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「離合」のような漢語の方言なんてあるのか、と思いますが、けっこう多いんですね。愛知の「勘考する」(考える)、山陰などの「莫大(ばくたい)」(たくさん)、高知の「片時(へんし)も」(急いで)など。郷里・香川の方言では、荒っぽい人を「がいな人」と言います。「我意な」の意味です。
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現在は「違和感」が多数派ですが、「異和感」を用いる作家としては三島由紀夫・田辺聖子・筒井康隆・井上ひさし・大江健三郎らがおり、日本語学者でも大野晋・山口仲美らが使っています。「差異」「差違」がどちらも使われているのと同様に考えて差し支えないでしょう。
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Perfumeの曲紹介で、西脇綾香さんが〈紅白さんではまだ歌ったことのないとっておきの楽曲なので〉。番組名を「さん付け」で呼ぶのが珍しくて面白かったです。
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ドラマに出てくる国語辞典と言えば、5月20日のフジテレビ「木曜劇場 #レンアイ漫画家」に辞書の一ページが映りました。どの国語辞典だろう、と手近のものを見たが分からない。どうやら、主な国語辞典の説明を組み合わせ、架空の辞書を作ったらしい。小道具さんのこだわりに脱帽します。
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ウェブでは、相手を不快にさせた場合の謝罪のバリエーションを示したページもあります。私がイメージする「相手を不快にさせた場合」とは、せいぜい服の襟や裾が乱れているとか、肩にフケがかかっているとかかな。「服装のチェックが甘く、お見苦しいところをお目にかけました」と謝るような状況です。
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星野源「Same Thing」は全編英語詞なので日本語の用例採集はできませんが、「Anywho why don't we just karaoke?」の anywho は見たことないな、と思い、英和辞書で見ましたが、出ていません。ネット情報では anyhow(とにかく)の俗語とか。字幕では「とりあえず」と訳していましたね。
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元首相死去の報に接し、お悔やみ申し上げます。先ほどのツイートに付け加えることはないです。日本が要人テロの起こるレベルであることに愕然とし、犯人はテロで何か達成できると思ってるのか、むしろ愚かで有害な、さげすむべき行為でしかないのに、と茫然とするばかりです。
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今年の「紅白」テーマは「カラフル」ということですが、男女に分かれて戦うというコンセプトから転換しつつあるということですね。ロゴも、紅白をグラデーションで表現しており、境界がないという考え方をビジュアルで表現したもの受け取りました。
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最近「次に高い人問題」が再燃しているようで、「飯間はどう考えるのか」というツイートも拝見しました。このことについては、以前にも連投したことがあります。人々の解釈は状況によっても変わってくるかも。設問を工夫して、別の角度から調査をしてみてもいいかもしれません(具体的プランはなし)。 twitter.com/IIMA_Hiroaki/s…
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@cptakamt1 学生が授業後に教師に「お疲れさまでした」と言うのは、また別の問題で、私も言われたくないですね。落とし物を捜してあげた駅員が、乗客から「お疲れさまでした」と言われたらどう思うか、と学生には説明していましたが、最近はその説明もそろそろめんどくさくなってきました。
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戦前までの文章は文語文で書かれたものが多く、ちょっと古いことを調べようとすると、すぐに文語文の知識が必要になります。自然科学でも社会科学でも、昔の日本はどうだったかを調べる機会は多いはずです。そのための基礎知識を形成するには、文語文の授業は選択ではなく必須とするのが妥当です。
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このあとは「紅白歌合戦」を視聴しつつ、番組中に出てくる歌詞や発言から、新語・新用法などを拾う「用例採集」を行います。その様子をツイートしていくつもり。日頃、歌番組を集中して見る機会が少ないため、私にとって「紅白」は歌のことばを採集する貴重な機会です。素人的発言でもお許しください。
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他の部分について。「おいしゅうございます」を「おいしいです」と拍数を節約するのは〈発音の経済効率〉だし、古代(放送では平安時代とあったがむしろ奈良時代)のハ行の子音pが後にf→hとなったのも労力節減のためでしょう。でも、だから現在〈会話から「い」が消える〉とする構成は無茶です。
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まとめると、「自粛を要請」という言い方は昔も今もよく使われているので、「間違いの日本語」としてしまうと言語生活を阻害する。ただし、行政が「ぜひこうしてほしい」と求める場合は、「自粛を要請」ですますのでなく、当事者が困らない施策を用意してもらいたい、といったところでしょうか。
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「#マツコの知らない世界」では「黒歴史」は「∀ガンダム」から出たと述べました。ただ、富野監督自身が「別作品に触発された」という趣旨のことも述べています。とはいえ、あらゆる語源には「そのまた語源」があります。「ガンダムから」という説明は妥当で、諸説割れているとみる必要はありません。
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〈カレー問答〉1
「カレーライスを作りたいのですが、ご飯がどうしても軟らかく炊けてしまいます。もっと固めに炊きたいのですが、どうしたらいいでしょうか」
「あなたは軟らかいご飯を否定するんですか。世の中には、固いご飯が食べられない人だっているんですよ」
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現在、「お前」は目下に対しても使いづらいという人は多いはず。ところが、戦いの場では事情が変わります。日常語の「高橋さん」は、試合では「高橋!」、「打ってください」は「打て!」となる。「ぜひヒットを打ってくださいね」は「お前が打たなきゃ誰が打つ」で、ノープロブレムであるわけです。
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ごく普通に使われていた敬語が、ある時期から急に「失礼」とされ、価値が下落していく。「敬意低減(逓減)の法則」と言われるものです。「○○って失礼じゃないかな」と、いったん疑心暗鬼が生まれると、それが増幅するんですね。今の時代、その不安心理につけこんだ商売がないとは言い切れません。
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松任谷由実「ノーサイド」の「歓声よりも長く 興奮よりも速く 走ろうとしていた あなたを」というのは深い詞ですね。人々の歓声や興奮から離れた場所でも、もっと上を目指して挑戦を続けたあなた、と解釈しました。そう的外れでもないのでは。
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NiziU「CLAP CLAP」は手をクラップして地球の裏までもつながろう、という曲ですが、私なんかは坂本九さんの歌った「幸せなら手をたたこう」を思い出してしまうわけです。あの歌の令和バージョンはこうなるのか、と感慨があります。
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ことばについて、言語学(日本語学)のどの先生に質問しても、「それは誤用です」と言われることはほとんどないだろうと思います。「姿勢」ということばをあえて使うなら、研究者の姿勢は、結果的にことばに優しくなるわけです。「誤用」は定義できず、学問的にどうこう言うことができないからです。