飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(いいね順)

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大臣の「がっかり」発言から教訓を得るとすれば、病気の人に対して、自分側の期待外れの気持ちは言わないほうがいい、ということです。病気でコンサートが中止になった歌手に対し、どれだけ公演を楽しみにしていたとしても、「楽しみにしていました。がっかりです」とは言わないほうがいいです。
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ことばのクイズ番組で「男は(度胸)、女は(愛嬌)」の( )内を答えさせるのがありました。これ、今の時代にことさら出題する意味ありますかね。「男は仕事、女は家事」みたいな性役割の固定化を強調する効果しかないことば。ことわざ辞典の片隅に、時代錯誤との注釈をつけて載せれば十分でしょう。
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玉置浩二「田園」はベートーヴェンのメロディーを加えたオーケストレーションが面白かった。田舎をドライブしているようなグルーブ感を出しているのは、〈何もできないで〉〈救えないで〉とか、〈生きていくんだ〉〈それでいいんだ〉とかいった、同じ語句を重ねる歌詞に拠るところも大きいでしょう。
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学校の国語で「古典は本当に必要なのか」という議論がネット上にあることを知りました。大学受験で古典が最も貴重な得点源だった高校生の私にとっては、かりに古典の配点が減らされるようなことがあれば、悪夢でしょう。志望校に通らなかったかもしれない。そうなると非常に困るのは事実です。
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現在に話を戻すと、普通の社交上のメールでは「取り急ぎお礼まで」で十分でしょう。一身上のことで非常に世話になった場合は、ややもの足りないかもしれず、前述のように「何とぞよろしくお願い申し上げます」と続ける方法はあります。これも常用すると重いと感じる人もいるかもしれませんね。
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「友人の女性たちはよく長話をする」は事実かもしれません。これが「一般に女性は長話をするものだ」となると、男女を型にはめている可能性があります。さらに「女性が多い理事会は、時間を規制しないと終わらなくて困るそうだよ」と責任者が言うと、選考での女性差別につながるおそれがあります。
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欅坂46「不協和音」は、2年前にも書いたとおり、周囲からの同調圧力を恐れないという歌だと解釈しています。この「同調圧力」は、その後辞書に載るようになりました。今年秋に出た『大辞林』第4版では「集団での意思決定の際に、多数派の意見と同調させるように作用する暗黙の圧力」としています。
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星野源「喜劇」は、〈劣ってると 言われ育った〉自分が、君となら楽しい生活を送れるという歌。〈あの日ほどけた 淡い呪いに〉の「呪い」が、先ほどの「おもかげ」と同じ用法ですね。自分を縛る「呪い」をほどいて自然体で生きられたら、素晴らしい。
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10月5日の記事。「忙しい」「ご多忙」は忌みことばだ、というのが最近のトンデモマナーであることを強く示唆し、参考になります。昭和や平成のマナー本にも「ご多忙」とあるとのこと。「忙しい」「多忙」は日本語の中でも基本的な語であり、これを使うなというのは無茶です。j-cast.com/2019/10/053685…
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1曲目のKing & Prince「I promise」は今月出た新曲とのこと。〈震えてる画面越しの〉というフレーズから、遠くの恋人とSkypeやZoomでコミュニケーションしている様子が浮かびます。コロナ禍とは関係ないのかもしれませんが、しっくり来る歌詞です。ポップスにもコロナが影響して不思議はありません。
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「てめえ、このペテン師が!」などとけんかを売られた側が、「何っ、どういう意味だ?」と問い返すことがある。これは要するに「ペテン師では抽象的すぎて意味が分かりませんので、具体的に言ってください」ということですね。人を抽象的に非難しても伝わらない、ということを端的に示すやりとりです。
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こう書くと、「ははあ、『父』は2年生で習う字なので直されたのね」と思われるかもしれません。そういうことではなく、先生は「これはあて字」と言いました。かつて「お父さん」はあて字扱いだったんです。「当用漢字音訓表」にない読みだったから。「お父さん」が認められるのは1973年です。〔続く〕
