飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(古い順)

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SEKAI NO OWARI「Habit」では〈隠キャ陽キャ?〉というフレーズが出てきますが、「陰キャ」でないことに注目しました。べつに陰気、陰険なキャラではなく、隠然たる影響力のある隠者なのかも。「陰キャ・陽キャ」は『三省堂国語辞典』第8版の新規項目です。
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三浦大知「燦燦」での注目点は何と言っても〈降り注ぐ順光線〉ですね。グーグルトレンドでは、「ちむどんどん」の放送時期に「順光線」の検索数が急に増えています。正面から照らす光線のこと。大型辞典には載っていますが、『三省堂国語辞典』には載っていないんです。
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Snow Man「ブラザービート」は文字数が多くて注目点が多いですが、〈楽しみにしていたのに消えてガチ病み〉という「病む」の用法は押さえておきたい。残念、憂鬱になることですね。〈矜羯羅がっちゃう〉の矜羯羅は八大童子の名だそうですが、なぜこの当て字をするのか不明ですな。
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Perfumeの曲紹介で、西脇綾香さんが〈紅白さんではまだ歌ったことのないとっておきの楽曲なので〉。番組名を「さん付け」で呼ぶのが珍しくて面白かったです。
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坂本冬美「お祭りマンボ」。美空ひばりソングは昔から歌っていますが、〈火事は近いよ スリバンだ〉とか、今ではなじみのない語句もありますね。「スリバン」は擦り半鐘で〈近火の時、続けざまに半焼を鳴らすこと(音)〉(『新明解国語辞典』)。現代語重視の『三省堂国語辞典』には載ってないです。
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ウタの曲名になっている「新時代」ということばは、もちろん新しい時代ということですが、広まったのは明治時代以降で、モダンでしゃれている様子にも使われました。芥川龍之介の文章に〈〔靴が〕新時代に出来上ってゐた〉とあるそうです。
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King Gnu「Stardom」の歌詞は難しい漢字が多く使われています。〈草臥れた足〉〈生に涯があったって〉などは難読でしょう。「草臥(くたび)れる」「涯(はて)」です。「涯」は私のパソコンの漢字変換では出てきませんでした。
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乃木坂46「裸足でSummer」。乃木坂の曲を根拠に辞書の項目の候補にしたことばとして「インフルエンサー」があります。今回の曲にも「サイドウォーク」(歩道)、「ルイボスティー」など小型辞書に載っていていいかな、と思うものがありました。
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藤井風「死ぬのがいいわ」で〈死んでも治らな治してみせますbaby〉の「治らな」に反応。「治らない」の「い」が取れたのではなく、「治らないなら」意味でしょうね。「そんなダサいこともうしたない(したくない)のよ」も方言的。藤井さんの出身地の岡山方言?
