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本日放送の「第73回NHK紅白歌合戦」は、昨年より10分早い19:20からとのことですね。例年どおり、この機会に番組で歌われる歌詞や交わされる会話の中から、辞書作りの上で参考になることばを採集し、ツイートしていきたいと思います。よろしければお付き合いください。
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ウタの曲名になっている「新時代」ということばは、もちろん新しい時代ということですが、広まったのは明治時代以降で、モダンでしゃれている様子にも使われました。芥川龍之介の文章に〈〔靴が〕新時代に出来上ってゐた〉とあるそうです。
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NiziU「Make you happy」の〈完全Sweetなメロディー〉は面白い例です。「完全にSweet」でなく「に」が落ちている。「現状では難しい」を「現状難しい」のように助詞を省いて副詞的に使うようになることばは時々現れますが、「完全」もそのひとつなのでしょうか。
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なるほど、直後の発言を「そう」で指す語法、手近の辞書にはありません。たしかに落語でおなじみで、なんか独特だなとは思いつつ、問題意識が働きませんでした。タツオさんの慧眼に恐れ入ります。 twitter.com/39tatsuo/statu…
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「古典は必要だ」というと、どうしても古典文学の魅力、といった話になります。私は古典文学が好きで、大学で「万葉集」、大学院で「源氏物語」を扱いましたが、べつに皆が万葉・源氏を読めなくてもいいと考えます。一方、明治やそれ以前の文語文がそれなりに読める能力は、たぶん多くの人に必要です。
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「『県をまたぐ』は誤りで『県境をまたぐ』が正しい」という呟きがありますが、「県をまたぐ」は問題ない言い方です。「またぐ」は「枕をまたぐ」のように物を飛び越える意味も、「日をまたいだ午前2時」のように区切りを越える意味もある。「県をまたぐ」は後者です。〔続く〕news.yahoo.co.jp/articles/e68a7…
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私もいくつか例を採集していますが、これは「反省すべきことがあれば反省する」という仮定法ですね。直接的な反省の表明を避けているのでしょう。とても便利そうなので、私も使うべきときがあれば使いたいと思います。 twitter.com/green_apple_xx…
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流通の報道では「中間業者を飛ばす」意味の「中抜き」がよく使われます。一方、〈住専返済で1億数千万円「中抜き」、不動産会社元社長らを書類送検へ〉(毎日2000.3.14 西部)など社会面では「差額をだまし取る」意味で使われます。別分野で使われていたことばが、それぞれ一般化したのでしょう。
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パートナーの呼び方について、「日経xwoman」の取材に答えました。このテーマについてはこれまでも発言していますが、多少考えが深まったところもあり、また、一方で舌足らずになったところもあり、です。ご参考になれば。 woman.nikkei.com/atcl/column/21…
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SHOWROOMでの乃木坂46の配信番組「#のぎおび」10/20で、鈴木絢音さんが秋の読書に『三省堂国語辞典』の現行版を推薦してくださったようです。12月に新版が出るので、新旧を読み比べるところに楽しさがあるとのこと。さすが分かってらっしゃる。ご紹介ありがとうございます。showroom-live.com/46_suzukiayane
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Kis-My-Ft2「We never give up!」は〈転んだだけ強くなれる!〉と、失敗を恐れずに幸せをつかみに行くという歌。失敗も逆境も無駄にならない、というメッセージを込めた歌としては、Hey!Say!JUMPの「Your Song」〈失敗は足掻(あが)いた証〉などがありますね。
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子どもが新しい言い方を口にすると、大人は「そんなことばはだめ」と否定する。すると子どもは、ことばには「だめ」「正しい」の2種類があると思うようになる。「正しい」は「つまらない」の類義語なので、子どもは興味を持たない。「どのことばも、それぞれに面白いね」という態度が望ましいです。
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京都に来る意味で「来京」ということばはない、とする投稿が話題になっています。これに対し、明治以前の例も指摘されていますが、「古川ロッパ日記」昭和11年に京都に来る意味で〈吉岡専務来京〉とあるなど、昭和初期までは散見されます。現在の新聞の大阪版でも例を拾いましたが、これは少数例です。 twitter.com/nikkei_kotoba/…
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Perfume「Time Warp」で〈全てがほら ショーウィンドウにある〉という歌詞に注目しました。show sindowは、カタカナではいろいろに書かれます。新聞なら「ショーウインドー」です。ほかの歌では「ショウウィンドウ」もあって、一定しません。辞書の見出しを決めるときに悩むことばのひとつです。
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(前の続き)それにしても、自分の昔の文章で「この言い方は違和感がある」と、ことば批判をしているのは意外で、変な感じがします。今はそんなにことば批判はしなくなりました。辞書の仕事を続ければ続けるほど、「どのことばにもそれなりの理由がある」という考えが強くなってきたからでしょう。
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「#持続可能な恋ですか?」で、林太郎の職業が辞書編纂者なのは伏線かも、と思っています。第1回で杏花が「結婚って何? 辞書にはなんて書いてあるの?」と問う。これが全体のテーマなんだな。結末次第では辞書が説明の書き換えを迫られるんじゃないかと、実際の編纂者として怯えています。#じぞ恋
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「代替(だいたい)」を「だいがえ」と読み、「代替え」と送り仮名をつけるのは、いつ頃からでしょうか。1952年の『明解国語辞典』改訂版では「代替」に「だいかえ(がえ)」の読みがあり、さらに1960年の『三省堂国語辞典』初版には「代替え」があります。当時すでに認識されていた表記のようです。
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新しい用法は、その欠陥を補うべく生まれたとも考えられます。Cよりも一段階低いBのことは「Cの次に背が低い人」、Cよりも一段階高いDのことは「Cの次に背が高い人」と言えば、両方とも表現できます。日本語が進化したわけです。
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