飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(新しい順)

1
「狂う」などのことばが漫画でNGになって困るという趣旨のツイートを読みました。出版社は対象読者、偏見防止などを考えて用語を決めているはずで、必ずしも「ことば狩り」とは思いませんが、出版社と作家とで意見が違う場合は話し合ってほしい。発言力のある作家さんには特にお願いしたいです。
2
「○○様(よう)の」という言い方については、『三省堂国語辞典』第8版でわりと分かりやすく説明しています(宣伝)。「熊様の動物」は、たしかに「熊さま」とも読めますが、警察発表などの硬い言い方で使われることは知っておきたい。「バールのようなもの」は「バール様のもの」ですね。
3
「熊様の動物」について、真面目だけれど巧まざるユーモアの含まれた説明ですね。 twitter.com/hakodate119/st…
4
「『的を得る』は本来は『的を射る』だった、でも最近は『的を得る』も認められた」というのは誤解で、「本来」を言うならば「正鵠を得る」でした。戦後、「的を射る」がやや先行して増え、「的を得る」が追う形ですが、どちらか一方が正しい、間違いとは言えません。このことは強調しておきます。
5
「的を射た意見」も「的を得た意見」も、特に戦後広まったと『三省堂国語辞典』第8版にありますが、戦前はもっぱら「正鵠(せいこく)を得た」でした。「正鵠」は的の中心の黒点。「得る」はうまく捉える意です。「的を得た」はそのバリエーションです。国会図書館の資料から時代的変化が分かります。
6
野球中継を見て「なんでそんなボールが取れないんだ」と、ポテトチップスを食べながら無責任につぶやく。独りのときなら許されるかもしれない。それと同じ気分で、みんなが見ているSNSでついつぶやいてしまう。そういう人を「チップス君」と呼んだらどうか。ChatGPTに提案したらたしなめられましたが。
7
ツイッターのAPI制限と、「TweetDeck」などの閲覧アプリが使えなくなったことで、ことば観察の作業に大きな支障が出そうです。これまで、たとえばツイッターで「普通の」「普通な」のどちらが多く使われているか、一定時間のツイートをすべて取得して調べたりしていました。これができくなりました。
8
「APIを使い切る」は、「ギガ」(単位)を「ギガ(資源)が減る」などと使うのに似ています。また、「APIで見れない」のように「API」を「API制限」の意味で使うのは、「USB」を「USBメモリ」の意味で使うのと、どこか似ています。今後、制限が継続するならば、こうした言い方は定着するのでしょうか。
9
ところが、面白いことに、「APIを使い切る」「API消費」「API配給」のようにAPIを「資源」の一種と捉えたり、「APIで見れない」「API来る」「API引っ掛からん」のように「制限そのもの」と捉えたりする用法があるようです。指摘している人、多いですが。
10
APIというのはインターフェイスの一種、非常にざっくり言えば「仕組み」の一種ですね。たとえば、ツイートを投稿したり閲覧したりする場合、ツイッター閲覧アプリはサーバからそのための「仕組み」を呼び出す。今回、その呼び出し回数に制限がかかった、ということと理解していいんでしょうね。
11
「あなたに仕事を頼もうかと思います。まだ最終決定でなく、別の人に頼むかもしれませんが、ご都合どうですか?」みたいな依頼が来たら、断ったほうがいいです。「あなたでなくてもいい」という相手とは、ベストの仕事はできません。よほどお金に困ったら分かりませんが、私は原則、断る方針です。
12
「これは区別であって、差別ではない」という論法は、「これは多角形であって、三角形ではない」という論法と似ています。多角形であって三角形でないもの(四角形など)はありますが、多角形だから三角形でない、とは限らない。その区別は本当に差別ではないか、確かめる必要があるということです。
13
「これは区別であって、差別ではない」という論法があります。しかし、「差別」はもともと差をつけて区別することで、特定の人々に不利益・不平等が及ぶのが一般に言う差別です。したがって、「区別であって、しかも差別である」という場合はあります。区別が不当であれば、それはイコール差別です。
