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小四郎、他人に対する感情としての評価(気に入った気に入らない系)を意外と口にしない男で、それは一定の社会性はあるものの、実は他者への関心がぼんやり低体温な証だとも思ってるんですが、だからこそ「言葉と思いが別のとき襟を触る」なんてロジックを自ら弾き出し信じ込むのでは。
#鎌倉殿の13人
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巻狩回のリフレインでもあったんだなあ。謀反であり敵討ち。人に言いにくい理由で偶然助かる頼朝と義時。あのとき、天の導きがなかったと寂しげに笑う頼朝を見てるはずの義時が、今回自分の助かった意味を「天」に求めるのは、頼朝と同じ不安を知りながら迷いを捨てねばいけないからで。
#鎌倉殿の13人
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実はボケてた歩き巫女が言う「天命」を信じてしまった実朝の、しかしどこか従容とした最期の笑顔に対し、頼朝様のように天に生かされたと言いつつ、やはり根はリアリストだから信じきれるわけでなく、”俗物”同士のウマで運慶に彫らせる仏も何か確認作業のような小四郎の孤独が一層重い。
#鎌倉殿の13人
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義時の中にやはり米蔵の小四郎が残っているから史実イベントの地獄みが増すのと同様、政子もまたこの実朝の死まで、いわゆる息子を傀儡に政をする強気の尼将軍ではなく、どこまでも優しい母であり謀反を起こした孫の命さえ救おうとする祖母だったからこそ地獄みが増すのがほんと鬼脚本。
#鎌倉殿の13人
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余りにも辛い決断をし、友にさえ死を望まれ、遂に迷いを捨てた義時が、この道に自分を引き止めた姉上を「闇を断つために貴方は何をなされた」と問い詰めるのは、組!局長の「我らが命がけで戦っていた間、お手前方は一体何をなされた!」だったな…この瞬間のためのここまでだったのか… #鎌倉殿の13人
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鎌倉殿版の実朝暗殺、十数話かけて朝廷から坂東への政治的介入と義時個人への攻撃を史実以上に盛り、西との対立構造を積み上げ、実朝様の六波羅御所計画なる力技まで入れて、やっと義時の「愛想が尽きた」未必の故意が成立するのを見ると、史実義時さんの動機の無さ、無実っぷりが逆に際立つ気がする。
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小栗旬さん、クランクアップ後のインタビューや写真などで、すっかり小四郎が抜けておられる…と思ってたんですが、本日のあさイチ録画を見たら、シビアな40話以降「早く米蔵に帰りたかった」と呟く顔や、八重役新垣さんの手紙を遠く愛おしむように聴く顔に、ああ小四郎がまだ居る…と胸がいっぱいに。
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比企を滅ぼし首を並べろと怒り、小四郎の妻も比企の血筋だから追い出せと許さず、生き返った頼家の処置も冷たく提案していた実衣が、それでも手元で育てた次なる鎌倉殿の幼い千幡には、少なくとも兄や兄の実家に悪感情を抱くことは吹き込まず、そこだけは「誰も恨んではいけないよ」を守ったんだなと。
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兄の死とその前段階だった比企滅亡について母を責める実朝さまですが、比企と北条が後戻りできない所まで行ったのは、実朝本人の乳母夫だった全成の処刑とその子頼全の誅殺なわけで、そこに実朝が思い至らないのは、夫と子の恨みを実衣が千幡には伝えなかった証でもあるか…と考えると少し切なくなる
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#鎌倉殿の13人 の実朝様、良き為政者になろうと努力してきた=義時のように鎌倉で流した血への罪悪感と執着がないからあっさり京へ行くと言えるし、誠実だから一度公暁に同情すれば、共に鎌倉を取り戻そうとも言えるし、優しいからこそ他者の心を次々踏み抜いていける造形をここまで描けるの凄いな…
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運命の雪の日。ここまでの #鎌倉殿の13人 からして、さぞ手の込んだ最悪ピタゴラ装置になるだろうとは予測してましたが、序盤から並行して描かれていた「誰もが記憶を都合よく置き換え、だからこそ人は生きていける」も被さってくるのが重い… 全員が少しずつ悪く、自分を正当化し、集約していく歪み。
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序盤から割と弟のせいにしがちな姉上ではありましたが、今回の「なぜ説明しておかない」は、明らかに頼朝の「何とかせよ」でしたね…公暁の意思を聞き狼狽え、小四郎に説明を任せ、それでも公暁がいる場で実朝に「母にお任せあれ」と言い、従三位に浮かれる、残酷さと愛嬌の無自覚な同居がとても頼朝。
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今回、兼子の嫌味を受け流し交渉する政子は、丹後局にやられた当時より圧倒的に成長していましたが、しかし公暁が鎌倉殿になると話した時点で初めて慌て、その前に公暁の名を出し計画に反対してた当の小四郎に「なぜ説明してないのか」と言っちゃうあたり、すごく頼朝に似てきてもいる。
#鎌倉殿の13人
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大江殿の政子推し設定に関しては、どこに本音があるのか分からなかった有能な文官の動機を分かりやすくしたかもしれませんが、一方で、ではあなたの推し活に、推しの弟であるただの青年を付き合わせ、その人生を真っ黒に染め上げた挙げ句に放り出したのです???と言いたくなるのも事実ではある。
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しかし『おんな城主直虎』で家が滅びる辛酸を嘗めた後、大名は戦でなく蹴鞠で雌雄を決すればよいのに…と話す今川氏真を演じていた松也さんが、 #鎌倉殿の13人 では後鳥羽院に転生され、今度は蹴鞠で親王将軍を平和的に決めたと思ったら、時房にまた会おう=承久の乱フラグを立てたの面白すぎでは。
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理屈とか史実とかいろいろなものをすっ飛ばしたことを感情のままに言いますと、はーーーーもういいよ小四郎、姉上に無理やり引き止められてからここまでめっちゃ頑張ったよ、鎌倉なんぞ放り出して仲章の言うとおり伊豆に帰って念願の隠居生活しちゃえ!!後のことは知らぬ存ぜぬで通せ!!!になる。
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『平清盛』も散々ドS脚本だ鬱大河だと言われてましたけど(だがそこがいい)、あれは主人公清盛がどんどん老醜をさらしていくのと並行し、彼の敵であり彼の夢を引き継ぐ者でもある頼朝と政子らが、明日へ向かおうぞと鮮やかに清々しく輝いているから、物語として優しかったんだなーと思い返している。
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とりあえず私は、藤内や忠頼の処刑をしたあと赤子の金剛を抱いて許しを請い、奥州で暗躍したあと金剛たち子供らに土産を持って帰り、頼朝に言われるまま非道を働く自分の情けなさを八重さんに打ち明けてた小四郎が、成長した泰時に「義弟というだけで頼朝の傍にいた」と言われてしまう悲しさに泣く。
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公暁について「おいそれと還俗できぬ」とさらりと言えてしまう実朝さま、ああそりゃ子供のときから一緒に育った時元の鬱屈に気づけない方だなあと思うし、この鈍感さこそ、頼朝の弟でも僧として一歩身を引くことで自分と家族を守ってこれた優しい全成が守り育てたものなのかもしれない。
#鎌倉殿の13人
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もし政子がこれまでのあれこれを見ながら、本気で公暁が自分の血筋を気にせず大人しく僧におさまってくれると信じているとしたら、和田合戦のとき平六を落とすため言った「弟と違って私は人を信じない」が跳ね返ってくることになる。