飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(新しい順)

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辞書のことばの説明(語釈)は、その語が世の中でどう使われているかを観察してまとめるのが基本です。ただ、公式の定義があれば、もちろん尊重します。「反社会的勢力」「反社」を辞書に載せるに当たり、参照すべき2つの相矛盾する政府見解があるのは迷惑であり、政府には整合を図ってほしいです。
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「反社会的勢力」の定義に関する政府見解が複数出される事態は、辞書の作り手として大変困ります。「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して…」という法務省の定義と、「定義は困難」という今回の決定は両立しないはずですが、はたして従来の定義は上書きされたのか。▽毎日新聞 mainichi.jp/articles/20191…
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昨日の「今年の新語2019」イベントはおかげさまで大いに盛り上がりました。先ほど、上位10位に選ばれたことばの選評が出ました。その語を、どういう理由で、今後辞書に入れてもいいと考えたか、そこのところをぜひお読みください。#今年の新語 htn.to/2h68T2PT3b
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今年はスマホ決済(キャッシュレス決済)関連の話題が多く、あちこちの店舗で「**ペイ使えますか?」という声が聞かれました。誰が決めるともなく、大半のスマホ決済サービスが「‐ペイ」になったのは、ことばのできかたとして興味深い。サービス識別に役立つ接辞が自然に成立しました。#今年の新語
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三省堂「#今年の新語」、2019年の大賞は「‐ペイ」と決まりました。関心を持ってお待ちくださった皆さま、予想は当たっていたでしょうか。激論の末、確信を持って選びました。「何、『‐ペイ』とな?」と不審に思われた方は、明日発表の選評をご覧ください。イベントはまだ続いています。
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新語・流行語大賞は「ONE TEAM」とのこと。今年を象徴することばで文句なしです。ところで明日、私たちは「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2019』」を発表します。流行語でなく、今後辞書に載っておかしくないことばを選ぶイベント。大賞がカブってないといいんだけど!dictionary.sanseido-publ.co.jp/shingo/2019/
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ちなみに「『爆笑』は大勢でするもの」とテレビなどでしばしば言われ、言語警察のマウンティングの材料にされていました。辞書の記述がその根拠になっていた。しかし、実は昔から人数に関係なく「爆笑」は使われていました。近年、その事実が辞書にも反映され始めました。twitter.com/IIMA_Hiroaki/s…
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『岩波国語辞典』が10年振りに改訂版を刊行しました(第8版)。私もさっそく入手。この写真はなんじゃと思われるでしょうが、辞書の新刊を買ったら記念写真を撮るようにしているのです。私たちの携わる『三省堂国語辞典』とは競合関係だけど、とりあえず皆さん、書店へGO!
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>RT 「※諸説あります」というテロップ、関係者の中にも気になる方はいらっしゃるでしょうね。私も以前から、あれは「諸説」の妥当性の吟味を放棄した表示だと思っています。あの表示はやめて、番組内容に責任を持ってほしいです。
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番組でトンデモ説を扱うと知っていて協力したい専門家はいません。「筋が悪そう」と思ったら、コメント依頼は断るのが賢明な態度です。でも、結局誰かが引き受けるなら、自分が出て行って穏当な見解を述べたい。こう思って私は引き受けるのですが、思いもよらぬ編集をされることがあるのも確かです。
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ことばの話題で穏当な説明をすると、テレビ番組の担当者は「それでは数字が取れない」と即座に判断すると思います。テレビ番組はバズることが最優先課題。ところが、穏当な説明は、誰もが「そりゃ当然だ」と思うもので、バズる要素がない。かくして、ことばの話題はトンデモ説と隣り合わせになります。
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この番組のような説明は、私なら避けるし、日本語を専門にする研究者や辞書関係者も、まあ避けると思います。ところが、番組では識者と称する人が出てきて、以上の説明をしていた。ご本人の反論をぜひ伺いたいところ。核心部分はご本人が説明していたので、編集で発言が歪曲されたとも思えません。
