751
752
753
戦前の漢字字体については、我ながら認識不足でした。漢字の字形(トメハネなど)が厳しく採点されはじめたのは1960年前後と言われます。字体についても、戦後は字体表どおりかどうか、と厳しくなりました。一方、戦前は地下鉄の看板さえ不統一だったとすれば、戦前・戦後で意識が相当異なるわけです。
754
昨日の「今年の新語2019」イベントはおかげさまで大いに盛り上がりました。先ほど、上位10位に選ばれたことばの選評が出ました。その語を、どういう理由で、今後辞書に入れてもいいと考えたか、そこのところをぜひお読みください。#今年の新語 htn.to/2h68T2PT3b
755
すでに調査はありますが、私も独自アンケートを取りたいと思います。どうぞお教えください。
山手線の新駅の名前を「高輪ゲートウェイ」にすることについて、どう思いますか。
(1) 適切である
(2) 不適切である
756
自分の主張を人に「信じて」もらうためには、必ずしも根拠は要りません。「地球は平らだ」と思っている人に「地球は丸い」と信じてもらうためには、「昔、神がこの地を球体に作られました」などと詳細に物語れば、うまくいくかもしれない。これで通用している主張は、周囲にもけっこう多いですね。
757
「多忙」は明治の海外視察報告書『米欧回覧実記』(1877年)の〈五六月までは、事務多忙なり〉という例あたりが古いらしい。100年以上にわたって、このことばはまさしく多忙に働いてきました。怪しげなマナー本の主張によってその使用が控えられるとしたら、日本語にとって大きな損失です。
758
759
大阪府知事の「ガラスの天井」の用法は、定着していない時点では誤用と判定すべきではないか、これが誤用でなければ、どんな場合が誤用なのか、と質問をいただきました。ごもっともです。私は日頃、誤用の基準はないと言っていますが、それでは議論にならないので、もう少し緩く考えましょう。〔続く〕
760
『三省堂国語辞典』第8版の削除項目について、今後もメディアで紹介される見込みです。たとえば「ペレストロイカ」をなぜ削るかという声も多いですが、端的に言うと、近現代史用語は『大辞林』(大型辞典)や『三省堂現代新国語辞典』(学習辞典)に譲り、『三国』は日常語を重視するということです。
761
これは、そのとおりかもしれません……。今のうちに『三省堂国語辞典』の第7版もご購入ください。 twitter.com/kamikoshiki_/s…
762
辞書編纂者・見坊豪紀(けんぼう・ひでとし)は、日々、新聞や雑誌から多数の用例を集め、採集カードは生涯に145万枚以上に。切り抜きの必要から、新聞・雑誌は2部ずつ購読していた。天才編纂者のこうしたディテールはドラマ「相棒」によく反映されていました。神森万里江さんの脚本に唸りました。
763
「今年の新語2021」の選評が、きょうの昼に出ました。大賞の「チルい」については予想どおり「知らない」という声も聞かれますが、なぜこのことばが選ばれたかなどを詳しく書いてあります。他の語の入選理由とあわせて、楽しんでお読みいただきたいと思います。dictionary.sanseido-publ.co.jp/211201_shingo
764
事後報告ですみませんが、けさ(5/24)のNHK「#あさイチ」の夫婦の関係性特集で、配偶者の呼び方についてコメントしました。リモート出演だったので、スタジオとのやりとりが不安でしたが、ウェルカムな雰囲気で助かりました。スタッフの皆さんにも助けられ、とても感謝しています。
765
766
三省堂辞書スタンプはメディアでも話題に。売れ行きに驚愕する三省堂のコメントはこちらです。これからの辞書は、欲しい項目だけダウンロードしてもらうというのもアリかも。▽説明ウザい?辞書スタンプ話題に SNSで反響広がり販売急増...発売の三省堂「非常に驚いている」 j-cast.com/2023/02/064555…
767
いじめ問題が深刻になった頃、文科省がいじめを定義し、それが改定され、さらに「いじめ防止対策推進法」の条文が整備されるに至った、と理解しています。社会がいじめ問題に取り組むには、国による定義が必要でした。「反社会的勢力」についても同様で、政府見解が揺れていては困るはずです。
768
Perfumeの曲紹介で、西脇綾香さんが〈紅白さんではまだ歌ったことのないとっておきの楽曲なので〉。番組名を「さん付け」で呼ぶのが珍しくて面白かったです。
769
後追いとは言っても、もちろん、なるべく現実のことばに近づこうと、辞書の作り手は努力しています。「今までの辞書に載ってなかったけど、こういう言い方、昔から普通にあるよね」ということばを発見したときは、ちょっとドキドキします。
770
771
1/16頃、ポプラ社から『ことばハンター』という本が出ます。ことばを観察する面白さ、辞書づくりの喜び苦しみ、また、私が成長する中でどんなふうにことばに関心を深めていったかなど、子どもにも楽しんでもらえるように書きました。子どもさんも大人さんもご一読ください。poplar.co.jp/book/search/re…
772
「大辞林」「大辞泉」以外の国語辞典は、今後、唯一無二の内容を持たなければ、存在が許されなくなるでしょう。『現代国語例解辞典』の類義語の比較はその一例ですが、ほかにもいろんな可能性があるはず。過去の蓄積を踏まえつつ、従来とは一線を画した内容にすることが、各辞書に求められています。
773
「多忙」失礼論は、おそらく、まず「忙」が「亡」を含んで不吉なので使用は不適切という話が生まれ、それだけでは弱いので、「実は相手にも失礼なんです」という理屈が後づけで誕生したのだろうと推測します。そういう意味合いを感じる人がいてもいいのですが、マナーではないということです。
774
NiziU「CLAP CLAP」は手をクラップして地球の裏までもつながろう、という曲ですが、私なんかは坂本九さんの歌った「幸せなら手をたたこう」を思い出してしまうわけです。あの歌の令和バージョンはこうなるのか、と感慨があります。
775
三浦大知「Blizzard」の「期待を詰め込む圧が乱反射」というのは、周囲からの期待の「圧」(圧力、重圧)ということでしょうか。「圧」は最近、「顔の圧がすごい」などと、インパクトの意味でも使われます。このあたりも、辞書の説明は物足りないかも。