飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(リツイート順)

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私はツイッターで「このことばは誤り」と決めつけることには慎重ですが、「誤りではない」と否定形はよく使います。分かりやすく言おうと思うからですが、もともと正誤に基準がないのだから、本当は別の表現のほうがいいのです。『三省堂国語辞典』では事実や理屈を示し、使用の参考にしてもらいます。
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12月刊行の『三省堂国語辞典』第8版では、「このことばは誤り」とか、反対に「誤りでない」とかいった表現を極力避けていることに気づかれるでしょう。正誤の基準はもともと曖昧です。それよりも、論理的におかしくないとか、古くから使われているとか、事実を示したほうが有益だと考えるからです。
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水森かおり「いい日旅立ち」に出てくる〈あゝ 日本のどこかに〉の「あゝ」の表記。「ゝ」は昔は「こゝで」「このまゝ」などと普通に使われましたが、今の歌ではなぜか「あゝ」とか「おゝ」とかにしか使われません。ほかの例があれば、それは珍しい例です。
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読書案内。踏切の一つ一つにも名前があります。しかも珍名も多くて「馬鹿曲(ばかまがり)踏切」「レコード館踏切」「洗濯場踏切」さらには「爆発踏切」など、ワケの分からんものも。その由来を調べると、知られざる歴史が見えてきます。▽ゆかいな珍名踏切 今尾恵介著 yomiuri.co.jp/culture/book/r…
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この古典17作品以外でも、「いまそかり」は芭蕉の俳文などにも出てきます。「猶(なほ)父母のいまそかりせばと」(「としのくれ」)というふうに。結論としては、あまり見かけない奇妙なことばでも、覚えておくとやっぱり役に立つかもしれない、ということです。
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Little Glee Monster「ECHO」は「駆け抜けた証を掴み取りたいのだから」と応援する歌。今回の「紅白」では「この時代のチャンピオンさぁ 掴めNo.1」(キスマイ)、「震える手は掴みたいものがある」(LiSA)と、目標をつかもうとする歌が印象的です。五輪を控えていることとは関係なさそうですね。
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一般名詞や固有名詞の「十」は「ジッ」か「ジュッ」か。今やレジェンドの女性アナが1989年1月5日放送のNHK教育「ETV8」で「十返舎一九」を「じゅっぺんしゃ…」と読んだ時点で、私の中ではどっちでもよくなりました。なお、NHKの最新版のアクセント辞典では一般に「ジッ」が主、「ジュッ」は許容です。
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新聞社や出版社、放送局の内部で、ことばの取り決めがあるのは当然のことです。記者やアナウンサーがばらばらの言い方で情報を送っては、読者や視聴者が混乱します。社内で統一ルールを作るのは必要なこと。さらに、そのルールを社会に紹介するのもありでしょう。ただし、「あくまで参考として」です。
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カープ仕様の『三省堂国語辞典』で選手の例文を探して楽しんでいただくついでに、ぜひ他の例文にもご注目を。たとえば、キャンディーズ「春一番」、岩崎宏美「ロマンス」、ウルフルズ「それが答えだ!」の歌詞を基に並べた例文があるんですが(つまり3つの歌に共通する語があるわけ)、分かりますか。
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MISIA「Everything」で「やさしい嘘ならいらない」、山内惠介「唇スカーレット」で「これが たとえ嘘でも」と使われる「嘘」。どちらも普通の字のようですが、辞書を見ると「噓」となっています(右下の部分に注目)。書籍ではこれが標準字体なんですが、世間的には「口」の横に「虚」が標準ですね。
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なお、この本の差別性を指摘したのは、親子3人の一家でした。指摘は各出版社に宛てた手紙から始まりました。岩波書店はこれを受け、明確な意識をもって絶版にしました。この限りでは圧力があったとは言えません。ただ、指摘者の活動はその後も続き、すべての活動が妥当だったかは分かりません。
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大学の文学の授業で「この作品はいいか悪いかと尋ねられることがあるが、研究者はそういう問いへの答えを用意していない」という意味のことを聞いた記憶があります。現代の目からは凡庸でも、文学史的に画期的だったりしますからね。むしろ作品それぞれの意味を見出すことに研究者は興奮するのかも。
