402
家の命運と正当性がかかっている帝としてではなく、ひとりの幼い甥っ子を気遣うおじとして安徳天皇に優しく声をかけている宗盛のこの真っ当さ(とそれが通じない生きにくさ)を、もしかしてこの後、義時と頼家、実朝との関係で思い出すときが来るんだろうか。
#鎌倉殿の13人
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死ぬ者をいっそ滅びの美学で描けば、潔く退場する彼らから主人公が信念や何かを託される、美しい物語にもできるんでしょうけれど、死ぬはずなんてなかった、心残りだらけだった、無惨で理不尽な死を描きながら、それと対峙し屹立せねばならん側を主人公としてどう描くか、作劇として凄いなと思ってる。
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勇ましい戦でなく川辺であっさり殺される兄上も、前を向いたところで暗殺される伊東父子も、突然のことで困惑と絶望のまま誅殺される上総介も、誰も自分が死ぬことなど考えてもいなくて。
そして、周囲が死に主人公が生き残ると確定している物語でこう描くの、恐ろしく胆力が要るな…とも。
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『新選組!』『真田丸』の頃から、いわゆる「滅びの美学」的なものは苦手とよく言及されていた三谷さん、今回の #鎌倉殿の13人 では、悔いは無いと言い切り自害する覚悟の義仲でさえ、「ただ一つの心残り」を口にする途中で矢を受けぶつ切られる最期にしていて、その辺が更に徹底してきてる気がする。
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少なくともツイッターで感想つぶやくぐらい熱心な大河クラスタは大体、作品によって違う解釈も含め、史実とフィクションをすっぱり分けて楽しんでる人が大半だと思いますよね。
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大河の影響力を考えると、史実はこう!と言いたい人の懸念もまあ分からんでもないですが、純粋なドラマ感想にわざわざリプする根底には、ドラマなんぞを楽しむ人間は皆フィクションを史実と混同するに違いないという侮りと思い込みがないか?と言いたくもなるな…と、相互さんが絡まれてるのを見つつ。
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小四郎のお手紙をプラスで見返したら、行間のびっちり追伸部分に個人名?らしきものが多く見られ、戦況概要をひととおり書き終えた後、あの人やあの人の活躍もちゃんと伝えねば!と、小四郎なりに頼朝と御家人の間を取り持つ北条の役割を果たそうとしたのかなと伺えてちょっと微笑ましい
#鎌倉殿の13人
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『新選組!』では、あの山南さん切腹回でどん底に落とした翌週、「みんなそれなりにありがとー!」な大騒動で浮上させてくれた三谷脚本が、今年の #鎌倉殿の13人 では、上総介誅殺の翌週を息抜きどころか、傷心小四郎くんが目撃する鬼神義経の戦に次ぐ戦にしてるの、色々な意味で凄みが増してる。
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小四郎の「恨むのなら鎌倉殿を恨むのが筋」。
頼朝に近しいと周囲から見られてるだろう立場と実はズレている内心の表明のような、それでいて上総介の件で恨みを背負う頼朝の覚悟を理解した言葉にもなってる、どちらにしても今までより一歩踏み込んだ言葉を発した小四郎に、ハッとする。
#鎌倉殿の13人
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突然赤子を預けて「1人も2人も同じ」などとたわごとを抜かす平六くんに、結果的に受け入れるとはいえ八重さんが「無理です」「全く違います」「困ります」と全力で拒否するの、やはり三谷さん、ご自身に子供が産まれた経験を踏まえての台詞なのかなーと思ったり。
#鎌倉殿の13人
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義に篤い義仲が、都の作法を知らないがため負のスパイラルに陥っていく様を描いた上で、では同じく作法なんぞクソ喰らえ的なあの九郎が都に来たらどうなるの?と思っていたら、戦に勝つことに特化したその天才性が、後白河院の”大天狗”な部分とマッチしてしまうの、本当に巧すぎますよ…
#鎌倉殿の13人
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割と平均的だろう「貴族趣味に堕落した平家と、それを負かした悲劇の天才美少年武将義経」イメージを確固として持っていた家族(60代)が、今週はついに「平家かわいそう…… こんなこわい義経に攻められるのすごくかわいそう……」と言い出した。
#鎌倉殿の13人
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うわ… うわあーー
梶原殿が前に「粗暴なやつは苦手」と言ったとき、なるほどそりゃ九郎とは気が合わないですねーと思ってたら、そんな予想なんぞ軽く超え、誰よりも軍奉行にふさわしい男だからこそ、九郎の天才性を正確に理解し、己にない才を眩く見つめるこの人物設定ーーうわああーー
#鎌倉殿の13人
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殺すと既に決めても「礼」としてサシ呑みをする。
その計画を考えたのは自分だと言う。
誅殺の現場に現れる。
「来ればお前も斬る」で小四郎は無関係と皆に示す。
中途半端に情を示さず「謀反人じゃ」と言い切る。
やはり頼朝、上総介を殺す分だけのものを背負う覚悟を示してるんだな…
#鎌倉殿の13人
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「お前さんは己の道を行けばいい」と頼朝に話す上総介が、その流れで「法皇様だって目じゃねえや」を笑って付け加えるとき、ついでに小四郎のほうを向くのが、本当にぞっとするほど演出が細かい。やがて承久の乱で勝ち、院を流刑にして「目じゃねえや」を叶えるのは、頼朝ではなく小四郎である…
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「頼朝に似てきた」とは、ほかに選択しようがなく正解の分かってる話をわざわざ打ち明け、小四郎を共犯者として懐に引きずり込んできた頼朝と同じ手口を今まさに自分も小四郎にされてるということで。しかもそれを褒め言葉として評するのは、その甘えを受け入れてやる宣言でもあって。平六……
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梶原景時が上総介を斬りつけたとき、義澄が心の底から驚いた顔で震えていて。
第1回の頃は、小四郎に内緒で打ち明けられた頼朝の居場所を、三浦のため(もちろん北条のためもあったとしても)父に明かしていた平六が、今回はそれを父にさえ言わず、黙って小四郎の横にいたんだなと。
#鎌倉殿の13人
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父ちゃんが亡くなったから俺たちが母ちゃんを助けるんだ!と張り切る子供たちの仕事分担が、10日でもう疲れが出てきて崩れ、きょうだい喧嘩が始まるあたり、ちょっとリアルだし、また子供たちに疑似大人としてのしっかり具合を乗せて描くつもりはないらしいのが、ホッとするな…
#ちむどんどん
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当初から頼朝への反感を顕にしていた平六が、その頼朝に似てきたことを「褒め言葉」として小四郎に言う。かつての気安い頼み事とは違う、余りに暗い罪悪感を消す”口実”が欲しく自分の所にきた友の甘えを受け入れ、横に座ると決めたこの瞬間が、これから緊密に協調する史実の義村義時へ繋がってくのかな
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今日の回は小四郎個人だけでなく、盟友にとっても青春の終わりだったろうなあ。友と対立する謀反への加担も引き際も淡々と受け入れ、その友がどす黒い所へ足を踏み入れてることを肯定し、それを目撃する場で横に黙ってついてる平六、明らかに「三浦の嫡男」とまた別の軸が入ったのでは。
#鎌倉殿の13人
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あー…そうか。源氏の世の足固めで見せしめにされる上総介が佐藤浩市さんで、やがて源氏の世を終わらせる公暁役はその息子の寛一郎さんという配役の妙だけでなく、上総介が屠られる命運が決まった日の儀式も、源氏の世が終わる日の厳かな儀式も、同じ八幡宮という重ね方をしてるのか。三谷さんこわい。