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関ジャニ∞「T.W.L」はクレヨンしんちゃんのテーマで、すでに有名だそうですが、知りませんでした。ことば遊びが多用されていて、北川悠仁さんの才能に脱帽。〈開くto be loved〉なんかは「開く扉」と掛けているんですね。他で使われている例を知りません。
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星野源「喜劇」は、〈劣ってると 言われ育った〉自分が、君となら楽しい生活を送れるという歌。〈あの日ほどけた 淡い呪いに〉の「呪い」が、先ほどの「おもかげ」と同じ用法ですね。自分を縛る「呪い」をほどいて自然体で生きられたら、素晴らしい。
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氷川きよし「限界突破×サバイバー」でキーワードとして出てくる〈オッタマゲ~!!〉ですが、『三省堂国語辞典』では「たまげる」しか載っていません。説明の末尾に「おっ―」はあるのですが。さて、どうしましょう。
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松任谷由実「卒業写真」では〈悲しいことがあると開く皮の表紙〉とあります。「皮」も「革」も動物のかわですが、今ではなめし皮は「革」が一般的です。「卒業写真」は1975年リリースとのことで、当時の「当用漢字」では「革」は「カク」とだけ読み、「かわ」とは読まなかったんですね。
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福山雅治「桜坂」はバラードですが、リズムのよさがあるのは、〈愛と知っていたのに/春はやってくるのに〉〈君よずっと幸せに/風にそっと歌うよ〉と、一種の対句表現が多いからですね。〈揺れる木漏れ日 薫る桜坂〉もそう。対句表現はノリがいい。
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「元旦」には「元日の朝」の意味も「元日」の意味も昔からあります。私も何回かツイートしましたが、新たに画像をまとめました。「朝(あさ)」「旦(あさ)」はすべての始まりなので、「始まり」の意味も生まれたのだろうと推測されます。
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かく言う『三省堂国語辞典』も、一時期「元旦」を元日の意味で使うことを誤りとしていた時期がありました。そもそも、初版の「元旦」の説明は、あっさり〈元日(の朝)〉であり、これは『言海』『大日本国語辞典』など先行する辞書の説明と同様だったのですが。
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「酒池肉林」を性的に乱れたニュアンスで使うのは誤用かどうか、という議論がありました。「辞書にないから誤用」との意見もありますが、辞書の作り手としては、むしろ「このニュアンスの用法を辞書に載せてなかった!」と敗北感に浸ります。実際には複数の用法があると理解すべきです。(続く)
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「酒池肉林」は、単純に「非常にぜいたくな酒宴」という用法がある一方で、性的に乱れたニュアンスで使われることも知っておかないと、文学作品の読解もできない場合があります。ことばは複数の意味用法、ニュアンスで使われることが普通であり、いつも単一の意味でしか解釈しないのでは不十分です。
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タイムラインの議論では、「酒池肉林」の原典に当たる「史記」で、すでに性的に乱れた文脈で使われている、という指摘があります。説得力があります。ただ、2000年以上前の用法もさることながら、特に観察すべきは近代から現代までの例です。そして、それらを見ても、実態は「どっちもあり」なのです。
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〈暦としては「ウサギ年」ではなく「卯年」と呼ぶのが適切〉とのことですが、これはやはり報道の内規レベルのものと思います。現に「うさぎ年」でニュースを検索すると普通に出てくるし、会話では「うどし」より「うさぎどし」が伝わりやすい。二者択一という印象を与えるのは好ましくないでしょう。 twitter.com/mainichi_kotob…
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「的を得る」の18世紀の用例をひとつ見つけました。すでに同時期の他の例も見つかっているので、当時から珍しくなかったのでしょう。この例は、俳句で「はげたる山に」ではなく「片はげ山に」という表現を思いついたことで、ようやく的を得た、ということらしいです。
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国語辞典の記述が妥当かどうかを、多数派の辞書にあるかどうかで判断することがよくあります。でも、注意が必要です。少数の辞書だけが事実を指摘していることが珍しくないからです。辞書の作り手は、むしろそういう事実を見つけようと競っているわけです。
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なるほど、直後の発言を「そう」で指す語法、手近の辞書にはありません。たしかに落語でおなじみで、なんか独特だなとは思いつつ、問題意識が働きませんでした。タツオさんの慧眼に恐れ入ります。 twitter.com/39tatsuo/statu…
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乃木坂46の鈴木絢音さんと、三省堂の編集者・校正者・印刷会社・デザイナーといった方々との、辞書をめぐる対談集です。私も国語辞典編纂者として、鈴木さんと対談させてもらっています。刊行されるのが楽しみです。 twitter.com/ayane_gentosha…
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上司に対し「了解しました」は「承知です」よりもなお不適切と筆者は主張するのですが、実際は「承知でーす」と言う人はむしろ少なく、「了解しました」のほうが受け入れられているのではないかな。マナーの先生の「了解」に対する目は不当に厳しい。▽プレジデントオンライン president.jp/articles/-/656…