西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(いいね順)

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雑。ボレニウス少年少女第三読本 (1923) に収録されたファーウェル・ブラウン作「日本のお店」という短編が意外なほど良いのです。箱庭に魂が入り込む没入系のお話で、リフレッシュとしての現実逃避を否定しないのであります。謎の日本人もいい感じに謎めいてます。
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ウサギにはもこもこしていて可愛いというセンチメントとは別に、暗い穴のなかで淫蕩に耽る悪徳の集大成との見解もあるようで、とりわけ黒ウサギは地獄からの使者なみにいろいろ言われております。絵はハーヴェイ読本から。
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雑。チェンバースによりますと、葬儀の際に棺に花輪を載せるのは未婚の乙女が亡くなった場合にのみ許されていたとのこと。ちなみにウェールズでは未婚のまま亡くなった中高年男性の墓にイラクサやドクダミといった刺付き悪臭植物を飾る風習があったとか。えらい差であります。
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伝承。夜、ろうそくをともして姿見の前に立ち、祖母や曾祖母たちが遺した古いドレスをまとってひとり舞い踊る少女の図。ある種の魔女になる儀式とおぼしきものでしょう。デラメアの詩集から、絵はブロムフォード。
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暦。「八月は豪奢に装い、麗しきおとめの手を引きながら到来する」とスペンサー。キングが描くオーガストは青年のようですが、中高年をもってくる例も多いいです。この乙女はかつては地上にあって不正を糺す峻厳でしたが、はびこる悪に絶望して天上に去ったとのこと。怒らせると怖いです。
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#スパウォー 以前も紹介しました二次大戦中の防弾聖書。一次大戦中は普通の聖書が弾丸を防ぐ話が伝えられ、実物が英国に戻され教会で展示されたりしました。人気が高くて、どうやら人為的に作成された品もあった模様。弾丸がとまった箇所の記述も重要とのことで、ヨブ記あたりで止めるのが理想とか。
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雑。英国伝統のハロウィンにつきものの飲み物がラムズウール lambswool 。エール(ビールの仲間)に焼きリンゴをすりおろしたものを入れてナツメグの粉末を混ぜるというレシピ。子供はミルクにすりおろしリンゴを混ぜて飲みます。栄養価は高いでしょう。あえて羊毛酒と訳しましょうか。
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2月28日は英国の名馬エクリプス(1764-1789)の命日。日食の日に生まれたためエクリプスと名付けられ、当時の競馬で18戦18勝。引退後は種馬となり、現在のサラブレッドの基礎となったとか。死後も名声はおさまらず、骨格標本となって各地で展示され、終いには複数巡業状態にーー
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雑。いわゆる「道化棒」bauble のアンティークを探しておるのですがなかなか見つからず。いっそ現代の正統なる子孫を、とも思いますがそれはラストリゾートといたしましょう。一発芸による雰囲気破壊は昔から伝わる重要な魔法だと思っております。
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ヴィクトリア朝のロンドン。ストランド街近くのホリウェルにあった有名看板「三日月」。もとは生地屋だったそうですが、のちに書店になり、看板はそのまま通りを睥睨して名物と化したとのこと。マザーグース世界では「月の男」は魔女のボーイフレンドでもあります。雰囲気はよろしいかとーー
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雑。ローズ・ファイルマンの『妖精書物』(1923)によれば、妖精の大好物はペパーミントとのこと。いつも一箱持っていくとありますが、おそらくのど飴の類でしょう。あめちゃんあげるのは万国共通の意思疎通法なのでありましょう。
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暦。5月14日は種痘記念日。1796年のこの日、エドワード・ジェンナーが牛痘由来のワクチン接種を行ったのですが、これに対する抵抗も激しかった模様。とりわけ「牛と子供」の組合せは旧約聖書のモロクを思わせたためか、ずいぶんな風刺画も登場。ワクチン事業が悪魔の陰謀とされています。
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さてイースター。もちろん新調の帽子をかぶってお出かけするのが楽しいのであります。街中の紳士淑女がくりだすとイースター・パレードの自然発生。この時期の味覚としてレモンが描かれています。レモン系のスイーツとエッグチョコレートもよきかな、と。
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英国より一冊到着。スペンサー詩集(1925)。序文イエイツ、挿画ジェシー・M・キングという素敵な本です。挿画はグロッシーペーパーに特殊インクでキング独特の塗金を表現するもので、それが手のなかでゆらめききらめく様子はPDFでは再現できません。美しい書物はそれだけで魔法であります。
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雑。fairy chair 妖精椅子といいまして、腰かけると妖精界に通じるのであります。それは古びた椅子であったり、野山にぽつんとある椅子状の天然石であったり。不思議な音楽が聞こえてくる椅子もあります(実はオルゴール仕込み)。家具の魔法は興味深いテーマです。
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雑。a ring and the star いいまして、夕刻に一番星を見つけて初めての指輪をつけると願いがかなうという伝承。高難度としては流れ星を見て指輪をつけるヴァージョンもあります。金星を見つけてエメラルドの指輪を、というのが照応論的には正しいようです。貧乏な魔術師は銅の指輪でごまかします。
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謹賀新年。西洋魔術博物館、本年もよろしくお願い申し上げます。デューラーのノウサギは定番であります。
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雑。かつて英国各地の教会は地方独特の花飾りで飾られていましたが、産業革命等で農村部の人口が減り、そういった美習も廃れてしまったとのこと。19世紀半ばに復興運動が起きましたが、一旦途絶えた伝統は復活が困難だったそうです。こうしてみるとタリスマン的に興味深いデザインもいろいろと。
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雑。定番のマジックアイテムに「七里靴」seven leagued boots があります。一歩で七リーグ(約32km) 歩けるという代物ですが、絵にするとなかなかのむちゃぶりになる場合が多いようです。王子様の高速移動によく登場し、冒険後は王家の秘宝となるのであります。
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ナーサリーマジック。夢のなかで目を覚まし、さんざん遊んで日没を迎えて夢のなかで眠るという子供の頃のルーチン。いろいろな妖精さんと知り合えるのです。63歳を過ぎるとふたたび始まるという説もございます。絵はラフェトラ・ラッセル。
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#この画像でTシャツを作りたい これもいけそうな気がするのです。
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暦。晩秋から初冬にかけて到来するジャック・フロストとフロスト・クイーン。ジャックはまだしも、野外でクイーンに遭遇すると生命の危機であります。「寒いですか?」と質問され、「寒いです」と答えると「ならば寒くないようにしてあげましょう」とのお言葉。やばいです。
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雑。どうでもいい話題なんですが、ポターの『ピーター・ラビット』は文章と絵の版権が別個だったみたいで、アメリカでは文章だけ購入して挿絵は別の画家を登用した例が散見されるのであります。図はエルソン読本にあったピーター・ラビット。おかあさん、スタイルいいです。
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暖炉上の聖誕飾り。英語では crib と総称されるもので、なんらかの洞窟状のもののなかに聖誕シーンを再現します。これは玉髄系の断面を利用したお宝系。部屋を暗くするとランプの灯りで背景の結晶がきらめくのです。魔法の道具にも応用できそうです。
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季節。夏至の頃、干潮時の海岸線で焚火をし、炎が満潮の波にさらわれるさまを拝む風習があったとダイアン・フォーチュンが書いていました(どこかで)。炎のなかに神秘なるものの姿を認めたり、水に呑まれる炎の音に未来を聞き取ったり。消防法や環境保全の見地から現在ではむずかしいのであります。