救急医だけの話じゃない。 誰かを幸せにしたいと思うなら、まずは自分の幸せを大切に。 1. 自分の健康 2. 家族や大切な人たちの幸せ 3. 仕事の充実 4. 時間的・経済的自由 5. 余暇の充実 医療機関経営者として、一緒に仕事をしてくれる仲間の幸せを守るために、この優先順位を常に意識している。
不純物をぬくって、食べ物なんて不純物のカタマリですよ。純水だけ飲んでいれば、究極の健康状態になるのでしょうか。(ちなみにグラグラ煮込むだけで「不純物」が抜けることはありませんが) あなたが毎日必死に飲むのは構わないけど、間違ったことを拡散してはダメ。 twitter.com/kyon_chourishi…
「水素水が身体にいい」とか「塩素の入った水道水が身体に悪い」とかおっしゃる方々、我々の胃袋の中には常時、胃酸という名の塩酸(水素+塩素)が分泌されてることをご存知ないのだろうか。 ちょっとやそっとの水素、塩素なんて誤差にもならないレベルだと思いますよ。
重要なのは、生活保護かそうでないか、ではなく、適切な医療かそうでないか。 必要な医療なら生活保護を受けている人にも当然提供されるべきだし、過剰な医療なら、生活保護でなくても提供されるべきではない。 生存権は憲法で保障された私たちの権利。 生活保護はそのための正当な手段の一つ。 twitter.com/KRow_Dr_/statu…
高齢者にとって「死」は生理的なもの、日常生活の延長線上にあるもので、医療の対象ではない。 そして高齢者施設は、1日も長く生きるための場所ではなく、よりよく生きながら死の準備をするための場所。 4年前にオランダの高齢者施設を見学に行ったときに、施設運営者からこのように説明された。
日本にも安楽死は必要なのか。 毎年6000人以上が安楽死を選択するオランダ。これは日本に換算すると年間6万人相当。 がん患者が過半数を占めるが、要介護や認知症を理由とするものも増加しているという。 4年前、そんなオランダの安楽死の現状を知るべく、緩和ケア医のインゲン医師を訪ねた。
オランダでは安楽死が合法と思っている人が多いと思うが、実は違う。 オランダでも安楽死は医療手段として認められていないし、合法でもない。安楽死は殺人または殺人幇助という刑法に規定された犯罪だ。 ただし、下記の6つ(4+2)の要件を満たせば追訴されない。
【安楽死で満たすべき6要件】 ①患者の自由意思に基づくリクエストであること ②患者に耐え難く、解決し難い苦痛があること ③患者が状況を正しく理解できていること ④治療法がないこと この4要件は、家庭医(主治医)と患者の関係性が基軸にある。
オランダでは国民は家庭医を持つことが義務付けられる。家庭医は患者・家族と強い信頼関係があり、病歴だけでなく、生活状況もよく理解しているので、ここで繰り返し、しっかりと話し合うのだという。 そして、家庭医と患者が安楽死という選択で合意しても、すべてが遂行できるわけではない。
⑤SCENドクターによるコンサルテーション SCEN(Support/Consult/Euthanasia Netherlands)ドクターは安楽死に関する特別なトレーニングを受けた医師。家庭医と面談、患者の既往や生活歴を把握した上で患者とも面談も行い、上記4要件を確認。 安楽死を選択すべきか否かも含め家庭医にアドバイスする。
⑥安楽死の実行 上記5要件を満たすと安楽死が実行される。 安楽死には「確実に死に至る」ことが求められる。 方法としては本人による内服、医師による注射の2つの方法がある。具体的な薬剤名や用量まで教えてもらったが、一応ここでは非公開。
インゲン医師は、安楽死は本人の意思で行うものなので、本人の内服によるものが望ましいと考えているとのことだった。 なお、遂行された安楽死については、評価が行われ、不適切な事例は、当然訴追の対象となる。
患者を死なせるという判断は医師にとっては極めて重く、当然躊躇する家庭医も多い。特にカトリックの医師は安楽死に合意しない。 家庭医が安楽死のプロセスに協力してくれない場合、「エンドオブライフクリニック」というネットワークに所属する医師たちが支援する仕組みができている。
これは安楽死の専門センターという位置づけ。インゲン医師もネットワーク創設メンバーの一人。 殺人集団などと揶揄されたこともあるが、決して安楽死を推奨しているわけではない。家庭医が背負う決断の責任の重さを分担し、家庭医が安楽死のプロセスを経験を通じ学んでもらうことを目的としている。
非合法であるにも関わらずオランダで安楽死という選択が広がっているのには2つの理由があると感じた。
1つは、患者の意思が明確であること。 自己決定を重んじる文化に加え、意思決定を支える家庭医の存在が大きい。 患者・家族と信頼関係にある家庭医が、本人の人生観や生活歴を理解し、経過の見通しを共有した上で丁寧に対話を重ねていけば、納得の上で選択ができるのだろう。
残念ながら日本では、家族による本人への告知拒否など、患者自身が意思決定権者になれないことが多い。 また、このようなテーマに時間をかけて何度でも向き合ってくれる医師も少ない。 安楽死はしたものの、それがベストの選択だと確信がもてなければ、本人も家族も結局は救われないのではないか。
もう1つは、安楽死以外の緩和ケアの選択肢が充実していること。 自らもホスピスで緩和ケア医として働くインゲン医師は、オランダにおける緩和ケアは4つのコンセプトからなるという。
①緩和ケアは医療ではない。CureではなくQOLにフォーカスする。 ②死は正常なものであり、急ぐべきものでも、遅らせるべきものでもない。 ③スピリチュアルペインを含め苦痛の緩和(身体的・精神的・社会的・霊的)は確実に行う。 ④家族の悲嘆に対しても注意を払う。
緩和ケアは「死ぬのを待っている」患者に、対話を通じて「意味のある人生を作ろう」と価値観の転換を働きかける。 そのためには多職種のチームケア体制、確実な症状コントロール、積極的な取り組み(Proactive approach)、創造的な思考が求められるという。
インゲン医師は、フランスの外科医、Ambroise Pareの言葉 “To Cure Sometimes, Relieve Often and Care Always” を引用しながら、緩和ケア医としての彼女のコンセプトを説明してくれた。
オランダの緩和ケアはガイドラインに従って提供される。 通常の緩和医療的措置はもちろん、沈静(Palliative Sedation)、高齢者に対する蘇生措置について、ICDやペースメーカーの停止、終末期の患者や高齢者の自らの意思による食事や水分の摂取停止(STED)についてもガイドラインが整備されている。
日本では、適切な緩和ケアが提供されていない患者が少なくない。ガイドラインが未整備または遵守されず、生命予後を短縮する可能性のある医療措置については、いまだに十分な議論すらできていない。 本人も医療者も介護者も悩みながら、誰も望まぬケアが行われていることもある。
ちなみにインゲン医師は、安楽死という選択肢の存在は必要だとしながらも、患者の「死にたい」という言葉が、本当の気持ちなのか、しっかりと見極めなければならない。 そうはっきりおっしゃった。
皆に迷惑をかけたくない、あるいは孤独で生きている意味がわからない、これらは「そう思わせている社会を治療すべき」あって、本人が死ぬことで解決する問題ではない。 優先すべきは安楽死ではなくケアの充実、社会的処方も含め、生きていることの価値を実感できる支援がより重要だと締めくくられた。