飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(新しい順)

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もっとも、数がすべてでないのが古典の面白さ。「いまそかり」の6例は、みんな大好き「伊勢物語」に集中して出てきます。「崇子(たかいこ)と申す、いまそかりけり」のように。入試にも出るだろうし、「いまそかり」を覚えておいて損はないわけです(「いますかり」は、他の古典にもちらほら)。
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古典で習う「あり・をり・はべり・いまそかり」のうち、「いまそかり」という動詞は、実際にはほとんどお目にかからない。古典17作品のうちで、「あり」は1万例以上、「はべり」は千例以上出てくるのに、「いまそかり」はわずか6例です。これを一生覚えているなんて、記憶力の無駄遣いかな。
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「いやだ」が「やだ」になるのと同じ現象も、昔からありましたよね。「いだく(抱く)」を「だく」と言ったり、「いばら(茨)」を「ばら(薔薇)」と言ったり。というわけで、語頭の「い」が落ちるのも、昔からの伝統です。心配なさいませんように。
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「うまい」が「うまっ」となるのは、「尊(とうと)し」を「あな、尊(とうと)!」(=アア、尊イナア!)というのと同じ語幹用法です。日本語では「あな、暗!」とか何とか、昔から言っていますので、日本語から「い」が消えていっているとはいえません。▽ヨミドクター news.yahoo.co.jp/articles/edd1b…
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補足もしくは蛇足です。「男の人ってコーラが好きですね」のような発言を何と呼べばいいか。実害を伴わないので差別ではなく、軽蔑していないので蔑視でもありません。これは「偏見」と分類すべき発言です。偏見は罪のない「独断と偏見」から、差別につながる深刻な偏見まであります。
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「男の人って○○だよね」「女性は○○だ」という発言は、個人レベルではそんなに問題にならないでしょう。ただ、個人でも、根拠なくこの表現を連発するのは避けたいです。「男の人ってコーラが好きですね」などと、何かというとこの文型で語る人がいて驚いた経験があります。twitter.com/IIMA_Hiroaki/s…
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メディアでは今回「女性蔑視発言」という表現が多い。「差別」よりも「蔑視」のほうがマイルドだと考えて使っているふしがあります。でも、両者は別物です。ニューヨークタイムズは「会長が会議での女性の制限を提案」と本質を突いた表現をしています。要するに実害を与える差別だと言っているのです。
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すでに述べたように、蔑視は軽蔑の心を表すことなので、「蔑視のつもりはなかった」と言われると追及しにくい面があります。一方、差別というのは実害を与えるものです。この場合は女性理事にまさしく「ガラスの天井」を設ける発言であり、蔑視発言というよりは差別発言というほうが正確です。
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「友人の女性たちはよく長話をする」は事実かもしれません。これが「一般に女性は長話をするものだ」となると、男女を型にはめている可能性があります。さらに「女性が多い理事会は、時間を規制しないと終わらなくて困るそうだよ」と責任者が言うと、選考での女性差別につながるおそれがあります。
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森会長の発言について「自分は女性だが、そのとおりとしか思えない」「そんなに女性蔑視かなと、女性の自分は思う」との意見があります。「友人の女性たちは、みんな長話をする」と個人が発言したのなら、必ずしも問題になりません。でも、決定権のある立場の人がこれを言うと、差別発言なんです。
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差別発言を陳謝するとき、「不愉快な思いをさせて申し訳ない」と言うことがあります。相手を不愉快にさせてはならないのは当然ですが、ポイントはそこでない。差別発言の本質は、不当に人の可能性や自由を奪ったり、奪う可能性を生じたりすることにあります。そのことについての責任を表明すべきです。
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仮にこんな発言があったとします。「女性は優秀で、尊敬する。女性は活発に有意義な発言をするので、女性の理事が増えると発言時間の規制が必要になると言われる」。賛辞に満ちた発言ですが、女性理事の増加を牽制したり、行動を規制したりすることにつながる可能性がある。すなわち、差別発言です。
