飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(いいね順)

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新聞の読者から「日本語の乱れを憂いています」という長文のご感想。「憂え」の変化「憂い」からできた「憂いる」は『三省堂国語辞典』にも載せたし、私はOKだと思いますが、この方にとっては乱れた日本語ではないのかな?と余計な心配をしました。「乱れ」というのは本当に主観的なものです。
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やばいでしょう? twitter.com/kaichosanex/st…
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「座り込み」についての各辞書の説明の違いは、このデモンストレーションをどう捉えるかに幅がありうることを示しています。法律の条文とは違って、「これこれの条件を満たせば座り込み」と辞書が決めるわけではありません。まず先に現実の言語使用があって、辞書はそれを後追いしているのです。
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「蔑視」「差別」は発音も似ていて、混同されやすい。軽蔑の心を持ったり、ことばに表したりするのが蔑視です。一方、差別は行動や待遇の問題なので、上品な表現でも不当な扱いにつながれば差別です。差別発言はよく「蔑視でない」「悪意はない」と言われますが、礼儀正しく差別することはありえます。
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NHK「所さん!大変ですよ」(5/30)の内容がひどいと聞きました。番組紹介ページに〈元号の「令和」を〔略〕<れえわ>と読む人が多い〉〈口を横に広げてきれいに「い」と発音することができず、「え」のように発音する人が、若い世代を中心に増えている〉とあり、確かに音韻史の常識に反しています。
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「エモい」について、古代の「あはれ」はこれとほとんど同じ用法を持つと、三省堂「今年の新語2016」の選評は述べています。ところが、ほぼ同時期、落合陽一さんが同じ表現をしていることを知りました。「あはれ」と関連づけることは間違っていなかった、という気持ちを強くします。
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ことばの歴史が分かる『精選版 日本国語大辞典』がコトバンクで引けるようになりました。これまで、ネット上には、ことばの意味を載せる無料辞書は2、3種あったけど、歴史を載せる無料辞書がなかった。「このことばはいつから、どんな文献に現れているか」といった知識が、これで公共物になりました。
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「受け付け」「受付け」「受付」の区別について、ネット上に不正確な情報が広まっているようなので、より正確なところをまとめました。なぜか暮れも押し詰まってからの発言です。「受付け」は「受け付け」の単なる送り仮名節約であって、用法の区別を考える場合は無視してもけっこうです。
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小林多計士『ごきげんよう 挨拶ことばの起源と変遷』などによれば、「お疲れさま」はもともとは芸能人の間で階級抜きの挨拶として使われ、戦後に一般に伝播したようです。ただし、島崎藤村「破戒」には〈『おつかれ』(今晩は)〉という農村の挨拶があり、起源はけっこう古いらしい。
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「バットマン」のカラーリングを変えてみました。
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菅田将暉「まちがいさがし」で「正しくありたい あれない 寂しさが」の部分は「ある」の可能形の否定という珍しい例です。「ある」の可能が「あれる」、その否定で「あれない」。辞書編纂者の見坊豪紀は「国家権力に完全に無関心であれる」という例を採集していますが、珍しいのは確かなようです。
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嵐「カイト」は「NHK2020ソング」なのですが、昨年歌った時とは状況が一変し、コロナ禍に苦しむ人々を勇気づける演出で歌われました。〈風が吹けば 歌が流れる 口ずさもう 彼方へ向けて〉。歌というのは文脈でメッセージがずいぶん変わるものです。
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「宿題忘れてた、ガーン」のような、驚きの「ガーン」を、若い世代が使わなくなったといわれます。ツイッターで、「宿題」「ガーン」で検索すると、宿題と縁の深い若い世代の人が「ガーン」を使う例が拾われます。その件数を見ると、確かにここ数年減少しています。
