西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(いいね順)

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雑。貴婦人用の小型ポマンダー。上部を引っ張ると金属の外殻が開いて香料を入れる部分が露出する細工。ここに龍涎香などを入れ、腰ベルト等に装着します。疫病除けの護符的意味合いがあり、また詰める香料によって効能が異なるわけです。18世紀前半で廃れたとのこと。照応論の舞台のひとつなり、と。
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雑。チェンバースによれば「傘」unbrella がイタリアから英国に持ち込まれたのは17世紀初頭であって、基本的に日除けだったとのこと。雨除けに使ってよいのは女子のみであり、男子が持ち歩く傘は強い日差しから弱きものたちを護るのが本来の用途だったそうですーー
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雑。ハロウィン向きとされるチャーム類 ・割れた栗の実 (良き目覚め) ・ハート型の紫水晶 (真心) ・フクロウ (知恵) ・ガラス瓶に入ったヘザー (永遠の愛) ・四つ葉のクローバー (幸運) ・スカラベ (貞節) ・古銭 (勝負運) ・松ぼっくり(厄除け) ・願い骨 (成就)
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猫魔術。擬人化は魔術の要訣のひとつですが、猫のマザーグース見立てはどう処理すればよいのか、少し考える必要がありそうです。可愛ければなんでもありでしょうか(ありでしょう)。ラファエル・タック社の絵葉書シリーズから。(ラファエルを追跡していて遭遇)。
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暦。英国のエイプリルフールは19世紀に入って洗練されてきたのだそうです。それまで(頭の)弱い者いじめ祭りであったものが、だます側だまされる側にセンスが求められるようになり、また悪戯は午前中までというのが不文律。絵はいつものダンピー祝祭本から。
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天井ワニは薬局などでも見られますが、これは医学と占星術が分離していない時期の名残でしょう。ともあれ19世紀に入ると天井ワニの意味を知る人も少なくなり、魔術師、錬金術師、占星術師の部屋を描く際の絵画的約束として多くの挿絵に登場するようになります。
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雑。近代郵便制度の確立以前、封書は一通1シリングという高額でしかも受取人支払いが可能だったため、庶民はいろいろと工夫。出稼ぎに出た兄が故郷に残る妹に受取人払いの封書を送りますが、妹は封書を手にしただけで受け取りを拒否。実は封書の宛名部分などに秘密の記号が記されていてーー
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妖精。ムーンスピナーたちが紡いだ銀糸は妖精王と妖精女王の御召し物に使われるのであります。金糸はもちろんサンライトスピナーが紡ぎます。妖精界の日常を丁寧に描くにあたり、昆虫の生態を参考にするのも近代の特徴なのであります。絵はデュリン。
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ナーサリーマジック。獣化と変容。ウサギの毛皮で赤子のおくるみを作る話がマザーグースにありますが、絵にすると結構こわいのです。無数のウサギの霊に囲まれる図などなかなかのホラー。「ごっこ」の深淵は底なしであります。
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ナーサリーマジック。マザーグースが当時の子供たちにどれほど人気だったのか、またどれが人気があったのか。ホーンによれば「コック・ロビンの死と葬式は文字を学ぶまえから暗唱し、それから『森の捨て子』をおぼえる」とのこと。儀式の手順を記憶するという意味で考えると深い話であります。
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雑。書物を読む鳥類の代表はフクロウなのですが、なにを読んでいるかに関しては意見が割れるのであります。聖書、哲学書に始まり、当代のベストセラーまでいろいろと。ちなみにガウンをまとっているフクロウは神父の類。鳥たちの結婚式を司ります。
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雑。昔話には現代の道徳的視点から疑問符がつく展開も多いわけで、少女がクマのお家に無断侵入して狼藉のかぎりを尽くす「ゴルディロックス」などはその典型。これを小学読本で紹介するとなると一部改変したくなるのは教育関係者の宿願でありましょうか。慎重に屋内を窺うリアリズムは評価しますー
