この報道、迂闊にも気付くのが遅れましたが、研究内容のものすごさに驚嘆・絶句しました。カヤノミカニモリは1970年代までは本州〜九州でもごく普通でしたが、その後短期間で原因不明の消滅を遂げ、絶滅寸前に陥ったのです。一方で南西諸島以南ではなぜか今も多産します。... news.yahoo.co.jp/articles/72a6d…
記事内容の最も恐るべき点は「幼生から成貝までの飼育を初めて成功」の部分で、この種の生活史全体を飼育下で再現できるなどとは、私は思いもよりませんでした。これで謎の減少要因の特定にも繋がるかもしれません。確かに天草には九州以北としては数少ない健在個体群があり、この地域でこそなしえた..
ミヤイリガイについて補足。日本住血吸虫症が終熄したと公的に認められている現在、ミヤイリガイは「普通の」絶滅危惧種として環境省RL・RDBに掲載されています。カテゴリは絶滅危惧I類、つまりヤベガワモチと同じです。ならば必然的に、保全対策が求められます。画像は現存個体群の生貝。
今回の恐るべき成果が、卑小で凡庸な物語に回収・梱包されて終わってしまうのではと勝手に危惧し、もどかしさを禁じ得ません。それは無理もないことで、カヤノミカニモリという名前自体を今回初めて聞いたという方が圧倒的多数のはずで、その点で今回の研究は、レベルが高過ぎて正当な評価が得られ..
カヤノミカニモリの件、「高校生が」「9年かけて」「環境省から表彰」という経緯は私も慶賀にたえませんし、だからこそ新聞記事にもなったのでしょう。でも、それらに当てはまる研究は従来も多数ありました。他方、カヤノミカニモリの飼育下での全生活史解明は、人類史上初のことです。だから私は...
図鑑とは、山溪さんご指摘の通り入門書と専門書を兼ねた稀有な媒体。時にその作成に関与する立場としては利用者のニーズを知るべしと思い立ち、学生相手の単純な聞取調査を行いました。その結果、依頼講演等で意外に好評な持ちネタとなったのでご笑覧下さい。いつも通り考察が飛躍しまくりですが。… twitter.com/Yamakei_ikimon…
どこで息継ぎすべきかわからない場合もありますが、貝人はこれらの名を正確に諳んじて流暢に口にします。15〜16字程度は決して珍しくありません。 ちなみに、現時点で最も長い貝類の和名はレーズンイリムシパンサンショウガイモドキ、20字です。この和名を命名したのは私自身で、殻を見た瞬間…
#珍種紹介 日本の淡水貝の #七大珍種 にカワネジガイを含めることに異論は出ないでしょう。稀少性はもちろん、形の奇抜さや意表を突く所属など、これこそは貝通の夢にして憧れの種。この種に関するまとまった報告を一番最近公表したのがたまたま私なので、カワネジガイの凄さと魅力をご紹介します。...
この記事(及び「参考文献」の英文2記事)には看過できない誤りがあります。既に(1903年)記載されていた亜種が、このたび種へと階級が変更されたのであって、「新種」ではありません。それに何度も言いますが新種は「認定」でなく「記載」するものです。 twitter.com/NazologyInfo/s…
解剖図の板書は、体力使うけど私も好きです。受講生の眼前でさっと描いてみせ、各自でノートに再現してもらえば、プリント配布やpptで伝えるよりも印象に残るはずです(写メは遠慮してもらいます)。ここ2年はコロナ禍で実施できていませんが、それ以前は毎年こういう絵を描いていました。 twitter.com/japanfossil/st…
イカの解剖図も描きやすい上に簡単に可愛くなるので、お得感があって割と好き。
これは私の修士論文(1994. 小笠原研究20号)に含めた絵。この時は修論に入れ込み過ぎた結果、教授会で後始末が議論されるほどの問題を起こしてしまいました(今となっては笑い話)。結局、絵は時間と労力を要するので、他を犠牲にしてまで没入できるかと自問して、必要最低限にしようと決めました。…
長崎県佐世保市の川内野善治会員から今朝届いた悲痛な訴えです:「江迎町鹿町川のタケノコカワニナを見に行ったら、河床掘削が行われ絶滅していました。市内で消失した個体群はこれで2つ目です。河川改修にあたっては県河川課と私達の「ふるさと自然の会」が、保全に関して事前協議する約束を15年...
