176
まさに三谷脚本の真骨頂な「頼朝最期の日」だったなあ…
組!のように1日をじっくり描く45分。冒頭で全成が提示した条件を、天に守られてると自ら信じ、だからこそ猜疑心に苛まれる頼朝が図らずも拾っていく偶然と必然が、滑稽な喜劇にも、取り去られる天命の悲劇にも見える、この塩梅
#鎌倉殿の13人
177
信康くんのあれは、三方ヶ原後の家康と同じく合戦ショックの後遺症だろうけど、白兎の弱さを自覚してる父と違い、個の武勇を磨いてた自負がある子だけに、それを全否定された設楽原の「嬲り殺し」の傷は深く、だから余計躍起に戦ハイになってるんだろうなあ。そして無理がきて潰れる心。
#どうする家康
178
自分が頂点に立つため、朝廷が握る権威と人事権をフル活用して鍔迫り合いさせる後白河法皇は確かに大天狗だし、でもその鍔迫り合いをこそ利用し、するりと地頭の任命を認めさせる北条父子(&頼朝)が痛快な回でもあったな… 「この国の成り立ちを根こそぎ変えて」しまう、その始まり。
#鎌倉殿の13人
179
無法者の山猿ではなく、ただ独自の文化と義を貫くがゆえ、その清冽さが都の魑魅魍魎に呑み込まれる義仲解釈。そんな父の嫡男として、政子大姫が一目で惚れ、あの義経も蝉の抜け殻でせめてもの温情を示す義高に、まさに歳ぴったり配役できる染五郎丈がいた僥倖が本当に……本当に……
#鎌倉殿の13人
180
181
下々の者を見るため御所の壁に穴を開けようと計画する後鳥羽上皇に、慈円が「誰かを覗くとは、誰かに覗かれること」と警告めいた言葉を口にするのは、今まで遠く西から、梶原や頼家や平賀を焚きつけ、坂東武者の命への実感もなくリモートで左右してきた傲慢をさりげなく指摘してますね…
#鎌倉殿の13人
182
兄の死とその前段階だった比企滅亡について母を責める実朝さまですが、比企と北条が後戻りできない所まで行ったのは、実朝本人の乳母夫だった全成の処刑とその子頼全の誅殺なわけで、そこに実朝が思い至らないのは、夫と子の恨みを実衣が千幡には伝えなかった証でもあるか…と考えると少し切なくなる
183
184
#鎌倉殿の13人 今週演出の保坂監督、上総介誅殺の足固め回とか、義経最期回とか、頼朝の最期から葬儀回とか、比企能員騙し討ち回とか、辛い闇に突き落とされるほど冴えわたる小四郎を撮るのに定評(独断)がありますけど、今週はその緊張感が重忠殿にも発揮されていて、胃が痛いほどの美しさ。
186
佐殿の源氏ブランドにはしゃいでるようだった宗時兄上、実は北条が上に立つ坂東武者だけの世をつくるため頼朝さえ利用してやると、誰よりも独立心高く志がでかい男だった…
これは兄上大好き義時、この後もずっと頼朝に付き従わざるを得ないじゃん… パパの提案も止めるしかないじゃん…
#鎌倉殿の13人
188
子らと過ごす日々を楽しみにしてた伊東の爺様、3年先の願いを書いてた上総介、次は何を植えようか語っていた蒲殿の、その突然断ち切られた生の無念が、頼朝にそっくり返ってきたとも言えるんだよなあ… 傍にいてくれる人の顔を見て「好きに生きる」と言えたそのとき、訪れたあの結末。
#鎌倉殿の13人
189
この先の史実で、起請文も院宣も無視してなぜ義村が義時の側につくのか。第1回から描かれていた米蔵の幼馴染関係だけではなく、一度は恋の鞘当てさえした、伊東の一族のお姫様であり、必死でその命を救ったおばであり、盟友小四郎の妻でもある女性を死なせた傷を平六に負わせる三谷さんんんんん……
191
いやしかし、ここまで「安子が勇のプロポーズを受け入れさえすれば全て丸く収まってたはず」と「安子が勇と再婚することは、ここまで二十数年コツコツ積み上げてきた彼女のささやかな自分らしささえ手放し沈黙すること」を並立させているの、ほんとすごいな…
#カムカム
192
あのとき里芋をくれた藤平太だけでなく、ほかの民もわらわら一緒に来たってことは、風変わりな源氏の御曹司と御一行、その後の活躍については、きっと腰越ではずっと語り草になってたろうと思われるし、彼らを喜んで迎える九郎の「八幡大菩薩の化身」でない顔が、本当に慕わしくて…うっ
#鎌倉殿の13人
193
今回ハッとしたのは、政子と実衣が母の顔を思い出せない事で。確かに地方豪族なら絵など残せる機会もそうないだろうし、画像記憶が薄れるのはリアルだなと。
身近な死。残せない記憶。だから人は祈り、夢枕は意味を持ち、立派な墓には捨てきれない情がにじむ。命は軽いが、喪失は重い。
#鎌倉殿の13人
194
「忠臣は二君に仕えず」を言った王燭は命を絶ったはずだと梶原が結城朝光に厳しく迫ったことも、鎌倉殿による天下草創のため上総介を斬ったことも、全てその本人に返ってくる厳しい展開を見せた上で、その梶原が、かつて小四郎に言い放った源氏は飾りの言葉を再確認するのか、そうか…
#鎌倉殿の13人
195
八重と政子の直接対決。八重の「(佐殿は)伊東から北条に乗り換えたということか」で、単なる元カノ今カノの闘いではなく、この複雑な東国情勢で源氏の若君を”婿”に迎えるとはどういう意味か分かった上で、決して切り離せない家を背負う2人の女が言外に問い合う覚悟がすごく良かった。
#鎌倉殿の13人
196
やはり八重さんの「佐殿の傍にいたい」は、本気で惚れ続けていたわけではなく、愛する人の子を産み幸せだった、しかしもう喪われたあの頃への拘りだったのかなと。
いざ本当に頼朝が現れれば心はとうに離れてたと自覚して拒絶し、巴に学んだ小四郎に笑顔で応えられて、本当に良かった…
#鎌倉殿の13人
198
199
ここ何年かの大河で首桶レギュラー大活躍にすっかり大河視聴者を慣れさせてたところで、さらし首をぼかしとはいえ画面前方ドアップ、画面を巧みに切って役者の顔を「首」に見せる構図、そして見つめる時政義澄の、一歩間違えればあれは我らの首だった…に実感持たせる演出が、本当に。
#鎌倉殿の13人