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5/31の朝ドラ「#ちむどんどん(37)」では、新聞社で修業中の暢子の電話応対について、デスクが〈お宅の会社じゃなくて「御社」。うちの会社は「弊社」〉と指摘します。でも「御社」「弊社」が口頭語として一般化したのは、実は1980年以降。ドラマの舞台は70年代ですから、大目に見てあげてください。
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「分かる」を漢字で書くと、仮名の「わかる」にするよう編集部から求められることがあります(一般向け・子ども向けを問わず)。場合によって応じますが、謎ルールです。「分かる」の読みは小学校で習うし、堅くも難しくもない。「分かれる」と区別するためともいいますが、送り仮名で区別できます。
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このたびの米大統領選挙に関しては、明らかなフェイクニュースが日本のSNSでも出回り、実感としては4年前の前回選挙以上のすさまじさでした。驚いたのは、名の知れた識者、ジャーナリストといった人たちが、すぐ分かるフェイクを無批判に流すこと。こんなことに驚くのは、私が世間知らずなのかな。
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現在に話を戻すと、普通の社交上のメールでは「取り急ぎお礼まで」で十分でしょう。一身上のことで非常に世話になった場合は、ややもの足りないかもしれず、前述のように「何とぞよろしくお願い申し上げます」と続ける方法はあります。これも常用すると重いと感じる人もいるかもしれませんね。
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椎名林檎・宮本浩次「獣ゆく細道」は、旧仮名遣いで意味を取るのに一苦労。あとで確認しようっと。「本物」に「モノホン」、「贋物」に「テンプラ」、「無意味」に「ナンセンス」など、ルビもすごい。たしかに授業にもぐりこんでいる偽学生のことを「テンプラ学生」と言ったりします。
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さすがに視聴者からクレームが入ったらしく、後に男性アナは冗談を交えながら「不快に思った方いらっしゃったら、本当に申し訳ございませんでした(スタジオ笑い声)。これは真剣に謝っております」。なんだこれは、とあきれた次第でしたが、言いたいことの主眼はそこではありません。〔続く〕
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上司に対し「了解しました」は「承知です」よりもなお不適切と筆者は主張するのですが、実際は「承知でーす」と言う人はむしろ少なく、「了解しました」のほうが受け入れられているのではないかな。マナーの先生の「了解」に対する目は不当に厳しい。▽プレジデントオンライン president.jp/articles/-/656…
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日本語同士のやりとりでも、なかなか話が通じないことがあります。インタビューをまとめていただきました。▽SNS上で起きる日本語のすれ違い:「言葉が通じない」のはどんな人? nippon.com/ja/features/c0…
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「了解」「承知」の区別は、べつに相手が目下か目上かには関係ない、ということを、私は何度かツイートしています(特にこれ twitter.com/IIMA_Hiroaki/s… )。ところが、その私は2013年、大学のセミナーで「相手には『了解いたしました』より『承知いたしました』を使ったほうがいい」と述べています。
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もはや「定期」ですが、この際、以下もご参照のほどを。
twitter.com/iima_hiroaki/s…
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菅田将暉「まちがいさがし」で「正しくありたい あれない 寂しさが」の部分は「ある」の可能形の否定という珍しい例です。「ある」の可能が「あれる」、その否定で「あれない」。辞書編纂者の見坊豪紀は「国家権力に完全に無関心であれる」という例を採集していますが、珍しいのは確かなようです。
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つまり「所さん!」の話は前提から誤っています。オンデマンド配信で見ると〈専門家によれば、「い」が発音できない原因は、口をしっかり横にひらけないこと〉。姿勢が悪いために「令和」の発音が変化したかのようなまとめです。専門家は「姿勢が悪いと『い』が言いにくい」という話しかしてないのに。
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私が普段使っている感覚では、『広辞苑』は明確な誤りが少ない辞書のひとつです。それでも、おそらく編集部では、『広辞苑』新版の誤りを1か月以内に100は見つけるでしょう。約25万項目のうち、仮に100の誤りがあっても、それはきわめて少ないと言えます。報道される誤りに至っては微々たるものです。
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ちなみに、この表は左右のどちらが古い意味、新しい意味というわけでもありません。一般的な文章を読むときは、まずは①の意味で、次に②の意味で解釈してみるといいのではないか、という観点で並べてあります。この順番は、将来的には変わる可能性があります。
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相手が「その言い方は失礼に感じる」と言うなら、それを避けてあげるのも思いやりです。ただ、「昔からそうだ」「そう言われている」という主張を聞いたら、「本当に昔からなのか」「誰が言ってるのか」と疑問を持ってみることも必要です。私も気づいたことがあれば情報提供します。
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こう書くと、「ははあ、『父』は2年生で習う字なので直されたのね」と思われるかもしれません。そういうことではなく、先生は「これはあて字」と言いました。かつて「お父さん」はあて字扱いだったんです。「当用漢字音訓表」にない読みだったから。「お父さん」が認められるのは1973年です。〔続く〕
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「がっかり」は「相手・他人のせいで思いどおりにいかなかった」という語感もあります。ただ、「100点取れなくてがっかりだ」と自己責任の場合にも言うので、必ずしも責める要素はありません。とはいえ、病人に自分の落胆を伝えるのは控えたく、「残念」も気を遣わせるので遠慮したいということです。
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アンケート結果には山ほどリプライがついているので、今さらですが、「80点の太郎さんの次に成績がいい人」と言われれば、太郎さんよりやや成績がよくない人を指すはず。それで、アンケートの答えはBで動かないと思ったのですが、数列的に考えるなど、別の考え方もあるのかな、と素朴に驚いた次第。
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語源については複数の説があるのが普通です。明らかに非合理な説は排除する一方、合理的なものはそれなりに評価するのが学問的態度です。テレビ番組で、その合理性の評価を放棄し、「※諸説あります」と表示してすますことがありますが、事実を探求する姿勢ではない。語源の話にとどまりませんね。