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「誰もが間違う日本語」「日本人のほとんどが誤る日本語」といった趣旨の本が多く出ています。思わず「それは大変だ」と手に取ってしまう。でも、冷静に考えると、誰もが間違うとは、私たち皆が使っている日本語ということ。「よく通じるスタンダードな日本語」であり、不安に思わなくていいでしょう。
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ネットで嫌なこと言われたら、まずその人の過去の発言(リツイートとかでなく)を多く熟読することをお勧めします。「この人あちこちで喧嘩売ってんな、気の毒に」「最低限の常識ないな」と哀れんだり、「おっ、いいこと言ってんじゃん、同類じゃん」とわかったりして、いずれにせよ戦意が消えます。
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大臣の「がっかり」発言に関し、先日テレビの取材を受けました。結局放送されませんでしたが、問答の全文を読んでも、「本当にがっかりしております」はやはり不適切というのが私の考えです。質問者が金メダル候補の話に持って行ったせいもあるけれど、「その話はまた」と断ってもかまわなかった。
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6月11日 22:25~のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演します。私を含めた「辞書を作るひと」の現場がご覧になれます。「言葉の海で、心を編む」とはどういうことでしょう。予告動画では、私がちょこまか動き回る場面が集められています。本編もどうぞご覧ください。www4.nhk.or.jp/professional/x…
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「中年は何歳から」「老人は何歳から」「おばさんは何歳から」……などは、しばしば話題になります。その話題の行き着く先は、えてして、該当する年齢層の人をいじったり、からかったりすることだっりする。要するに年齢差別に辞書が使われるわけです。その点をよく考えてみたいと思った一件でした。
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各種国語辞典が「お疲れさま」は目上に(も)使うと記す中、『新明解』(旧版)は「目上の人には用いない」とあり、異例です。このことも記しておきます。昔の語感で説明しているのかもしれません。現在、「お疲れさま」を目上に用いてOKという辞書は多く、この用法を不可とするのはやはり酷でしょう。
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作文を書くのは苦手だという人でも、学校外では、進んでSNSに書き込み、言いたいことを言う、という人も多いはず。皮肉にも、学校の外で文章修業をしているわけです。匿名で書けるとか、成績に関係ないとか、いろいろ理由が考えられます。この雰囲気を文章教育の場に持ち込めないでしょうか。
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「エモい」の多用を識者が批判することに、私はもちろん疑問を呈したいわけです。「エモい」は「いとおしい」「懐かしい」など種々の感情語の上位概念です。「桜」「コスモス」に対する「花」のようなもの。上位概念は意味が広いので、いろいろな場面で使い、使用頻度が多くなるのは当たり前です。
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「てぇてぇ」。「とうとい」の変化形。「推しが尊い」などという「尊い(=神々しいほど素敵)」を変化させて言う。江戸なまりなら「とうてぇ」になるはずですが、後部の「てぇ」に引かれて前部も「てぇ」になった模様。#今年の新語2020
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メディアでは今回「女性蔑視発言」という表現が多い。「差別」よりも「蔑視」のほうがマイルドだと考えて使っているふしがあります。でも、両者は別物です。ニューヨークタイムズは「会長が会議での女性の制限を提案」と本質を突いた表現をしています。要するに実害を与える差別だと言っているのです。
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『朝日新聞』に国語辞典に関するロングインタビューが掲載され、さっそく読者の方から反応をいただきました。中に、「自分は日本語を正す活動をしている。ぜひご協力を」といった内容のものが複数。「日本語を正す」という考えに疑問を呈したはずなのですが、そこを読解していただけなかった模様です。
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「ネギトロ」の語源は「ねぎ取る」からではない、と断言しておきます。以前「疑いの余地がある」と述べましたが、その後、ウィキペディアの記述も消えないばかりか、むしろ「通説であり」などと表現が強くなってる。通説なわけはなく、俗説を書いた本があるにすぎません。twitter.com/IIMA_Hiroaki/s… twitter.com/IIMA_Hiroaki/s…