以前、某市当局から「牛がみるみる痩せて衰弱し、便から肝蛭の卵が出た。貝が媒介するらしいが対策は?」と相談され、畜舎の水呑場にヒメモノアラガイが大量に湧いてるというので「元凶はそれだ! すぐ干上がらせて一掃!」とお答えし、効果覿面でした。画像はその時の「成功報酬」として戴いた肝蛭標本。 twitter.com/legendofhotdog…
どこで息継ぎすべきかわからない場合もありますが、貝人はこれらの名を正確に諳んじて流暢に口にします。15〜16字程度は決して珍しくありません。 ちなみに、現時点で最も長い貝類の和名はレーズンイリムシパンサンショウガイモドキ、20字です。この和名を命名したのは私自身で、殻を見た瞬間…
現在改訂作業中の環境省RLでは、ハマグリの選定と評価を私が担当する予定でしたが、先日突然水産庁が「こちらでやるから」と一方的に宣告してきました。まさか、RL対象外としたくて囲い込むのではないでしょうが、口出し無用というなら責任を持って、現状に即した妥当な判断をお願いしたいものです。 twitter.com/SocStudMollDiv…
「あらゆる生物は繋がっている」は生態学的には圧倒的に正しいですが、倫理的にはやや足りないと思います。「組織の中の歯車・齣」的な、個別存在の軽視や疎外に陥る危険があるので。だから「繋がっている」だけを強調すべきではなく、「繋がっているけど、同時に、個々に独立」が望ましいでしょう。 twitter.com/oikawamaru/sta…
今日はヤベガワモチの過去ツイになぜか反応が多く、発端はRTの見事な動画のようですね。帰家行動は本種以外にもドロアワモチ科の複数の種で研究例があり、潮の干満に乗じて外出・食事し、また帰宅するそうです。巣孔は自前の場合もありますが、蟹などによる「既製品」を拝借することもあります。… twitter.com/tottoryuune/st…
途切れることなく崩御まで続き、貝に関する記述はこの実録の中に381回も登場します。つまり昭和天皇の生涯は常に貝類学とともにあったと言えます。このような天皇ですから、東條がサザエを比喩として持ち出した時、「サザエの学名も命名者も知らんやつが下らんことを言うな!」と激怒したとしても、…
いう、普通なら貝類分類学者しかしないような発言が飛び出たのです。叱られた東條は「しまった!」とばかり顔を顰めて「不適切でございました!」と詫び、退散します。映画では東條はこのせいで天皇の翻意に失敗し、日本の降伏への最後の大きな障壁の一つがクリアされたかのごとく展開します。つまり..
東條は陸軍をサザエの殻に喩え、殻を失ったサザエはその中身も死に至ると述べた、と確かに明記されています。このことは歴史学者保阪正康の著作でもやはり史実として言及されています。さらに映画の原作者半藤一利も「サザエの会話の記録が確かにある」と明言しています。したがって降伏を巡り天皇と..
シャコが激減なら、その腹面へ特異的に付着して生きる二枚貝コフジガイは尚更危機的な状況でしょう。前世紀までは、鍋で瀬戸内海産シャコを茹でると底へこの貝が多数転がっていたものですが、今や絶滅危惧種です。画像は2008年岡山市内のスーパーで購入したシャコ10個体中、1個体にのみ見られた個体。 twitter.com/KagawaTimes/st…
東条英機陸軍大将が、天皇に降伏を翻意させるべく宮中に単身乗り込み、反対意見を奏上します。その場面で東條が放った台詞は「陛下のお好きな生物学に喩えて言えば、軍はサザエの殻と申し上げてもいいのであります。殻を失ったサザエは、その中身も、死なないわけには参りませぬ!」でした。それまで..
東條が交わしたサザエの激論は、紛れもない史実なのです。ならば天皇はその時、実際には何と答えたのでしょうか? 映画に現れたサザエの学名と命名者についての発言が、本当になされたのでしょうか? 一番知りたいのはそこですが、残念ながら私は明確な記録を見出せませんでした。そこで私は、その..
#新種発見のエピソード サザエ番外編。一昨日の後篇で、かつてサザエを指す学名は2つ存在したものの、共に使用できないので新種記載したとご説明しました。その1つはモーリシャスの種と被ってしまった𝘛𝘶𝘳𝘣𝘰 𝘫𝘢𝘱𝘰𝘯𝘪𝘤𝘶𝘴ですが、もう1つは実は「トンデモ学名」で、話の流れを遮ってしまう..
