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あらゆるものが、平成30年間の歴史の中に置かれると、急に価値を持ち始めるのは面白いです。例えば、一発芸人と言われる人々とその一発ギャグは、単体で見れば忘れられても仕方がないけれど、「平成年間の一発ギャグ史」となると大学の講座で取り上げられそう。記憶されるべき「教養」になるのです。
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いつも不思議に思うのは、平成元年前後のCDを今再生すると、平成元年に聴いたのと同じ音がするということです。「当たり前」と言われそうですが、古い音声と映像は劣化する時代に生きていたので、昔の音や映像がそのまま視聴できるようになった現在、時間の観念が消滅したような錯覚に陥るのです。
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不思議なのは、「見られる」を「見れる」とすることは「ら抜き表現」としてさんざん叩かれるのに、「見まい」を「見るまい」としても何も言われない(もし言ったとしても「まあいいのでは」と返されて終わりになりそう)ということです。ことばの正誤の意識は頼りないことが、この例でも分かります。
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ちょっと多い質問なのですが(全6問)、お教えいただけませんか。「どちらかと言えば」で十分です。
〔問〕次の文の( )内に入る語句として、選択肢の中でどれが最も自然に感じられますか。
【1】今夜は忙しいので、テレビは( )と思っていたが、つい見てしまった。
1. 見まい
2. 見るまい
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『広辞苑』の平木靖成さんのご意見は以前から拝見していますが、いつもほぼ共感することばかりです。記事中「基本的に言葉には正しい/間違いはない」とあるのも平木さんの持論で、これを「権威」と目される『広辞苑』の中の人が発言するから説得力があります。recruit.co.jp/meet_recruit/2…
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国語辞典の特長の違いが鮮やかに分かる良記事。『三国』を取り上げてくださったからというわけでなく、お勧めです。なるほど「文化」「平気」「桜」を引き比べてみればよかったのか。なお、どのアプリも23日までセール中とのことですよ。▽物書堂の辞書アプリはこれを買え(1) note.mu/nishinerima/n/…
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関西方言の女性語「ウチ」(=私)が、関東の少女に広まったという指摘があります。あなたの身近にいる関東出身の少女は、自分のことを「ウチ」と言いますか。
1. 以前からずっと「ウチ」と言う
2. 最近「ウチ」と言う
3. 以前「ウチ」と言ったが、今は言わない
4. 以前も今も「ウチ」と言わない
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「平成」「令和」の発表記者会見を見比べると、雰囲気が違って面白いですね。「平成」の時は、発表と同時に記者が騒然、資料を求めて立ったり座ったり。質問も、珍問も含めて続々出て、小渕長官も気さくに答える感じ。「令和」の時は、記者たちは行儀よく統率が取れ、型どおりの質問が2問だけでした。
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4月7日(日)20:00からTBSラジオで「飯間浩明のまるっと平成ディクショナリー」という申し訳ないタイトルの番組に出演します。辞書に詳しい芸人のサンキュータツオさんに助けられ、平成のことばと辞書を振り返ります。進行は田中ひとみさん。どうぞお聴きください。radiko.jp/share/?sid=TBS…
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「令和」のアクセントについては、松浦年男さんの信頼できる考察があります。平板で言うにせよ、「レ」を高く言うにせよ、どちらも根拠があるという結論です。私も納得、賛同いたします。researchmap.jp/jo79b9rew-2937…
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さて、「令和」の話ですが、官房長官は新元号発表時「レ」を高く発音しました。私自身も、何となく「レ」を高く発音したい気分です。「レ」の音が元号として珍しいので、その部分を高くして「永和」「明和」などと区別しようとしてるのか……。これは無責任な自己分析です。
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「明和」「享和」など「○和」の形の元号は、私の場合、ほとんど平板アクセントで発音します。例外は「安和(あんな)」で、女性名の連想から「ア」を高く発音します。「昭和」も、少年の私は平板で発音していました。現在のNHKのアクセント辞典でも、「昭和」のアクセントは平板で載っています。
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「外来音」というのは、「フューチャー」の「フュ」などがそうで、他の言語の語彙とともに入ってきた音を指します。本来の日本語では、「落花(らっか)」など語頭のラ行音は普通でない一方、「さくら」のように語中語尾には普通にあります。語頭のラ行音のみを指して「外来音」とは言いにくいですね。
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ラ行音の件、「語頭のラ行音」と限定せず投稿したのは、まことに痛恨の極みでした。後の訂正もまだ不十分に思われますので、改めて訂正します。「古来の日本語では、原則として語頭にラ行音が立たない」という基本的な話でした。語頭音だけを「外来音」と表現するのも不適切です。申し訳ございません。
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「万葉集」に先行する漢籍の文として、張衡「帰田賦」の「仲春令月 時和気清」があり、(「令月」「風和」ではないものの)これも出典に当たるという議論を知りました。なるほど。私はといえば、「万葉集」より後の薛元超の作品に「時惟令月 景淑風和」を見つけましたが、こちらは無関係でしょうね。
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↑私の発言はまとめサイトにも引用していただき、その後に言うのも何ですが、ラ行音云々はやや舌足らずです。ラ行音で「始まる語」が和語になかったということで、「さくら」など語頭以外に来る語は普通でした。さらに、擬音などで、語頭がラ行の語は昔もあったかも。今なら「るんるん」がそうですね。
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前回の新元号発表時は、NHKでは午後2時に元号関連のニュースが始まり、30分ほどで小渕長官から「平成」の発表がありました。当時TVを見ていた私も、あれよあれよという感じで、緊張の高まる暇もありませんでした。今回はタメにタメての発表なので、妙に緊張しました。街角の騒ぎもすごいようですね。
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官房長官が掲げた「令和」の文字は、「平成」の時と同様、美しい。「令」の字は、最終画が縦棒になっていますが、これは「マ」のように点にしてもけっこうです。というか、手書きはこちらのほうが普通です。学校の先生は、どちらもマルにしてあげてください。
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「令和」の作り方(構成法)は「昭和」などに似ています。「昭和」は「書経」の「百姓昭明、協和万邦」の「昭明」「協和」から上と下を取って組み合わせたもの。今回の「令和」もそうですね。「平成」は、「内平外成」または「地平天成」という一種の四字熟語から作ったものでした。
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当初、和書を出典としても、そこに使われている熟語は漢籍由来のものが多いから、漢籍も出典に挙がるのでは、と言われていました。でも、「令月」と「風和」の組み合わせは「万葉集」独特ではないでしょうか(主な漢籍をざっと調べたところでは)。提案者はうまい方法をお考えになりました。
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「令和」は、最初「和せしむ」と訓むのかと思いましたが、「万葉集」が出典とのこと。慌てて文庫本を開いてみると、「令月(よい月)」と「風和(やわ)らぎ」を合わせたんですね。「このましく、やわらか」といったところか。「令」は「令兄」などの「令」ですね。
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新元号は「令和」と決定。ラ行音で始まるのは斬新でいいと思いました。元来、ラ行音というのは外来音で、大和ことばにはありませんでした。漢字の音読みのほか、ラジオとかレモンとか、カタカナ語に多い。過去の元号の音にも少なく、伝統の中に清新な風を感じます。
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