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仕事などのため、複数の新聞を読む機会が多くなりました。ネットで読めない記事を読み比べると、今さらながら論調の違いがよく分かります。読み比べの必要性は昔から言われるけど、このネット時代、私を含めて常に実践している人は少ないのではないか。比較検討の力を養うためにはお勧めです。〔続く〕
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本日、能町みね子さん・今尾恵介さんとともに、JR東日本本社に署名を提出しました。早速報道してもらいました。▽「高輪ゲートウェイ」撤回へ4万8000人署名提出 nikkansports.com/general/nikkan…
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敬語に関して、「敬意低減の法則」の逆を行く現象が多くあるかどうか、ぱっと思いつきません。ただ、一般語では、たとえば「オタク」が蔑称だったのが、ある場合には尊称になる、といった例はありますね。「部長はコーヒーオタクですね」と言った場合、1990年と現在とでは部長の反応は違うでしょう。
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リアルな若い世代では、そもそもどちらも言わず、「とんでもないです」と言う人が多いと思います。「暑いです」「面白いです」と同じく「とんでもない」に「です」をつけるのは簡単な敬語で、若い世代はもう「とんでもございません問題」をクリアしているともいえます。
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「『十回』の『十』は『ジュッ』でなく『ジッ』と読む、本来の字音『ジフ』の変化だからだ」という主張があります。歴史的にはそうですが、現在の常用漢字表の「十」には「ジッ」の備考欄に「『ジュッ』とも」と記されています。現在一般的な「ジュッ」がお墨付きを得た格好。テストでは両方マルです。
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戦中のドラマに「地下鉄」(鐵でなく)とあるのを批判したところ、「戦前も『鉄』の例はある」とご指摘を受けました。戦前の漢字の多様性は知っているつもりでしたが、「手書きや広告はともかく、公共の表示は正字だったろう」との思い込みがありました。公共の表示でも略字があったことを学びました。
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朝ドラ「#エール」(5/22)で早慶戦を体験した音が「鳥肌まで立っちゃった。すごかったね」。「鳥肌が立つ」は「本来、寒さや恐怖を表す」と言われますが、感動や興奮を表すことは、この頃(昭和1桁)にありえたのか。実は、この頃にもあったし、平安~鎌倉時代の『宝物集』にもあります。〔続く〕
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1曲目のKing & Prince「I promise」は今月出た新曲とのこと。〈震えてる画面越しの〉というフレーズから、遠くの恋人とSkypeやZoomでコミュニケーションしている様子が浮かびます。コロナ禍とは関係ないのかもしれませんが、しっくり来る歌詞です。ポップスにもコロナが影響して不思議はありません。
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最後のお願いにまいりました。三省堂「#今年の新語2018」は明日14日が応募締め切りです。今年生まれた語、でなくていいんです。昨年はともかく、今年ぐらいから広まったな…と、あなたが思うことば。それをぜひお教えください。ハッシュタグで今日までの投稿も見られます。ご応募お待ちしています。
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「これは区別であって、差別ではない」という論法は、「これは多角形であって、三角形ではない」という論法と似ています。多角形であって三角形でないもの(四角形など)はありますが、多角形だから三角形でない、とは限らない。その区別は本当に差別ではないか、確かめる必要があるということです。
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発言録の文言が、各報道機関ごとに少なからず違いがあるのは気になります。〈女性は優れており〉などの文言があったかなかったかで、ニュアンスも変わります。この種の発言録は、新聞紙面の報道では要約するとしても、ネットでの配信は、言い間違いも含めてそのまま紹介してはどうでしょう。
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フレンチトーストは1660年初版の『The Accomplisht Cook』という本に「French Tostes」として出てきます。「フランスパンを切り、網でトーストし、ワインに砂糖、オレンジ果汁を加えたものに浸して供する」というので、卵には浸していませんが、現在のそれの原形と思われます。google.co.jp/books/edition/…
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芥川賞候補がすべて女性というのは文学史上画期的ですね。明治・大正の文学は、樋口一葉や与謝野晶子以外、主な書き手はほぼ男性でした。1980年代の『新潮現代文学』(作家別全集)全80巻のうちでも、女性作家の巻は倉橋由美子・田辺聖子ら全部で14巻しかありません。▽NHK www3.nhk.or.jp/news/html/2022…
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Snow Man「D.D.」。英語の多い歌は、用例採集の手を休めてゆったり聴いていることが多いです。でも、この歌では〈この地球(ホシ)〉〈頂上(テッペン)見せてあげよう〉など、独特の表記があると、おおっと思って記録します。
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SixTONESのアンニュイな雰囲気の「マスカラ」。〈馴染みの景色を/喰らえど喰らえど〉と出てくる「食らう」は、平安時代から例のあることばですが、当時から下品な語感があったらしい。「食う」から派生したとすると「ら」がどうして入ったのか不思議。「語る」→「語らう」の変化とは別のようです。
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18日のTBSテレビ「ニュースキャスター」で「三省堂国語辞典約8年ぶり改訂」について報道。私も辞書に載ることばを紹介し、思いを語りました。「斜め上」の新用法の出どころとして示した冨樫義博さんの漫画「レベルE」がトレンドに入ったりして、反響も大きかったようです。
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補足訂正です。先ほどの遠藤周作「沈黙」の例は、「一人ごち、」と後に何も助詞がつかないので、「勝ち、」と同様に五段活用かもしれず、「ひとりごつ」の可能性もあります。この例は除外しておきます。ただし、古文でない使用例ではあるわけです。
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DA PUMP「U.S.A.」は、私としては2018年を振り返るインデックスになるヒット曲でした。どうしてアメリカの歌なのかと思ったら、原曲が洋楽なんですね。英語を外来語の形で「オールドムービー」「サクセス」とカタカナで書く一方、「Inspired」と英字のまま使ったり、わちゃわちゃして面白い。
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かつて「ペレストロイカ」は日常用語だったのです。語釈に「〔もとソ連での〕政治・経済・社会などの改革路線」とあるように、「わが社もペレストロイカが必要だ」のように一般に使われた。だから『三国』に載った。でも、今や「ペレストロイカ」はそういう使い方はしないので、削ることになりました。
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いつも不思議に思うのは、平成元年前後のCDを今再生すると、平成元年に聴いたのと同じ音がするということです。「当たり前」と言われそうですが、古い音声と映像は劣化する時代に生きていたので、昔の音や映像がそのまま視聴できるようになった現在、時間の観念が消滅したような錯覚に陥るのです。
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このあとは「紅白歌合戦」を視聴しつつ、番組中に出てくる歌詞や発言から、新語・新用法などを拾う「用例採集」を行います。その様子をツイートしていくつもり。日頃、歌番組を集中して見る機会が少ないため、私にとって「紅白」は歌のことばを採集する貴重な機会です。素人的発言でもお許しください。
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「#ちむどんどん」の舞台の1970年代には「御社」「弊社」が一般化していなかったのは確かで、関係者にご一考いただければと思いますが、これがドラマのアンチの人々の攻撃材料になるとしたら心外です。私はこれまでも、作品のことばを理由に作品自体を否定したことはなかったつもりです。
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AKB48の歌唱中に内村光良さんが「指原放牧」という看板を持っていました。意味分からなかったけど、メンバーの指原莉乃さんが卒業することを指したんですね。「いきものがかり」が使った表現を踏まえたもの、というとでいいでしょうか。とすると、「放牧」の新しい意味が一般化するかもしれないわけ。