この動画は凄い!交尾です。私は見たことがありません。不勉強にしてこの動画の存在自体、たった今知りました。「先っちょに出ている」のは陰茎で、右の触角の斜め前から外へ突き出されます。雌雄同体で、雌性生殖口は体の右側後方にあるので、互いに陰茎を挿入し合おうとして廻転しているところです。 twitter.com/taketyanman_r/…
肉抜き話の続き。先にご紹介した通り、我々日本の貝人にとって肉抜きは日常の一齣であり、改めて説明するまでもない当たり前のこととして受け止められてきました(画像は最近私が肉抜きした南三陸産エゾチグサとホソウミニナ)。日本の貝類図鑑の多くも、巻末で肉抜き方法を紹介するのが定番でした。..
岡山県の貝類で忘れてはならないのは、殻は二枚貝状なのに実は巻貝のタマノミドリガイ。1959年、岡山大玉野臨海実験所の川口四郎教授(当時)が初めて生貝を報告して世界中を驚かせました。触角も眼も歯舌もあり、殻頂の胎殻は巻いているのでれっきとした巻貝です。潮下帯のイワヅタ類に着生します。…
サザエの話、いきます。4年前、「日本のサザエは新種」と報道されたことをご記憶の方もおられると思います。しかし、その話の元になった論文が、当会が発行に参画しているMRへ掲載されたことはあまり知られていないので、まずその宣伝を。 doi.org/10.1080/132358… 今日は、活字では未公表の(大学の..
長崎県佐世保市の川内野善治会員から今朝届いた悲痛な訴えです:「江迎町鹿町川のタケノコカワニナを見に行ったら、河床掘削が行われ絶滅していました。市内で消失した個体群はこれで2つ目です。河川改修にあたっては県河川課と私達の「ふるさと自然の会」が、保全に関して事前協議する約束を15年...
昨晩のNHK大河 #鎌倉殿の13人 7話の開始後13分39秒頃、頼朝と北條氏らが房総半島の勢力図を囲んで軍議する場面が現れましたが、その地図上に面妖な貝殻数個が置いてあり愕然としました。フィリピン周辺産のムラサキマルシジミをはじめ、熱帯産で千葉県からは一切記録のない種が複数映っていました。…
みんな大好きヤベガワモチ。より新しい画像(2010年、長崎県産)が出てきました。また掌に載せてます(ひんやりして気持ちいいです)。この仲間はアシヒダナメクジ、スメアゴル(日本産はゴクリ)、オカミミガイ、ユキカラマツ等に近縁で、いわゆる普通のナメクジたちからはやや縁遠いグループです。
発表終了後は大勢の人から「私の研究対象はこの分類群だが、何度何秒が適当と思いますか」などと質問攻めに遭いました。同様の質問はあれから14年経った今も時々メールで届きます。多くの論文に niku-nuki の語が平然と現れるようになり、私の当初の目標は達成できました。この時の発表内容は下記..
著名・美麗な種は厚遇されるが、地味な無名の種は軽視される。画像は97年に豪州で開催された無脊椎動物多様性保全シンポ「The Other 99%」の趣旨イラスト。細々とした生き物たちが束になってもコアラ1頭に歯が立たないという風刺です。このシンポを主導したのは「貝人のラスボス」Ponder博士でした。
ところが、20年ほど前から海外の研究者とコラボする機会を持つうちに気付いたのは、どうやら肉抜きを行うのは日本の貝人だけで、他国の人は、殻と軟体の両方を同時に理想的な状態で得るなんて、不可能なこととして最初から諦めていたのです。だから論文にするには同じ種をとにかく多数得ないと何も...
今日はサザエのお話を書こうかと思ってましたが、一昨日のヒミツナメクジを「なにこれかわいい」とお絵描きして下さった方もおられ、マンボウ博士に至っては #ヒミツナメクジチャレンジ なんて妙なタグまで作ってくれて、折角なのでその発見の経緯などご披露します。時は29年前の1992年まで遡ります。
RTの件、学部に抗議しました。ある教員の無思慮な思いつきにより、大した意味もなく伐採されたと判明しました。ここは「トトロの森」と通称されており、つまり今回はトトロ皆殺しです。完全な復元はもはや困難ですが、可能な限り回復を試みることや、再発防止策を講じるよう求めているところです。 twitter.com/SocStudMollDiv…
サザエ後篇。さて、せっかく原記載まで見たので、この機会に私はサザエの分類の歴史を回顧してみようと思い立ちました。画像は私の論文が公刊された時点(2017年5月)までの、サザエとその姉妹種ナンカイサザエの分類上の扱いです。リュウテン科リュウテン属サザエ亜属に.. doi.org/10.1080/132358…
その過程で自然に洗い流され、除去できるのです。この事実はそれまで和文で書かれた簡単な記事はありましたが、国外の研究者の大半はこの時初めて知ったので、壇上の私は聴衆全体が一斉に、文字通りに「息を呑む」光景を目にしました。直前まで大爆笑の渦だった会場が、一瞬で静まり返りました。...
