飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(リツイート順)

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「サウスポーの語源は分かりません」という放送は、「諸説」を丁寧に吟味し、不明は不明として示したところがよかった。勉強にもなりました。「分からないなら放送するな」という声も多く届いたでしょう。だとしても、ひるまずに、その番組がその後も同じ姿勢を貫いてくれていればいいな、と思います。
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「ご苦労さま」「お疲れさま」の用法がまた少し話題になっているようです。どちらも世代・職業などによって受け止め方が異なることばですが、礼儀正しく心を込めて使われてきた歴史があります。自分が使いたくないことばは使わないとしても、他の人の使い方は尊重するというのが平和な態度でしょう。
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「あんまん」はあんこが入っている。「肉まん」は肉が入っている。「カレーまん」はカレーが入っている。じゃあ、「ピザまん」はピザが入っているのか。こういうことは、国語辞典にちゃんと書いておきませんとね。
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「NHK紅白歌合戦」の放送が始まりました。今回は「有観客」の紅白となりました。この「有観客」も、コロナ禍で「無観客」ということばが一般化してから、その後に広まった、一種の新語ですね。
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辞書は語を「定義」するものではなく、世の中の用法を観察し、「説明」するものです。既存の定義も、説明の参考資料です。「反社会的勢力」の場合、政府の定義が参考にならないとすれば、辞書は現状を観察して記述するしかない。目下「デジタル大辞泉」の記述は、信頼できる「説明」のひとつです。
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まふまふ「命に嫌われている。」は生きることにネガティブな歌かと一瞬思うけど、最後に〈生きて生きて生きろ〉とあるので、これは生きろソングですね。〈命に嫌われている〉は「命を嫌っている」と同義でしょう。「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」(ニーチェ)ではないけど。
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このネット検索万能時代に、国語辞典の役割は何か。私なりに表現すると「忙しいあなたに、パッと見るだけでことばの要点を分かってもらう。もし使用上の注意があれば、それもついでに書いとく」ということです。「何が正しいか分からん」とモヤモヤする人に、頼ってもらえる存在になることです。
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「読書」というと、まじめな本を読むイメージがあるけれど、どんな本でも読めばいいのです。漫画だって小説だって、ノンフィクションだって学術書だって、「読む」という楽しみの本質は同じで、区別する必要なんかない。そんなことを思いながら、『ことばハンター』を書きました。
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「黒人の命」という主語と「大切だ」という述語をどういう助詞で結ぶかという問題。日本語には「無助詞」もあるので、私は「黒人の命、大事だろ!」と解釈しています。バラカンさんの訳も納得。▽「Black Lives Matter」 定まらぬ日本語訳 黒人差別問題に関心を - 毎日新聞 mainichi.jp/articles/20200…
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ウタの曲名になっている「新時代」ということばは、もちろん新しい時代ということですが、広まったのは明治時代以降で、モダンでしゃれている様子にも使われました。芥川龍之介の文章に〈〔靴が〕新時代に出来上ってゐた〉とあるそうです。
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「フレンチトーストは1724年にニューヨーク州の居酒屋のフレンチさんが名づけたから」という説は、英語版ウェブサイトでも疑わしい説、せいぜい「諸説」のひとつとされているようです。それ以前に「フレンチトースト」と称する似た調理法もあり、フレンチをフランスと解して矛盾はありません。
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米津玄師「Lemon」は(機会がなかったので)聴きたかった曲のひとつです。ラブソングと言っていいのでしょうが、明示されない「言えずに隠してた昏い過去」が気になります。漢字辞典を見れば「暗い」「昏い」などの違いは一応分かりますが、歌詞では別の意味を込めているかもしれませんね。
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「インクルーシブ」(いろいろな個性を排除しない)をGoogleで調べると、「排除的、排他的」と出てきて驚きました。これでは真逆の意味です。リンク先を見ると「インクルーシブ」とともに反対語「イクスクルーシブ」も説明されています。こちらが機械的に引用されたらしい。Google検索では注意しよう。