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「蔑視」「差別」は発音も似ていて、混同されやすい。軽蔑の心を持ったり、ことばに表したりするのが蔑視です。一方、差別は行動や待遇の問題なので、上品な表現でも不当な扱いにつながれば差別です。差別発言はよく「蔑視でない」「悪意はない」と言われますが、礼儀正しく差別することはありえます。
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発言の問題点とは別に、最後が〈的を射たご発信〉だったのか、〈きちっと的を射ており〉だったのか、〈お話もシュッとして、的を射た〉だったのかも気になります。「的を得た」だったかもしれない。「得た」「射た」のどっちが会話で主流か、関心を持つ身としては知りたい。一般にはどっちもあります。
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発言録の文言が、各報道機関ごとに少なからず違いがあるのは気になります。〈女性は優れており〉などの文言があったかなかったかで、ニュアンスも変わります。この種の発言録は、新聞紙面の報道では要約するとしても、ネットでの配信は、言い間違いも含めてそのまま紹介してはどうでしょう。
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元発言はこういうことです。「女性の多い理事会は時間がかかる。女性は競争で発言するからだ。女性を増やす場合は発言時間を規制しないと困ると聞いた。ただし、組織委の女性はわきまえている(ので別だ)」。会議の適性に男女差があるという見方が問題なので、組織委の女性を例外としても無意味です。
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森組織委会長の発言(2/3)は、素直に考えて差別発言でしょう。発言中には〈女性は優れており〉(毎日)、〈(組織委の女性は)みんなわきまえておられて〉(複数記事)など、ご本人としては女性を持ち上げ、配慮したつもりらしい点があります。ところが、これがちっともフォローになっていません。
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それだったら、私も話題にしてやろうじゃないか。というわけで、1/15の「おちょやん」から、「だんボ」の例を紹介しましょう。「だんご」と書きたかったのは分かりますが、「こ」の変体仮名(「古」をくずした仮名)の形がおかしく、「ボ」になっています。昔の人もこうは書かなかったと思います。
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1/14の「おちょやん」では、千代の主演する「正チャンの冒険」の劇評を載せた新聞記事が映りました。私は「原作の世界観」「安定の芝居」など、大正時代にない(今世紀に広まった)ことばを見つけましたが、黙っていました。ところが、ことばに詳しいネットの人々がこれを話題にしていました。〔続く〕
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「誤用」を積極的に表示する国語辞典どうしを比べてみると、それぞれの「誤用」の表示は必ずしも一致していません。結局は、辞書の編者が誤用とみなせば誤用、みたいなところがあります。そんなあやふやな基準で、お互いに「あなたのことばは誤用」などと指摘しあうのは生産的ではありません。
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私がことばを誤用認定するのに慎重なのは、客観的基準がないこと、誤用認定された後に定着する例がいくらでもあることなどが理由です。加えて、「そのことばは誤用!」というせりふは、多く他人に向けられるものだということも大きいです。言われたほうは、客観的な基準もなく断罪されてしまうのです。
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「ことばの正誤を判定しないで、辞書が作れるのか」とよく聞かれます。私は、不確かな基準で正誤を認定するより、「この言い方は俗語的」「何年頃からの言い方」「文章では使わない」「すでに古い」などの情報を示したいと考えます。このほうが、ユーザーが主体的に使うかどうか判断できるからです。
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大阪府知事の「ガラスの天井」の用法は、定着していない時点では誤用と判定すべきではないか、これが誤用でなければ、どんな場合が誤用なのか、と質問をいただきました。ごもっともです。私は日頃、誤用の基準はないと言っていますが、それでは議論にならないので、もう少し緩く考えましょう。〔続く〕
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『辞典語辞典』という楽しい本が刊行されました。国語辞典のファンなら知っておいていい事柄(辞書を扱ったドラマなども)が解説されています。著者はイベント「国語辞典ナイト」にも出演する見坊行徳・稲川智樹の2人。いのうえさきこさんのユーモラスな、それでいて正確なイラストは必見です。
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吉村大阪府知事が8日の記者会見で、560人の感染が出たことを「一挙にガラスの天井が突き抜けた」と表現、誤用ではないかと指摘が出ています。私はどう思うかというと、「誤用です」と言えば話は早いのですが、そう簡単にはいかない。私の注目点は「辞書に②の意味(派生の意味)が必要かどうか」です。