201
前任校で定年間際の年の頃合いの化学の先生がいらした。優しくて、何かと難しい小さな組織の中で僕のことをかって下さっていた方だったので頼りにしていた。その温厚な先生が、「任期付」の話にだけは、“カッ”と目を見開いて「それだけは絶対ダメだ!」と激しく怒っておられた。頼もしい重鎮だった。
202
どうも世の中、エルダーの教員を追い出すのが正義みたいな雰囲気があるが、組織はバランスが大事で、カツカツの条件下で雇用された世代が年を重ねて先の先生の世代に近づきつつある。これがとても心配である。若い頃、不安な時間が長すぎて従順になった世代が重鎮になるとその「老害」は深刻かも。
203
204
僕が昨年6月に炎上した時のリプ読んだ実感なのだけれど、積極的に「攻撃」したりわざわざ「困惑」を書いて薪をくべていた人々の多数は、ざっくり言って男性だったのですよね。「フェミニストに見られたい男性のアピール合戦」という側面は確かにありましたね。迷惑なことだなと思いました。
205
人の属性は一口には語れないので「フェミニスト」と言っても色々な人がいるので話しは複雑なのですが、専門的にフェミニズムを研究している人から攻撃された実感は薄いのですよ。男性、特に男性研究者のポーズが多かったです。まったく人の人生を何だと思ってるんだと悔しかったです。
206
悔しかったというのは、その実物のお人柄はフェミニズムと対極だろう?という男性から「ミソジニー」とか言われたりわけ知り顔で注意するパフォーマンスの材料に使われたことです。私もこの業界でご飯を食べてきた人間なので、彼らのお人柄は知っているわけです。狭い業界ですから。お前が言うなと。
207
「お前が言うな」と言うのは確かに炎上した僕の実感ではあったが、時間が経ち、傷も癒えた今、冷静に考えると、こう言う人々がジェンダー格差を隠蔽・保存してきたんだなと。本当は、ジェンダー格差をなくすために何かする気はないし、おそらくとことん関心がないんだろうと思います。
208
209
第7代大統領アンドリュー・ジャクソンの名言に「公務員の仕事は誰にでもできる」というのがある。この言葉の含意は「公務員の仕事は誰にでもできるようなものでなければならない。もし複雑な専門知識が必要な仕事なら、国民が政府をコントロールできなくなる」という意味である。(僕は賛成ではない)
210
「善く負ける者は、善く勝つ」と僕は信じている。斜に構えて「負けたことない奴が一番強いだろ、敗北から得られるものは何もない」と考えた時期が私にもありました(負けた側としてだが)。でも違うのですよ。転んで立ち上がること、その際、石ころ一つ持って失地回復を目指す人生の方が偉大だと思う。
211
前に書いたことあった記憶がある。大学院に進学前、短期間ながら民間企業の就活したことがある。「大学で何に力を入れましたか」と聞かれたので、「アメリカ独立革命の勉強に力入れました」と応え、「ほうどんな話しなんですか」と聞かれたので話したら内定くれた。企業名は言わない方が良いだろう。
212
まだバブルが崩壊してそんなに時間がたっていない頃だったので、余裕もあったのだろうが、人事の前線にいる人たちは、至ってフラットで真面目で、「役に立つ学問」とか言わなかった。今でも学生のインターン先の企業に挨拶に行くと、人事の人たちから変なこと言われたことがなかった。
213
もう現場から離れている経済人や変な一部の政治家、コンサル、役人が妙なことを言い、それに大学が過剰反応している側面はあるんじゃないかと思う。どの道、技術は日進月歩で、商売のやり方も変化する。だから学問内容については現場レベルではフラットに見ている人の方が多いんじゃないかな。
214
別な意味で酷かったのは、日本長期信用銀行だったなあ。もう大学院進学を目前にした1月か2月ころ、凄い偉そうでダルそうな声で「長銀ですけど」と電話が来て面接してやると。たぶん上位旧帝か早慶で辞退者が出たんだろう。「大学院行くんで」と断ったら舌打ち聞こえた。そりゃ潰れますよね(笑)。
215
管理したい人はだいたい中身が空洞な人が多いのですよね。でもそれが不安で、その空白を埋めようとする。実は我々の多くが、そういう個人の実存的な不安に振りわまされがちなのです。というのは、こういう人は目立つミスもないので(空っぽなので失言もない)ある程度権限あるポジションまで偉くなる。
216
真面目な話、氷河期世代はどうなるのだろう。大学業界というやや特殊な断片に身を置いていて気づいたのは、ある時期から、70年代生まれの人々の履歴書は門前払いになり80年代から検討の対象に入るようになっていた。70年代を棄民すると色々な収支は綺麗に合うようになる。近く悪役にされるのだろう。
217
(´;ω;`)持てる者はさらに与えられ、持たざる者は自分が持っていると思うものまで奪われるだろうとはイエスの言葉だったか。
218
「実際、子どもをもたない男性の割合を見ると、年収300万円以下の人で25%から62%に急増していた一方、年収600万円以上の人は6%から20%という増加幅でした。格差は明らかで、社会の問題ではないでしょうか。」asahi.com/articles/ASQ64…
219
亡父の市役所職員のキャリアは税務次長で終わった。市長選挙で市長が交代し、旧体制の幹部は左遷。父の場合は、片道切符で宗谷消防に出向した。ちなみに父を追い出したのは僕の北大の先輩。消防は市役所の植民地で歴代消防司令は市役所で権力闘争に負けた人が就任していた。これには色々理由があった。
220
消防司令としての父の功績は4つある。一つ目は、平成14年に稚内のど真ん中の繁華街で発生した大火事の鎮火の指揮を執った。真向かいの郵便局の2階を独断接収し、鎮火のために狂ったように建物を破壊する消防士を抑制しながら最短で鎮火した。ちなみに父はホースも握ったことがない。
221
二つ目は、人口減少でもう誰も住んでいない消防署の枝葉を統合整理した。これで消防官の無駄な労働と睡眠不足を減らした。三つ目はこれに関わることだが、消防士は火消しのプロだが書類仕事がとにかくできない。設備も防火服も道具も全部20年もので異臭を放っていた。→
222
前任者の消防司令が消防士生え抜きだったのだが、実務ができず交換する予算申請ができなかった。父は瞬く間に2000万円超を調達し、全て一新した。消防士に高校時代の同級生がいるが魔法のようだったと言っていた。
223
四つ目は、消防のトップが自分のような医療も鎮火も素人の人間では良くないと考え、消防士の中からこれはと思う人材を市役所に出向させ、行政実務を勉強させた。これによって、消防士生え抜きの消防署長がイレギュラーな形ではなく正規ルートにした。植民地は完全には解消されていないが。
224
「左遷」ではあったが、市役所の職階では「部長職」(稚内市役所は最高職階は部長)ということで、彼には天下り先が用意された。市の福祉事業団の理事長だった。彼は事業全体を見直し、年功序列賃金を維持したまま老人ホームの慢性的赤字を全て黒字にして民営化させた。
225
介護士は女性が多かった。シングルマザーも多かった。父は「この人はデキる」という人を管理職に昇進させることにした。本人は断った。責任が重くなるのは怖かったし、zジェンダーバランスの悪い部門で女性ばかりだったので面倒くさがった。それはいかんと説得して管理職にした。