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鈴木雅之「め組のひと」。「め組」って何のことか、昔はよく分かりませんでしたが、江戸時代に喧嘩事件を起こした町火消しの組のこと。つまり、町火消しのようにいなせな女性、ということですね。80年代、この歌を使った資生堂のCMでは、女性のファッションに江戸っぽさを取り入れていました。
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「『県をまたぐ』は誤りで『県境をまたぐ』が正しい」という呟きがありますが、「県をまたぐ」は問題ない言い方です。「またぐ」は「枕をまたぐ」のように物を飛び越える意味も、「日をまたいだ午前2時」のように区切りを越える意味もある。「県をまたぐ」は後者です。〔続く〕news.yahoo.co.jp/articles/e68a7…
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「ビャンビャン麺」の「ビャン」を漢字で印刷するとき、「しんにゅう」は1点か2点か、「穴かんむり」の下側は「儿」か「ハ」か、迷います。日本の明朝体の穴かんむりは習慣的に「儿」ですが、それに縛られる必要もない。一般には、図のⒸのように「1点しんにょう」「ハ」が多いように思います。
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「受け付け」「受付」が曖昧になるのは、基準になる内閣告示「送り仮名の付け方」の例示が不十分なせいもありますが、送り仮名というのは結局、書き手の趣味や言語感覚によって微妙に異なります。ただ、原則はお示しした感じでいいでしょう。▽送り仮名の付け方:mext.go.jp/b_menu/hakusho…
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遠藤周作の小説『スキャンダル』に「ハッピる」なることばが出てきます。ハッピーを動詞化したらしい若者ことばという設定ですが、「そんなことばはないやろ」と思っていました。今年になってローソンで「ハピろー!」という広告が出ているので、遠藤周作の先見の明に敬服した次第です。
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「中抜き」ということばは、「A 中間業者を飛ばす」と「B 中に入る者がマージンを取る」と両方の意味で使われるが、A→Bと変わってきたのでは? というご質問。「中抜き」は、いわゆる「キセル」を含め、昔からいろいろな意味があります。AもBも昔の辞書にはなく、どちらが古いかは決めにくいですね。
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歌謡曲「あの鐘を鳴らすのはあなた」で〈あなたには希望の匂いがする〉というのはOKなのか、「あなたからは~」ではないのか、というご質問がありました。言われてみると、どのくらい自然な言い方か気になります。私なら「あなたは希望の匂いがする」と言うような気も。少し考えてみましょう。〔続く〕
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昭和が終わる1月7日の午後11時59分、NHKでは松平定知アナがニュースの後に「昭和が終わります。平成元年が始まります」と静かに告げ、午前0時から「映像でつづる昭和史」が静かに始まった。平成を迎えた街の様子などの中継はありませんでした。喪中だったからか、報道価値はないと判断したのか。
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では、「お母さん食堂」の名称変更を会社に訴える署名活動は、方法として適当かどうか。平和的に再考を促すという趣旨であれば、意見表明の方法としてありうるでしょう。前述のように、「お母さん食堂」だけが問題ではありませんが、いろいろな事例の代表として取り上げる手法はありです。〔続く〕
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YOASOBI「夜に駆ける」で〈ありきたりな喜びきっと二人なら見つけられる〉と使われている「ありきたり」は、一般的には平凡でつまらない、というマイナスイメージを伴ったことばです。でも、ここでは「喜び」の修飾語です。平凡だけど大切、というプラスイメージを込めて使っていると考えられます。
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イタリア語は分からないのですが、『三省堂国語辞典』に「マリトッツォ」が載ることがイタリア公共放送のサイトで紹介されたようですね。『三国』もイタリアデビュー。記事では国語辞典がKokugo Dictionaryとなっていて、なるほどこの辞書名は翻訳しづらいのかと思いました。 rainews.it/dl/rainews/med…
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2000年に国語審が「ローマ字では姓→名の順の表記が望ましい」と答申した時、朝日(天声人語)も産経(主張)も賛意を示しました。「天津乙女」「霧立のぼる」は特別としても、姓名は全体でひとつの形だと思うので、私自身もIIMA Hiroakiと表記しています。▽朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASM5P…