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「紅白」の全曲目が終わりました。私は、紅組、白組の勝敗をほとんど意識せずに見ていました。審査員たちが投票をすることで、かろうじて「合戦」の形式を保っていますが、今にこれも形式化するかもしれません。私の今年の用例採集も、これで終わりです。皆さま、おつきあいありがとうございいました。
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古語の「あはれ」も、嘆声の「ああ」と関係があるという意見が多い。つまり「あはれ」は嘆声に近いので、古典作品で頻用されるわけです。悲しいにつけ、うれしいにつけ、「あはれ」です。「をかし」(情趣がある)もまた多用されます。だからといって紫式部や清少納言が語彙力不足とは言えません。
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番組を少し褒めると、「わい」が関西以外の地域でも使われている様子を撮影しようとした点はいいと思うのです。私も、青森の「わい」は活字でしか知りませんでした。で、「青森にも撮影に行く」と聞いて期待したんですよ。しかし「青森方言が『わい』のルーツ」という放送になるとは。(褒めてないな)
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『日本語はこわくない』(PHP研究書)という本を刊行しました。ネットに日本語警察が出没し、上司もクライアントもことば遣いでマウントを取ってくる現代、要するに日本語をどう使えばいいのか、私の考えを書きました。各話はコンパクトで字も大きめ。ことばに悩む周囲の方にもどうぞお薦めください。
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谷川俊太郎さんとの対談では、現代のポップスの歌詞にも話題が及びました。たとえば、関ジャニ∞の「Re:LIVE」に〈変わり採(ど)る夢/時代に/君は未来持ってんだ〉と歌われた「変わり採る」。ツイッターで、ファンの方から「遊び心を入れて作った造語」と教えていただいたことがあります。
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訂正です。〈昭在位50年〉→〈在位50年〉。失礼しました。
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テレビ番組で「※諸説あります」と言う件、たとえば、「邪馬台国は畿内にありました」と解説があって、「※諸説あります」とテロップが出たらどうか、ってことです。他に有力説があるなら紹介すべきだし、他の説はガセやこじつけと判断したなら、監修者が責任を負う形で、テロップはやめるべきです。
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近藤泰弘さんが指摘していますが、「取り急ぎ(取りあえず)御礼まで」は昔の手紙の決まり文句で、戦前までの手紙文ではふつうに使われました。渋沢栄一あてに年下の肥田景之から出された手紙にも「先ハ不取敢御礼迄(まずはとりあえずおんれいまで)」という部分があります。eiichi.shibusawa.or.jp/denkishiryo/di…
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「させていただく」は長く嫌われてきたことばです。私は、ほどほどに使えばとても効果的なことばだと考え、愛用しています。なぜこうも使われるのか、本書を読めば分かります。ガチな研究書ですが、読みやすい所からでもどうぞ。▽椎名美智『「させていただく」の語用論』yomiuri.co.jp/culture/book/r…
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大学生の時、『広辞苑』が改訂されるというニュースを聞き、改訂前の版をまだ持っていなかった私は、慌てて近所の書店に駆け込んだことがあります。店主さんは「もうじき新版が出ますよ」とアドバイスしてくれました。「ええ、だからこそ今買うんです」と言ったら、妙な顔をされましたっけ。
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ある種のまとめサイトでは、広告収入を目的に、何でも書き殴っていると聞きます。1ミリも関心のないことについて書くのはさぞ苦痛でしょう。授業でいやいやレポートを書くことは誰にもありますが、せめて「可」を取ろうと努力する。まとめサイトには、その努力もない「不可」の文章があふれています。
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さすがに視聴者からクレームが入ったらしく、後に男性アナは冗談を交えながら「不快に思った方いらっしゃったら、本当に申し訳ございませんでした(スタジオ笑い声)。これは真剣に謝っております」。なんだこれは、とあきれた次第でしたが、言いたいことの主眼はそこではありません。〔続く〕
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影響力ある前澤社長の発言なので、私も一言。物事の区切りの「一段落」を「ひと段落」と読むのは、誤りと考えてもいいし、正しいと考えてもいいでしょう。『岩波国語辞典』のように誤りとする説明もあれば、『大辞林』『三省堂国語辞典』などのように「いちだんらく」の同義語とする説明もあります。 twitter.com/yousuck2020/st…