光景に見えても、それは過度に道徳的で現実に即さない法に対する逃げ道だったのね。