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いまはCSがあるじゃないか、というひともいるだろうが、右も左もわからない子どもを否応なく未知の映画体験に引きずり込む、という「無選別」の凄みはやはりある時期までの地上波TVにしかなかったものだ。TVのあり方じたいが変わった現在では、編成を工夫しても同じような状況はつくりだせないと思う。
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横浜地裁の長岡熊雄判事は、被災した市民から「警察部長から鮮人と見れば殺害しても差支ないといふ通達が出て居る」と聞き、そんなことはありえないと反論したが聞き入れられず、「如何にも誠しやかに話すので聞く人は皆真実の事のやうに思つて居る」と書いている(『横浜地方裁判所震災略記』)。
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この記事を読むかぎり、きわめて信憑性の薄い証言を仮にも公共放送で垂れ流したNHKの責任はもちろん重大だが、そもそもこの男性に取材をした島田角栄氏の手法にも問題がありはしないか。島田氏自身はこの人物の証言に信憑性を感じていないということならば、それをきちんと明言したほうがよいと思う。
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アップリンクのスタッフ募集告知を見ました。以前の声明で浅井代表は「厳しい目で育て、見守っていただけるよう、お願いいたします」と書いていましたが、その際提示されたハラスメントの対応策が実行されているのか、発信もなく、取材も受けていただけないので、「見守る」こともできない状況です。
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寿小高等科1年女子によると、夜警が刀やピストルで朝鮮人を脅して寿署へ追い立てた。夜が明け、署内から呻き声が聞こえたので見ると「五六人のひとが木にゆわかれ、顔なぞめちゃめちゃで目も口もなく、ただ胸のあたりがぴくぴくと動いているだけであった」(『関東大震災時朝鮮人虐殺横浜証言集』)。
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窃盗の被害に遭われたことは心底お気の毒だと思うし、日本人でも外国人でも泥棒は泥棒というのはその通りだけれど、ならば犯人の属性としてわざわざ「工場で働いてる外国人」と書く必要はない。犯人が日本人だった場合に「工場で働いてる日本人」とは書かないはず。
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文藝別冊『大杉漣』校了しました。来月発売です。詳細はまた後日。 kawade.co.jp/np/isbn/978430…
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ある時期以降、枝野氏の言動には疑問を感じることも増えたが、「憲法は必ずしも権力を縛るものではない」「それは王権が絶対的権力をもっていた時代の考え方」などと目の玉が飛び出そうな発言をする人間が率いる政権に対し、立憲主義の本来のあり方を突きつけた意義はいくら称揚しても足りないと思う。
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碑に石橋の名はなく、裏に「少年の日に目撃した一市民建之」と刻まれている。「多くの日本人は朝鮮人を虐殺したり、目撃したりしているのに口をつぐんでいる。恥ずべきことだ」「終わりの近い私にとっては、この碑の建立が生涯たった一つの善行だった」(朝日新聞1993年8月31日)と石橋は語っている。
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誤解なきよう付記しますが、このツイートは「性的暴行シーンなどを演じたくらいで実力派と呼ばれるのはおかしい」ということではなく、「性的暴行シーンなどを演じたことをもって実力派という評価を下すような論調は抑圧的だ」ということです。「可愛らしい役柄」だろうがなんだろうが実力派は実力派。
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「アフター6ジャンクション」のナンシー関特集を聴く。町山広美さんが語った「TVに映ったものについてのみ書く」という点がまさに彼女のコラムの最大の肝で、それは揶揄的に書かれた芸能人にたびたび会って話したい(反論したい)と持ちかけられてもきっぱり拒否していたという逸話からもわかる。
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産経の記事によると、『Fukushima 50』の原作者である門田隆将氏は、この評価を評者の政治的主張の表れであるかのように受け止めておられるようですが、僕が評のなかで「(この作品は)動揺や怒りや対立を呼びおこす」と書いたのは、まさにこうした言説が出てくることを危惧したためでした。
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第1回はこちらです。続けてお読みいただければ。 bunshun.jp/articles/-/481…
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『横浜の関東大震災』を著した歴史学者の今井清一は、司法省の調査報告について、他の調査結果と照らし合わせると「隠そうにも隠せない事件だけを集めた」ものであると指摘し、一方で「殺されそうになった朝鮮人を保護したことは、かなりのページを割いて詳述」する姿勢を厳しく批判している。
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ある作品を「面白い」と感じるひともいれば「面白くない」と感じるひともいる、両方を認めてこそ多様性が保たれる、という主張はそのとおりだが、ある作品を「面白い」と感じるひとがいることと「差別的」と感じるひとがいることを同列にして多様性を語ることはできない。
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このような状況下では、朝鮮人と間違われて殺された他の外国人や日本人も大勢いた。実際にリンチを受けている現場を目撃したという証言のほか、木や柱に縛られていたり、棍棒による打撲の痕、刃物による刺し傷などが見て取れたため、虐殺の犠牲となったことは明白だった。
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「インタビュー内では『日本人が朝鮮人を殺したのは事実』と言っています。これに対して都ではこの歴史認識について言及していません」「朝鮮人虐殺を『事実』と発言する動画を使用することに懸念があります」――都知事や都の人権部が平然と歴史修正をしているという「事実」。 buzzfeed.com/jp/kotahatachi…
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首相はプロンプター丸読み、吉本興業社長は紙を棒読み。このことばの軽さ。
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会見の動画にリアルタイムで寄せられたコメントをあらためて確認すると、「会社のせいにしている」「論点ずらしだ」などというコメントも散見される。この件のもうひとつの問題は、少なからぬオーディエンスもまた日頃ばかにしているはずのメディア報道に踊らされ、付和雷同してしまったことである。
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この件は、赤瀬川やアイ・ウェイウェイ同様、これに抗議するひとたちの図までふくめて、ひとつの美術運動になっている点が重要。映画『万引き家族』が、「日本の恥」と非難するひとたちの存在をあぶりだすことで、なおさら立体的に問題の本質を可視化していたことと共通する。 twitter.com/torusano1124/s…
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前回の記事では、河瀨直美監督の過去の作品をふまえて『東京2020オリンピック SIDE:A』に対する所感を綴りましたが、『東京2020オリンピック SIDE:B』はその「まなざし」のあり方が非常に大きな問題をはらんでいると感じたため、今回はその点について集中的に書きました。 bunshun.jp/articles/-/554…
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上野千鶴子氏の「弱者」ということばに反発しているひとが少なからずいるようだが、上野氏は女性だけを弱者としているわけではないし、またそれをネガティブな意味でもちいているわけでもない。むしろ「弱者」ということばをネガティブに受け取ってしまう感覚こそ強者の論理にとらわれている証である。
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ひじょうにつらく苦しい内容をふくめ、複数回にわたって詳細にお話しくださったユジク阿佐ヶ谷の元スタッフの方々に心から感謝いたします。元スタッフの方々の声は以下のアカウントを通じて発信されています。 @yjkstaff
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KANを大衆迎合的な応援歌の作り手だと思っているひとは、彼の自分史的な名曲「めずらしい人生」のなかの一節に震撼するがいい。<すばらしい人生/今うたをうたってる/そして多くの人々が泣き笑う/めずらしい人生/そんな多くの人を/裏切らないとぼくの明日はないのも知っている>
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なんと、志村けんは四谷のイメージフォーラムにまで足を運んでいたのか。「アーキビストとしての志村けん」で本一冊つくれると思う。 blog.seven-chances.tokyo/entry/2020/04/…