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筆者案の標題は「伝わる読点(テン)の打ち方とは?」でした。地味なので、編集部と相談して「おじさん構文」を前面に出した標題となりました。おじさんが読点を多用するように見える理由にも触れているので、まあいいかと思いましたが、「標題がずれている」という反応も多い。申し訳ないことです。
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読書案内。ディズニーの内部で、女性アニメーターたちが、屈辱に耐えつつ作品に貢献してきた様子が分かります。読書中、参考に昔のアニメを見たり、当時の写真を眺めたりしていたので、昔のアメリカにしばし幽体離脱したような錯覚を覚えました。▽アニメーションの女王たち bookbang.jp/review/article…
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……と、なんかきつい言い方になってしまいましたね。実は、先ほど「『県をまたぐ』は当然誤りでないですよね」という前提で、「念のために言うと……」という気持ちで、もっとマイルドな表現でツイートしました(↓画像)。ところが、これが私の意図とは真逆の反応を引き起こしました。〔続く〕
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#マー姉ちゃん」で驚くのは母親の描かれ方です。夫の遺産をみな困った人に施し、家の貯金はゼロに。娘の収入にも手を付ける。今のドラマなら間違いなく迷惑キャラの立ち位置です。掲示板でも「母親に腹が立つから脱落した」との意見が。でも、ドラマでは「信念ある母さん」的な位置づけのようです。
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「どのことばも理由があって生まれてきたので大事にしたい」というのは私の本音です。「どんな人間も生まれた理由はある」的なとらえかたですね。以前NHKの取材中にぽろっと語ったことばで( twitter.com/nhk_proff/stat… )、ツイートするときにも頭の片隅に置いています。
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乃木坂46「裸足でSummer」。乃木坂の曲を根拠に辞書の項目の候補にしたことばとして「インフルエンサー」があります。今回の曲にも「サイドウォーク」(歩道)、「ルイボスティー」など小型辞書に載っていていいかな、と思うものがありました。
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4月からのTBSドラマ「持続可能な恋ですか?」では松重豊さんが国語辞典編纂者を演じる。どんな演技をされるか楽しみです。松重さんのコメントのとおり、必ずしも堅物でない姿が見られるのではないかな。編纂者という仕事が世の中に認知されるきっかけになるでしょうか。tbs.co.jp/jizokoi_tbs/
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東京駅の近くにある八重洲ブックセンターは、1980年代に少年だった私が、夏休みなどに郷里の香川県から上京するたびに必ず訪れていたお気に入りの書店です。まだ新しいピカピカした建物で、ここに行けばどんな本でも手に入る驚きの書店でした。私が育ててもらった恩ある書店のひとつです。
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私の文章論の本も踏まえたロングインタビュー。〈難しい言葉を知らなくてもいい〉、つまり語彙力がなくても分かりやすい文章が書けるという話ですが、べつに逆張りではありません。難しいことばは相手も自分もどうせ知らないので、伝達の妨げになるのです。▽クリスクぷらす plus.clisk.com/article/5345.h…
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「大喪の礼」自体は、ことばとしては遅くとも明治時代からありましたが、人々に知れわたったのは昭和天皇の大喪の時で、一種の新語と言えるでしょう。この出来事に立ち会った大人にとってはなじみの語になりました。その当時子どもだった人々にとっては、今日でもなじみがないだろうと思います。
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『三省堂国語辞典』第8版では〈②大きく育ったようす〉として「たわわに実ったスイカ」を示していますが、不十分かもしれない。文学作品には、髪(三島由紀夫)や身体(石原慎太郎・開高健)の例もあります。〈湧き出る水もたわわ〉という文例もあり、総じて「豊か」という意味で説明できそうです。
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『明鏡国語辞典』第2版は、「恣意的」について〈「意図的」(=あるもくろみをもって行うさま」の意で使うのは誤り」としています。でも、これは断定しすぎです。もちろん「恣意的=意図的」ではないのですが、「恣意的」と「意図的」には重なる部分があるので、誤りとまでは言えません。
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『三省堂国語辞典』には堂々と〔「押しも押されぬ」は あやまり〕と書いてあります。でも、資料が増えれば、判断も変わる。1909(明治42)年の雑誌『太陽』にも〈押しも押されぬ人〉とあり、源流はさらに古くさかのぼる可能性があります。