14
『週刊文春』6/29号で能町みね子さんが「LGBT理解増進法」について述べた文章が勉強になりました。能町さんの見解を知りたかったところでした。〈理解なんかしなくていい、差別しないでくれればいいのだ〉〈〔『不当な差別』の文言に〕差別は本来全て「不当」である〉という部分に深く納得しました。
15
6/24の日テレ「#世界一受けたい授業」では触れることができませんでしたが、これまでに私たちの辞書から削られた項目が『三省堂国語辞典から 消えたことば辞典』としてまとまりました。現代語を追求する『三国』本体では割愛したことばたちを、どうぞ味わってください。dictionary.sanseido-publ.co.jp/dict/ssd36624
16
宇宙飛行士の方々には心からの敬意を持ちつつ、『三省堂国語辞典』第8版では、「スペースシャトル」など約1100の項目を削りました。編集委員としても心が残る思いです。百科事典的な項目を抑え、歴史的に重要な語句なども、なるべく大辞典や専門の辞典に譲った結果でもあります。 twitter.com/Astro_Naoko/st…
17
「さらなる」は平成に登場した誤った日本語、という意見がありますが、どうも無理っぽいです。遅くとも明治時代末期から少なからぬ例が拾われます。『岩波国語辞典』は〈第二次世界大戦後に使われ始めた〉としますが、使われ始めたというより、戦後に大幅に増えたということなら、たしかに言えます。
18
18日まで開催された東京駅の「空也上人大集合展」で使われた「そうだ 京都、行こう。」の方言訳を紹介したところ、地元の感覚からは違和感があるという声が、けっこう聞かれました。それならば、自然な方言ならばどう言えばいいのでしょう。「#そうだ方言」のタグで修正を加えていきませんか。
19
さて、空也上人の等身大パネル47体には、それぞれ「そうだ 京都、行こう」を各都道府県の方言に訳したせりふが書かれています。私にはこれが興味深く、全部のせりふを記録しました。集客に影響があるといけないので、一部を除き都道府県をぼかしてご紹介します。残りは会場でお確かめください。
20
「インクルーシブ」(いろいろな個性を排除しない)をGoogleで調べると、「排除的、排他的」と出てきて驚きました。これでは真逆の意味です。リンク先を見ると「インクルーシブ」とともに反対語「イクスクルーシブ」も説明されています。こちらが機械的に引用されたらしい。Google検索では注意しよう。
21
SNSで人のナマの思考に接することは、自分がテレパスになる(読心能力を持つ)ようなものだと述べたことがあります。筒井康隆「家族八景」のテレパス七瀬は、時に応じて心の「掛け金」をおろし、他人の思考をシャットアウトします。SNSを見るときも、時に応じて心の掛け金をおろすべきではないかな。
22
昔は「情報過疎」「情報格差」など、情報が得られないリスクが議論されました。今もそれはそうですが、広告や「おすすめ」など、いらない情報をシャットアウトする技術や能力が問われていると思います。「テレビは○時間以上見ない」を守る小学生のように、「見ない技術」が重要になっています。
23
ツイッターの「おすすめ」攻勢が激しいので、「おすすめ見ない対策」が必要になってきました。おすすめに引きずられ、本来私自身が欲していない情報におぼれることは避けたい。表示を減らす方法はあるようですが、結局「自分が見ない」に尽きます。私の対策は、とりあえずこの3つを見ないことです。
24
ChatGPTに「右」を説明してもらうと、ツッコミどころの多いものができます。「右手」「右側」など「右」自体を含むことばで説明したり、「東を意味する」と述べたりして、説明になっていません。現状では、人間があれこれ調べ、考えて書いた説明のほうが勝るようです。あくまで現状では、ですが。
25
レポート執筆にChatGPTの使用を許可するのは、寛容に見えて実はそうでもありません。教師が「ChatGPTでも書ける内容は不合格」という基準を設定すれば、現状では、多くの学生が不合格になりかねない。合否判定基準をどこに置くかはともかく、レポートの判定基準がシビアになる可能性はあります。