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もはや「定期」ですが、この際、以下もご参照のほどを。
twitter.com/iima_hiroaki/s…
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「違和感を感じる」は重言だと言って、機械的に「違和感を覚える」に言い換える例が多い。表現の幅を狭めている気がします。「覚える」以外にも「違和感がある」「違和感を持つ」「違和感が生じる」など多彩な表現があるし、そもそも「違和感を感じる」や「歌を歌う」だって使っていいじゃないですか。
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私もいくつか例を採集していますが、これは「反省すべきことがあれば反省する」という仮定法ですね。直接的な反省の表明を避けているのでしょう。とても便利そうなので、私も使うべきときがあれば使いたいと思います。 twitter.com/green_apple_xx…
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キラキラネームを積極的には勧めたくない、と思っていた10年前の私を論理的に叩きのめしたのは、大学のある授業で提出された学生のレポートでした。「名前らしい名前」はどの時代も常に変動しているのだという趣旨。たしかに「頼朝」は大昔のキラキラネームでした。▽毎日新聞 mainichi.jp/articles/20230…
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現在の私は、他人様の家庭での命名方法には特に何も意見がなく、「お望みのままに」という感じです。ただ、今後は、子の命名理由を役所にきちんと説明できる家庭に斬新な名前が増えるかもしれない、とは思います。役所に対する説明能力が問われる時代になるかもしれないと。
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あることばに違和感を感じ、「自分はこのことばを使わない」と言うのと、「他者がこのことばを使うのも認めない」と言うのとではまったく話が違います。誰にでも前者の自由はあるが、後者の権利は必ずしもない。これは他者が自分(の方式、主義)と違うことをどれだけ許せるかという話でもあります。
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これは何もことばだけの話ではないのですが、私は仕事柄、ことばについて話すのみです。「自分の隣にいる人のことば遣いが見るのも聞くのも嫌だ」という場合、よく自省してみると、それは単に自分と違うから、ということにすぎない場合も多いのです。
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「その言い方は変だから使うな」と断定的に言うべきでないのは、各人の考える「変」がそれぞれ異なるからです。書き手は周囲の人やネット、辞書などの記述も参考にしつつ、最終的には自分の言語感覚に基づいて書く自由があるし、責任があります。
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三省堂が『明解国語辞典』刊行80周年を記念して販売開始した三省堂国語辞典・新明解国語辞典のLINEスタンプですが、ウザい説明が受けているようですね。私もダウンロードしました。
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三省堂辞書スタンプはメディアでも話題に。売れ行きに驚愕する三省堂のコメントはこちらです。これからの辞書は、欲しい項目だけダウンロードしてもらうというのもアリかも。▽説明ウザい?辞書スタンプ話題に SNSで反響広がり販売急増...発売の三省堂「非常に驚いている」 j-cast.com/2023/02/064555…
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辞書の「嗜好品」の例から「タバコ」が消えつつあるという話。『三省堂国語辞典』は現在〈酒・タバコ・コーヒー〉を例示していますが、喫煙者はタバコを嗜好するのでなく、タバコにaddict(中毒)しているのだという説明も分かります。『三国』はどう対応すべきか。(続く)news.yahoo.co.jp/byline/ishidam…
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マナーの提唱者が「私たちの仲間は、この言い方を正しいことにします」と言う場合、根拠がいらないというのは賛成です。たとえば「ありがとう」と言うためには、「有ること難し」が語源かどうかは関係ありません。ただ、「そう言わないとダメ」と、他の人の言い方を否定するのは別問題です。 twitter.com/npong0811/stat…
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「ご飯とか食べて」「カツ丼になります」という言い方についてコメントしました。どちらも特に1990~2000年代頃には批判がかまびすしかったのですが、今では定着が進んだのと、研究者などからも解釈が示されたのとで、議論は落ち着いてきた印象があります。▽J-CASTニュース j-cast.com/2023/02/254564…
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「こちらがカツ丼になります」の「なる」は「あたる。相当する」の意味だと『三省堂国語辞典』第8版には示しています。「むこうが正門になります」などと同じ文型を用いた婉曲表現という説明です。『三国』では「なる」の意味を10以上示しています。「変化する」以外にもいろいろあるわけです。
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先日のことですが、書店の辞書売り場に行ったら、男性が小型辞典を真剣に読み比べていました。手にしているのは『三省堂国語辞典』第8版と、近年新版が出た別の国語辞典。どちらか一冊を買おうとしている様子。物陰からそれとなく見る私。こういうスリリングな経験、普通ないと思います。
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男性は『三省堂国語辞典』を検討し終え、もう一冊の辞書の検討に移る。検討は微に入り細にわたり、私としては目が離せなくなった。もう一冊の辞書もよくできているし、選ばれるのはそっちかな、と諦めに似た心境。ところが最終的に、男性は『三国』を選び、レジに向かいました。心の中でガッツポーズ。
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作家や漫画家がしばしばコメントして「ライブで観客と触れ合うミュージシャンと違い、作品の受け手のイメージが湧かない」と言います。辞書の作り手も、少しそういうところがあります。書店で実際に買い求めてくださった方の姿が見られたのはいい経験でした。いつも観察するわけにはいきませんが。
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一部の雑学本でバツとされる「微に入り細にわたる」「微に入り細に入る」は、古い例があるだけでなく、意味も不自然なところはありません。「細を穿つ」が細かい点まで穿鑿(せんさく)することなのに対し、「細にわたる」は細かい点にまで及ぶこと、「細に入る」は文字どおり中まで入ることです。
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「微に入り細を穿つ」は、べつに古い漢文などに典拠があるわけでもなさそうです(「入微」という漢語はありますが)。日本語で独自に生まれた表現で、ほかにも「微を闡(ひら)き細を明らかにし」など、いろんなバリエーションがあります。雑学本は、きわめて無責任に正誤を認定しているわけです。