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「いたずらに瀉血と下剤を施しても衰弱するばかりだわ。どうにかしないと……」
そんなある時、メアリーはトルコ大使である夫に帯同してトルコに赴く。そこでメアリーは衝撃的な光景を目にした。天然痘患者の膿を採取し、健康な人達の皮膚に植え付けている。
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貨物輸送や倉庫サービス業に関わっていた業者で、彼らは拡大を続けるアメリカが、いずれ東西の連絡に不便をきたすだろうと予測していた。
彼らはアメリカ人らしく、全くの力技でこの問題に応える。
「選抜された騎手と、優秀な馬を使い、駅ごとに乗り換え、最短ルートで手紙をやり取りする」
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背が低く、体重が軽く、しかし筋骨隆々で体力気力のある若い男達がたちまち任に就いた。
彼らは長時間馬を早駆けさせるだけの体力筋力の持ち主で、若く、アスリートなみの身体の持ち主で、即ち皆がイケメン揃いだった。
従来一ヶ月以上かけた道のりを、彼らは個人的な技量に任せて10日で踏破する。
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1914年、第一次世界大戦が始まる。オリンピック号と、タイタニックの教訓を盛り込んだ最後のオリンピック級であるブリタニック号は徴用される。
ジェソップは看護師として戦争に参加しており、配属された船は、ブリタニック号だった。
「何とまぁ、奇妙な縁ね。今度こそ、貴女と死んだりして?」
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『離婚』の事由は現代と同じく妻側にある事もあり、夫側にある事もあった。たとえばベッドで妻が見知らぬ男と寝てた事に気づいた夫が激怒し、妻の買取りを命じ、それを男が受け入れた、と言うこともある。
姦通の罪で追い上げられるより、そちらの方が安上がりだった。
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そう言えばロードス島物語をご存知?
日本を代表するファンタジー系ライトノベルで、エルフは耳が尖っていてスレンダーと言う特徴を与えたと言われてる。因みにエルフは華奢で打たれ弱いと言う特徴はTRPGのD&Dからで、種族的にあまりに強かったので、弱体化させて他の種族とバランス取ったことに由来
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こうしてイギリス初の予防接種が行われ、メアリーの娘はしばらく軽度の発熱をしたものの、抗体を獲得した。
メアリーは近隣の人達にも人痘を紹介し、希望者には接種させる。伝統的な医師達は反発したものの、実際効果が出ているのを見ると黙らざるを得ず、瀉血と下剤を併用する条件で許可した。
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ナチスはイメージ戦略が上手いので有名だけど、ヒトラーの肖像画ないしは写真を置く位置に関しても指導してて、見下ろすような高さはNG。目線は労働者に合わせるようにと命じてる。
権威性を感じさせるより、親しみを覚えさせようとしたわけで、笑顔だったり、子供と触れ合ってる写真が使われた。
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「以後は俺が仕切る! 臨死の兵士にも不味いものは食わせん! 連隊ごとに俺の弟子を配置しろ!」
傷病兵の看護にナイチンゲールが活躍する一方、食はソワイエが統括し、死ぬに任されていた兵士たちに可能な限り栄養と品質に配慮した食事が届けられる。
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奇しくもオリンピック級3船全てにジェソップはクルーとして乗る事になる。
1916年、ブリタニックはドイツ軍が仕掛けていた機雷に接触し、沈没する。食堂でそれを感じたジェソップは周囲の人達と共に直ちに駆け出して救命ボートに飛び乗った。
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こうしてオケリーは最後の最後に彼の最大の財産をばら撒いて亡くなり、最強の競走馬、エクリプスの血はあちこちにばらけた。
彼は間違いなく悪人だった。ただ、一流の博徒だった。
自分のお金はともかく、幸運を親族に継がせる気はなかったのね。
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夫が戦死したらたちまち再婚しないとならないけど、どっこい生きてたと言うケースも頻発する。
この際、関係を整理するために大量の妻売りが発生したと言う。
見た目にはとんでもない光景だけど、実のところ合理的に機能したのね。不備のある法に対する民衆のバランス感覚の発揮と言えるかも。
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「このままではカリフォルニアは政府から離れた存在になってしまうのではないか」
時あたかも南北戦争の手前。アメリカ全体が分断の危機に立っていた頃。連絡もろくにつかないど辺境が都会化するのは恐怖だった。
そんな中、手を挙げた人たちがいる。
「お任せください。迅速に連絡をつけます」
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逆に夫側に責任がある場合、妻は法的には不利な立場だった。妻のふしだらを咎める法はあるけど、夫のそれを咎める法はない。これで離婚したいと思うなら売り飛ばされるしかなかった
故に、売買の段になって怖気付く夫を妻が怒鳴りつけることも。
「さっさと売りなさい! アンタとはもうゴメンよ!」
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ある騎手は、自分から引き継ぐ騎手がこの先にいるネイティブに恐れを表明した時、言下に言い放った。
「チキンめ! おれがここまで届けた手紙を託す価値はない。すっこんでろ。休みなどいらん。もう1日、俺が馬を飛ばしてやる!」
こうして彼らは伝説になった。
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馬への負担を減らすため、手紙を詰め込んだポーチ以外はリボルバー拳銃一挺と水筒しか持たない彼らは、盗賊、ネイティブアメリカン、その他荒野の危険全てに馬一頭を友として駆ける。
駅の数は184。もちろん、その全てを一人で踏破するわけではない。しかし例外もある。
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しかし料理人であると同時に、マーシャルは当時の女性としては異例の野心家だった。
「美味しい料理に需要はある。なら、料理学校を開いて生徒を育て、彼女たちを各家庭に斡旋すれば、大きなビジネスになるわ」
こうしてマーシャルは夫と共に料理学校を開き、雇用斡旋企業まで作る。
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見栄え良く、経験を積んだ客室乗務員であるジェソップは見事採用された。
「嘘みたい。移民で貧民の私がお城みたいな船で働けるなんて。シンデレラみたいね。ま、もてなす側だけど、さ」
こうして1911年からジェソップはオリンピック号で勤務し始めるものの、巨大船舶はトラブル尽くしだった。
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