投書しました。フェイスブックにアップしていますのでこちらもぜひご覧ください。 facebook.com/akagashi/ [ツイート2個目の]風景画像は今回の掘削後です。タケノコカワニナは1枚目後方のカーブあたりまで多産していましたが、河床が丸ごと削り取られてしまい、全く見られなくなりました」。
ほど前にしていました。しかし、いつからかこの約束が守られず、稀少種への配慮がなされないまま事業が実施されていることがわかり、県に履行の申し入れをしました。そのさなかの今回の出来事でした。県はレッドリストを作るのは熱心ですが、それが全く活かされないのに腹が立ちます。地元新聞にも...
次回の #タモリ倶楽部(26日深夜0:20、関東)は「私は貝を抜きたい!ぬきもちいい貝決定戦〜冬の陣〜」がテーマで、中の人福田が出演します。様々な巻貝の肉抜きを実際に試みたタモリさんたちへ、その意義やコツなどを、以前ツイートした内容(RT)を交えてお話ししました。 tv-asahi.co.jp/tamoriclub/ twitter.com/SocStudMollDiv…
コペムシさん発見のこの貝に対して的確な判断ができる人は、いま世界でも早瀬善正前副会長ただ一人なのですが、その早瀬さんがこの個体をコペムシさんから受け取り、分類学的検討を手掛けるという理想的展開となりました。既に内部形態を検討されて驚きの結果が得られたとのことで、慶賀にたえません。 twitter.com/KOPE_MUSHI/sta…
貝類の長い和名を改めて調べる必要に迫られ、目につく限り拾い上げてみました。唯一20字の大台に達したレーズン〜の首位は不動ですが、19字の種は見当たりません。18字2種、17字3種、16字9種で、15字から急増し、14字は多過ぎて途中で諦めました。15字以上で漏れがあればご教示戴けると幸いです。 twitter.com/SocStudMollDiv…
環境省とヤフオク両者の声がはっきり世に出たのは貴重です。節度なき乱獲へ拍車がかかる一方だったところへ、やっと歯止めがかけられた形で、SNS上の批判も大きく貢献したようですね。 なお、記事中のカワシンジュガイ写真は3枚とも岡山県蒜山産です。小坪さん、使って戴きありがとうございました。 twitter.com/SciKotz/status…
【緊急声明】 軟体動物多様性学会自然環境保全委員会は、石垣島前勢岳でのゴルフ場付高層リゾートホテル建設に反対します。アンパルの湿原と石西礁湖など、予定地周辺の重要な自然環境と生物多様性への配慮がきわめて不十分なまま、環境影響評価が行われているからです。 (同委員会委員長 安渓遊地)
昨晩のNHK大河 #鎌倉殿の13人 7話の開始後13分39秒頃、頼朝と北條氏らが房総半島の勢力図を囲んで軍議する場面が現れましたが、その地図上に面妖な貝殻数個が置いてあり愕然としました。フィリピン周辺産のムラサキマルシジミをはじめ、熱帯産で千葉県からは一切記録のない種が複数映っていました。…
鎌倉時代にこれらの種が登場するのは、南蛮渡来の鉄砲が平然と現れるのと同じくらい斬新な演出です。もちろん作品全体がフィクションなのですから殊更目くじらを立てるつもりはないのですが、せっかく物語に気分良く没入していたのにたかが貝殻数個で集中を削がれ、興醒めしてしまうのが悔しいです。…
NHK大河ドラマでは同様の例が過去にも複数あり、例えば2010年の「龍馬伝」の序盤では、若き日の坂本龍馬が土佐の実家にいた時分、雨上がりに突然、東北固有のムツヒダリマキマイマイが匍匐する映像が大写しで挿入されて絶句しました。ドラマの考証対象に貝類が含まれていないのが残念でなりません。
昔、ドイツのゼンケンベルク博物館にオカミミガイ科のタイプ標本が見たいと頼んだら、「その科を含む基眼類のタイプは先の大戦の戦火で全て灰燼に帰した」と。パラオのペリリュー島には森の中に朽ちた日本軍の戦車があって、その周囲はろくに陸貝がいなかった。戦争は人も貝も分類学をも焼き尽くす。 twitter.com/kamefuji/statu…
ニューギニアヤリガタリクウズムシに捕食されるチャコウラナメクジ(多分)。元ツイ2個目にもある通り、このウズムシは太平洋の島々へ移入されて在来の陸貝を凄まじい速度と規模で食い尽くし、絶滅へ追い込んでいます。小笠原や大東諸島でも被害甚大で、固有陸貝の保全上、目下最大の問題の一つです。 twitter.com/crevicedwellin…