企画され、私も何か喋れと誘われたので、今こそ肉抜きを国外に広める好機と考えて迷わず題材に選びました。昨日のツイートで挙げた英語入りの画像は、その際のプレゼンに用いたものから転用しています。この時の私の最終目標は「niku-nukiを世界共通語にすること」でした。一方、私が発表する直前も...
しかし、この画像から空気が一変しました。軟体を解剖する上でも加熱した肉抜き標本は、生きたままや、直接固定液に浸けたものよりずっと特徴が把握しやすいのです。ズルズルの粘液が程良く固まって気にならなくなるだけでなく、透明な器官も不透明化し、輪廓が明瞭に見て取れるようになるからです。..
論文にして公表し、巻末には実体験に基づく種ごとの最適温度&茹で時間を、約200種について列挙しました。 Fukuda, H., Haga, T. & Tatara, Y. 2008 (25 Jul.). 𝘕𝘪𝘬𝘶-𝘯𝘶𝘬𝘪: a useful method for anatomical and DNA studies on shell-bearing molluscs. 𝘡𝘰𝘰𝘴𝘺𝘮𝘱𝘰𝘴𝘪𝘢, 1: 15–38.
肉抜き第3話。昨日ご紹介したベルギーでの発表の際にもう一つ強調したのが、SMAPの名曲ではないですが「世界に一つだけの貝」、ナガシマツボの肉抜きです。この種は1999年に得た1個体をもとに新種として記載しましたが、その後の度重なる調査にも関わらず、まだ2個体目が見つかっていません。…
結果は明瞭で、なんとBの、肉抜き個体しかうまくいっていません。軟体動物の場合、元々DNA分解酵素を多く持っており、活きのいい生貝でも失敗することが多いのですが、熱を通せば分解酵素は失活できます。また海水中に含まれるマグネシウムも分解酵素の触媒となりよくないのですが、肉抜きすれば..
ヒミツナメクジ科は俗にいうカタツムリやナメクジ等を含む汎有肺類に属し、いわゆるウミウシとは一線を画すので、「陸ウミウシ」という呼称は不適切で混乱を招くだけです。ヒミツナメクジも私はうるさいよ、だって第一発見者&記載者(共著ですが)だもん。その発見の経緯もいずれここに書こうかな。 twitter.com/reraku/status/…
そしてとどめは、芳賀会員がDNAについて挙げたこの画像でした。同じ種(イシダタミ)に対し、A: MgCl₂で麻酔した生貝、B: 肉抜き個体、C: 生きたまま殻を割ったもの、D: 生貝を固定液に直接浸けた標本、E: 死後丸1日放置した生臭り状態、各々の18S rRNA遺伝子がPCRでどの程度増幅できたかを示します。
始まらないと彼らは決め付けていました。私が海外での野外調査で湯沸かし器具を持ち歩き、目の前で肉抜きを披露すると、他国の研究者は例外なく驚嘆しました。そうするうち、2007年にベルギーで世界軟体動物学会 World Congress of Malacology が開かれた際、「微小貝類の研究方法」というシンポが...
六角川河畔で見た興味深い表示。スクミリンゴガイの凄まじい増殖速度を考えると、「撲滅」の達成には一水路あたり何匹のスッポンが必要か、そしてそれはどこから連れて来るのでしょうか? 想像を様々に掻き立てられます。しかし水面からちらっと見ただけでは、両種とも存在を確認できませんでした。
出だしは昨日のツイートに挙げた、鍋で巻貝や二枚貝を煮る画像や、「湯沸かしポットが便利」などと説明し、その辺りまでは世界中から集まった聴衆が爆笑していました。これには「日本人何考えてんだ」「加熱した標本が検討に耐えうるのか?」など冷ややかな目も少なからず混ざっていた気がします。..
他国の研究者が「DNAで複数種存在すると判明したが、もはや殻を割ってしまって標本がないので、すぐに論文にできないのが頭が痛い」などとぼやく発表が実際にあり、そのような状況下で、私と共著者の芳賀拓真会員(現、国立科学博物館)は、二人で漫才形式で発表すべく、揃って壇上に上がりました。...