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話題。「独身おじさん友達いない」問題が取りざたされておるようですが。 英国ではフリーメイソンリーがこの問題の対処に役立ってきた面があります。月いちの食事会や勉強会、新たに覚える儀式等、いろんな人に出会えて楽しかったりするのです。男性限定というのも無意味ではないのであります。
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雑。ヴィクトリア朝の料理本の「ノウサギ料理」のレシピが「1.ノウサギをつかまえる」から始まっていて、ハードルが高いと当時から評判だったそうです。なお3月はノウサギが狂騒する時期とされていて、mad as a march hare なのであります。
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暦。8月6日は「シーサーペントの日」。1848年のこの日に英国の軍艦が喜望峰沖にて巨大シーサーペントに遭遇し、これを正式に報告しております。なおこの謎の海洋生物は以前より妙な存在感というか人気がありまして、「シーサーペント・ポルカ」なる楽曲も登場。全体、罪のない話ではあります。
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すべての子供よ、理解せよ 文字はもともとわれらをフェアリーランドに 導くために作られたのだ さればがんばれ、アルファベットを学べ 文字を覚えよ、さればフェアリーに会える国に至るであろう   ーーアンドルー・ラング  文字は童話のためにある、と有難いお言葉であります。
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季節。夏至の頃、トワイライトのなかでフェアリーダンサーズに出会う子供がいます。誘われるままに一緒に踊ってしまい、踊り疲れて帰ろうとすると例の「帰るの?」「帰りたいの?」「帰れると思ってるの?」の三連発。結構怖いです。帰還法はいろいろと。絵はマルムシュトロム(1829 -1901)。
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雑。チャームの術を用いる人はチャーマーと称されまして、「対象を魅惑して自在に操る」のであります。対象は動物の場合が多く、蛇使いはスネーク・チャーマー。図はバグパイプで狼を操るウルフ・チャーマー。ハメルンの笛吹きもこの系統。
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――旧社屋が取り壊しになる際、出入りの牛乳屋さんから「あの件はどうします?」と問い合わせがあって発覚したのだそうです。30年にわたって幽霊猫に提供されたミルクは約11000リットル。古き良き日々ののんびりしたお話であります。
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雑。風が語りかけてくるとき、とよく耳にするのですが非英語圏で育つ身にはわかりにくのであります。風の音が "yoouuu" と聞こえるからというのが理由。それが優しいとき、恐ろしいとき、いろいろあるわけです。絵はライト・エンライト。
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雑。「妖精金」fairy gold は唾液をつけると消えるという伝承がありまして。ロンドンなどでは商人がその日最初に貰う貨幣(handsel) に唾をつける習慣があったとのこと。オリンピックの優勝者たちがメダルをかじっているのもこれが遠因かもしれません。唾液あるいはキスの解呪伝承は古いのであります。
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季節。夏至の頃は wraith いわゆる生霊の話題が多くなります。黄昏のなかでうとうとすると、どこかの風景のなかを歩いている自分を見出したりするのです。なお生霊は草花のゲートをくぐると元の体に戻るのだとか。ゲート前にたたずむそれは魅力的であります。
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恒例。今年もお屠蘇がわりのローズマリーワイン。一回ディップしたくらいが香りの移り具合がちょうどよい感じです。それなりの文言を唱えて行えば、分類としてはエンチャントメントになりましょうか。優雅でよろしいのであります。
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雑。いわゆる「修道院の花暦」(1833)の2月19日の項に興味深い記述を発見。「喫煙は健康に良い習慣であり、とりわけ貧民層の狭い家屋内にて推奨される」。現代の常識に逆行しておるのですが、どうやら当時は煙草の煙に殺菌効果があってペストやチフス等を燻蒸できると信じられていたようですーー
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雑。エンブレム的には toad ガマガエルと frog カエルの間には厳然たる差異があるとのこと。跳ぶのがフロッグ、這うのがトード。水属性のフロッグ、土属性のトード。煮ても焼いても食えない英国はトード、簡単に食われ(この先の記述は自粛します)。トードは呪術の材料としてもよく利用されています。