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以上をファクトチェックの用語に即してまとめると、(1)「どら猫は、のらりくらりから」との説明は「根拠不明、もしくは誤り」。(2)「どら猫は盗みをする猫」は、たしかに盗みをする猫を罵ることもあるけど、「ミスリード(誤解を招く)」。(3)「どら息子は銅鑼から」は「根拠不明」です。
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番組では「どら息子」は打楽器の「銅鑼」から、とも。たしかに語源説のひとつではあるのですが、客観的な検討に耐えないと思います。「どら息子」は「のら息子」(なまけ者で遊び好きの息子)とも言い、これこそ「のらりくらり」と同語源と考えられます。濁音減価で「どら息子」になったのです。
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番組ではまた「のら猫」「どら猫」違いを「どら猫は盗みをする猫」と説明しましたが、不正確です。歴史的には「のら犬」を罵って言う「どら犬」もあります。「のら猫」「のく(退く)」を「どら猫」「どく」と濁音化すると、価値を低める効果があります。「のら猫」を罵って「どら猫」と言うのです。
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「わい」のルーツについてのテレビの説明が不適切という話のついでに、先月テレビで偶然に見た「どら猫」の語源について批判しておきます。「のら猫」は「のらりくらりしている猫」と説明していましたが、他の語や意味の変遷を考えると、普通に「野良」(=野)にいる猫だから「野良猫」でOKです。
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番組を少し褒めると、「わい」が関西以外の地域でも使われている様子を撮影しようとした点はいいと思うのです。私も、青森の「わい」は活字でしか知りませんでした。で、「青森にも撮影に行く」と聞いて期待したんですよ。しかし「青森方言が『わい』のルーツ」という放送になるとは。(褒めてないな)
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ちなみに言うと、放送で〈青森県では「わい」がより省略化された「わ」〔私〕と、「な」〔あなた〕という方言もあるそうです〉と述べていましたが、「わ」は「わい」の省略でなく、我を意味する古語の「わ」がそのまま残ったのでしょう。「わい」とは語源が別です。「な」も汝の意味の古語です。
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放送では、青森県むつ市の高校や街頭でインタビューが行われていました。若者も年配の人も「わい」を使っているという当事者の証言がありました。これは情報として価値があります。ただ、だからといって〈自分を“わい”と呼ぶ女子 ルーツは青森の女子高生!?〉というのは飛躍です。
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インタビューを受ける際は、番組の趣旨をもっと確認しないと、と反省しています。今後この種のインタビューは受けない、という気持ちはなくて、お役に立つことがあればぜひご協力したい。ただ、「番組ではどこまで調べていますか」「どういう結論になりそうですか」ということは聞いておくべきですね。
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ネットの反応を見ると、「わい」は「2ちゃんねる(なんJ板など)が発祥だろう」という意見が多いです。私も掲示板で「わい」が流行している様子をリアルタイムで見ていました。その前段階として、「わい」はアニメの人物のキャラづけに使われました。そういう経緯は、放送では無視された形です。
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私は自分が話す予定の内容を、担当者に事前にメールでお伝えしました。「わい」はもと関西などの方言(青森などにもある)。それが創作などでキャラ設定に使われ、掲示板(2ちゃんねる)、SNSへと広がった――。細部はともかく、大体こんなところでしょう。放送された内容は、これと大きく違いました。
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女子高校生などが自分を「わい」と呼ぶことについて、テレビ番組のインタビューを受けました。実際の放送を見て、少なからず驚きました。〈自分を“わい”と呼ぶ女子 ルーツは青森の女子高生!?〉なんてサイドテロップが出ていて、私が話した内容と大分違う。青森方言がルーツではないでしょう。
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「せんべい」を「せん遍゛以」と変体仮名(今では使われない昔の仮名)で表記する例はよく見ますね。記事では「草加特有」の表記ではとありますが、草加以外でも。全国的に偏りはあるのかな。私の撮った写真を添えておきます。▽東京新聞 tokyo-np.co.jp/article/saitam…
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今月、新著2点を刊行します。13日に『知っておくと役立つ 街の変な日本語』(朝日新書)、23日に金井真紀さんとの共著『日本語をつかまえろ!』(毎日新聞出版)。前者は『朝日新聞』土曜be連載の「街のB級言葉図鑑」、後者は『毎日小学生新聞』連載の「日本語どんぶらこ」に手入れしたものです。