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それから何週間かした後、同じ車がガソリンスタンドにやってきた。後部座席にペンギンを乗せて。
「あれ、お客さん、そのペンギンは動物園に連れて行ったのでは?」
「ああ、連れて行ったよ! だから今日は水族館に連れて行くんだ!」
給油を終えるとペンギンを乗せて車はまた走り去ったのだった…
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西部開拓時代の西部アメリカが無法者の蔓延る荒野だったのは有名な話だけど、カナダにもそんな時代があった。
19世紀後半になってもカナダは広大な土地に対して警察力が追いついておらず、都市を離れれば忽ち無法地帯となる。それが最悪の形で表現されたのが1873年だった。
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一応解説すると、隠された意味は存在しない。ペンギンジョークと言うジャンルは日常生活にペンギンがいるのに誰も突っ込まないと言うシュールさを想像して楽しむジョークみたい。
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こうして、ポニー・エクスプレス・サービスが始まった。
「求む、針金のように痩せた10代の男。単身、危機に挑み、使命を生命より重視せねばならぬ。孤児は特に優遇。以上」
男気を煽る挑発的な文句に向こう水な若者が大勢志願した。
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1809年11月。オーストリアでイギリスの外交官が煙のように消えた。秘書や従者の見ている前での事だった。以後、彼の行方は杳として知れない。
ドラえもんでも取り上げられた有名な神隠し事件のひとつ。さて、この外交官の身に何があったのか、今日は話しましょう。
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それが蔑ろにされたと感じた時、民衆による私的制裁のスイッチが入るし、一度入れば民衆にもそれは止められない。行くところまで行って暴力を振るって発散するまで止まる事はないし、終わった後も懲罰的な事をやれば再度燃え盛る。
法は民衆のバランス感覚の後追いをしているのね。
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稼ぎ手を失った一家の為に母親は船舶の客室乗務員になるも、5年後に体調を崩す。ジェソップは学校を辞めた。
「母さんには無理をさせたし……。これからは私が家長みたいなものだわ」
ジェソップは母の後を追って客室乗務員に応募するも、余り若い女性は、と難色を示される。
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17世紀、イギリスで普通の人達が離婚をするのは大変困難だった。離婚法は厳しく、手間と費用が掛かり、庶民にとって離婚はとてもハードルが高い行為となる。
しかし元は他人の男と女。上手くいかない時だってそれはある。こうして、代替の離婚手段として妻売りが始まる。
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カリフォルニアは東部から始まったアメリカのフロンティアのいちばんはしっこだった。そこが急速に人口を伸ばし、都会化されていく。ワシントンはカリフォルニアをマトモに把握できない。やり取りもまともにできない相手を同じ国と言っていいのか。
手紙は送れる。しかし届くまで一月掛かった。
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これほどの海難事故の当事者でありながら、ジェソップは僅か2ヶ月で再び客室乗務員に復帰した。また、センセーショナルな事故であるタイタニック沈没に関しても頑なに口を開く事は無かった。
「船長は立派な方だったわ。悪いとこ探しのマスコミには、うんざりよ!」
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アーサー王物語の決定版となる『アーサー王の死』を書いたトマス・マロリーとはいかなる人物なのか?
この特定作業の最中、有力人物として浮上した騎士のパーソナリティが明らかになると、イギリス中が困惑した。
マロリーは客観的に見てろくでなしの犯罪者で、騎士の名に値しなかった。
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流石にこの事故の後ではジェソップも海が怖くなったものの、結局彼女は客室乗務員に復帰した。彼女は船と海が好きだった。旅客に仕えるのが楽しかった。
ジェソップは1950年まで客室乗務員として務め、最後の航海を終えた後、静かに余生を送る。
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武田信玄といえば尊師の兵法、『風林火山』。
速き事風の如し
静かなる事林の如し
攻める事火の如し
動かざる事山の如し
日本人なら知らぬ者とてなし無敵、武田の軍略。
ところが実はあと二つ続きがある。
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「若い方が体力がありそうなもんだけど、何でかしら? どうも身綺麗にしてると採用されにくいみたいね。なら流儀に従いますか」
ジェソップは化粧せず、衣服をわざと汚して面接し、客室乗務員に採用される。
「どうも釈然としないと言うか……。まぁ、気にしても仕方ないか」
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