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「なんで最後の人を『トリ』と言うか」について「みんなの出演料をまとめて取る」からと、チコちゃんの解説。これは暉峻康隆『すらんぐ』にある説とのようです(当夜の収入を全部取り、芸人たちに分けていたところから)。ファクトチェックの暇はないけど、とりあえずお知らせしておきます。
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江戸時代から生き延びてきた「ダンチ」が、今になって、意味がかなりよく似た「レベチ」に座を追われそうになっているのは、ちょっと気の毒な気もしますね。
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「国語の古典は本当に必要なのか」という議論では、文語文=古典文学と考えると、話が混沌とします。文語文の中には、文学も論説も公文書もあります。現代のわれわれに必要なのは、「源氏物語」を読み解く能力ばかりでなく、広く過去の文献を読み解く能力です。文学と文学以外を分けて考えるべきです。
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「外来音」というのは、「フューチャー」の「フュ」などがそうで、他の言語の語彙とともに入ってきた音を指します。本来の日本語では、「落花(らっか)」など語頭のラ行音は普通でない一方、「さくら」のように語中語尾には普通にあります。語頭のラ行音のみを指して「外来音」とは言いにくいですね。
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漫画を読んでいれば、すぐに国語の成績が上がる、とまでは言えない。文章構成を読み取る力などはつきません。でも、漫画のせりふには多くの難しいことばが含まれています。浴びるように漫画を読めば、語彙力がつく。すると、文字だけの本を読むためのハードルが劇的に下がるのです。
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『三省堂国語辞典』に「マリトッツォ」が載ることについて、「ブームはもう終わったんじゃないの」との指摘もあります。私の観察では今年7月にピークアウトしています。でも、いったん知られた食べ物はファンがつきます。かつてブームになったティラミスやナタデココも、今や一般的なスイーツです。
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14日(月)23時59分から日本テレビ系「#午前0時の森」に出演し、「国語辞典の実力」について語ります。国語辞典の初心者の方向けに、おなじみのあの話題も取り上げますが、劇団ひとりさんと村上信五さんにかき混ぜていただけることでしょう。がんばりますのでよろしくお願いします。
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「そういう(情けない)とこ見られるのが、妻の特権」と言う陽子さんと、「その顔、見る権利、僕にはある気がするんですけど」と言うラストの晴太が重なる。相手が大事な人かどうかは、その弱さを知る権利があると思えるかどうかによるのかも。繊細なせりふの多い第5話でした。#じぞ恋
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敬語に関して、「敬意低減の法則」の逆を行く現象が多くあるかどうか、ぱっと思いつきません。ただ、一般語では、たとえば「オタク」が蔑称だったのが、ある場合には尊称になる、といった例はありますね。「部長はコーヒーオタクですね」と言った場合、1990年と現在とでは部長の反応は違うでしょう。
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念を押しておきますが、「了解」に敬意が入っていないのは確かです。「了解です」は目上に失礼です。だからといって「『了解』は目上に使うな」は論理が飛躍しています。謙譲を表す「いたしました」をつけた「了解いたしました」ならば、べつに失礼ではありません。
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「キュンです」をめぐって辞書編纂者・編集者が深刻に話し合っている。実際の三省堂の会議室を使用したロケです。辞書を作る人々は、現実にこうして、新語や若者ことばの意味について大真面目に眉にしわを寄せて議論することがあります。もちろん実際の用例に基いて。#じぞ恋
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「ちょっとした優越感」の要素、ごもっともですので、リンクしておきます。その他の場合もあることもご指摘の通りだと思います。
twitter.com/sakomakoharu/s…
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ドラマにせよ、小説にせよ、私は「つまらない」と思いながら見続ける(読み続ける)ことはあまりない気がします。多くの作品は、たいていどこか面白いです。面白さを味わうコツのひとつは、自分から積極的に作品世界に入って行き、あちこち勝手に出かけたりして、その世界になじんでしまうことです。
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辞書のことばの説明(語釈)は、その語が世の中でどう使われているかを観察してまとめるのが基本です。ただ、公式の定義があれば、もちろん尊重します。「反社会的勢力」「反社」を辞書に載せるに当たり、参照すべき2つの相矛盾する政府見解があるのは迷惑であり、政府には整合を図ってほしいです。
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番組でトンデモ説を扱うと知っていて協力したい専門家はいません。「筋が悪そう」と思ったら、コメント依頼は断るのが賢明な態度です。でも、結局誰かが引き受けるなら、自分が出て行って穏当な見解を述べたい。こう思って私は引き受けるのですが、思いもよらぬ編集をされることがあるのも確かです。
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三省堂「今年の新語2018」は11月14日締め切りです。実は、応募が昨年より少ないんだそうです。たしかに今年は「これ」ということばを思いつきにくいですよね。でも、周囲の人が最近使うことば、気がついたら自分も使ってることば、ないでしょうか? お誘い合わせてご応募を! dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/shingo20…
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BUMP OF CHICKEN「なないろ」。朝ドラ「おかえりモネ」はいつも見ていたわけですが、例によってテーマソングは空耳を訂正しないまま聴いていました。〈ヤジロベエみたいな正しさだ〉のところは、なぜか「野次の弁解の正しさが」と聞こえていました。すみません。
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「次に高い」問題、「へえー」だけでは何なので、分析を加えます。既出ならばご容赦。
まず、現状を次のように仮定します。〈従来は「(160cmの)Cの次に背が高い人」とは「(155cmの)B」の意味だった。ところが、新たに「(165cmの)D」の意味が勢力を伸ばした〉。以下、この仮定に従って述べます。
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「ご飯とか食べて」「カツ丼になります」という言い方についてコメントしました。どちらも特に1990~2000年代頃には批判がかまびすしかったのですが、今では定着が進んだのと、研究者などからも解釈が示されたのとで、議論は落ち着いてきた印象があります。▽J-CASTニュース j-cast.com/2023/02/254564…
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YOSHIKI「ENDLESS RAIN」の〈Let me forget all of the hate〉というフレーズを聴くと、この歌詞は最近の出来事と無関係ではないのだろうな、と思います。「ヘイト(憎悪)をすべて忘れさせて」。ヘイトによる犯罪やいさかいが深刻になっている現在、メッセージソングとして聴くことができます。
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福山雅治「道標」で描かれるのは、曲紹介にもあったように父母とも、祖父母とも、または他の親しい人とも解釈できる。昨年の紅白の「家族になろうよ」でも歌の主人公は男性と考えても、女性と考えても違和感はありませんでした。誰もが入り込めるよう、表現が工夫されているのだと思います。
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「いよいよ1年前に迫った東京2020オリンピック・パラリンピック」という広告の文言について、ネットで議論があったそうですね。これについて、ネットニュースから見解を問われました。短い記事の中では、必ずしも私の真意が反映されていない部分もあるので、改めてここにメモしておきます。
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薬師丸ひろ子「Woman」は、もう愛してもらえない相手に「行かないで」と願う曲。〈時の河を渡る船に オールはない流されてく〉という歌詞は、百人一首の「由良の門をわたる舟人かぢをたえゆくへも知らぬ恋の道かな」(楫を失ってただよう船人)という心境かも。少し違うかもしれませんが。
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テレビ朝日「相棒」の「辞書の神様」を見ました。辞書編集部の男が殺され、編纂者の先生が疑われる。辞書編纂の世界がドラマになり、大喜びです。先生の風体や、弟子との関係性は、井上ひさし『国語事件殺人辞典』のそれを髣髴とさせます。先生の造形には、見坊豪紀や山田忠雄を思わせる面もあります。