カヤノミカニモリの件、「高校生が」「9年かけて」「環境省から表彰」という経緯は私も慶賀にたえませんし、だからこそ新聞記事にもなったのでしょう。でも、それらに当てはまる研究は従来も多数ありました。他方、カヤノミカニモリの飼育下での全生活史解明は、人類史上初のことです。だから私は...
16日の眼遊さん@ganyujapanによる万バズツイート「アワビの顔」について、朝日新聞withnewsから解説を依頼され、先ほど記事が配信されました。この機会に、様々な貝類それぞれの個性的な「顔」にご注目いただければ幸いです。 @withnewsjp withnews.jp/article/f02207…
「生物多様性の根幹」について長めのインタビューを受け、南三陸サスティナビリティセンター発行のフリー冊子『海の恵みに迫る危機』にこのほど掲載されました: m-sustainable.org/works/writing-… ニシザワマキコさん@makkotwittによる見事な挿画付きです。この絵はRTの「その他99%」の原図を踏まえています。 twitter.com/SocStudMollDiv…
二枚貝類の水管の形態は分類群ごとに様々で、殻の多様さとはまた一味違う面白みがあります。例えばサクラガイの生貝を深夜、清浄な海水中に横たえて暗闇で放置すると、しばらく後に予想外に細長くて白い、素麺みたいな一対の水管を伸ばしてリラックスするので、初めて目にすると「きゃー」となります。 twitter.com/SocStudMollDiv…
人は生まれた後、どんな場面で「かたつむり」の存在を最初に認知するのでしょう? 私の場合は5歳の時、実家の前に転がっていたものを見たのが最古の記憶ですが、45年後、その種は新種とされました。18日の #ダーウィンが来た にも登場予定のチョウシュウシロマイマイです。… doi.org/10.1080/132358…
さらにKeen & Smith (1961)はこの類の再検討論文を公表し、その緒言では、タマノミドリガイの生貝発見は当時「20世紀貝類学最大の発見」と称された単板綱ネオピリナに匹敵するとまで讃えられています。画像は川口先生がKeen博士へ提供し、後に何度も転載された写真です。… biodiversitylibrary.org/page/15772457
台詞の蓋然性と妥当性を、貝類分類学の立場から検証すべく方針変更しました。そのためにはまず、サザエの学名 𝘛𝘶𝘳𝘣𝘰 𝘤𝘰𝘳𝘯𝘶𝘵𝘶𝘴 の原記載を見ておこうと考えました。それはカタログ・オブ・ポートランドという、ジョン・ライトフットが1786年に刊行したとされる本に含まれています。当時...
連鎖の上にようやく見出され、関わった全ての人それぞれの努力の積み重ねや邂逅によって、初めて記載命名が成就するのかもしれません。 #新種発見のエピソード
される」、「分類を試みられる」とあり、これが最初の記述だそうです。そして明治44年11歳の時には益々貝にのめりこみ、朝も夕も寝る時も食事の間も貝のことが頭から離れないようだとか、貝に熱中しすぎて困るのでブレーキをかけねばならぬ、とまで書いてあります。天皇の貝類学への情熱はその後も…
きました。一方、1967年以降はライトフット説が優勢です。重要なのは、命名者をライトフットと見なすようになったのは1960年代以降に限られる点です。ここで、映画の天皇と東條の場面を思い出して下さい。あれは1945年の設定です。当時の天皇がライトフットという名を口にする可能性はありえません。..
文献をいじった後、20時55分頃帰宅しました。時間を正確に覚えているのは、そのタイミングこそがサザエと私の運命を変えた要因の一つだからです。私はいつも通り、自室の灯りに続けてテレビを点けました。朝視ていた、テレ朝系のままになっていて、画面に映画「日本のいちばん長い日」この後すぐ!と..
思います。 最後に。終戦間際の東條英機が天皇の前でサザエの名を口走らなければ、それが映画に描写されることもありませんでした。そして5年前のお盆に、その映画がテレビ放映される直前に帰宅しなければ、多分私は今も視聴の機会がないままだった可能性が大です。その場合、わざわざ…
#ハチSOS ハチの干潟のLNG火電計画が、このたび「中断」されました。理由はウクライナ危機による燃料価格高騰のためとされ、県への水域占有許可申請も既に取り下げられ、計画再開は未定とのこと。しかし白紙撤回ではないので、当会では今後も注視し、議論を続けてゆきます。 chugoku-np.co.jp/articles/-/275…