201
「ノー」を言えず悩む人は多い。
だが実際は断れないというより、「断ってはいけない」「断らない方が良い」と察していることがある。
幼少期の大人との関係から、頼まれたことを断ると『良くないことが起こる』と知っているとそうなりやすい。
引き受けるストレスより、断る恐怖が勝ってしまう。
202
203
幼少期に愛された経験が、「うまくいく気がする」「大丈夫」という自信を生み出す。何か出来ても出来なくても、自分には価値があることを親が教えてくれる。
だがその経験が不足している場合、なぜかうまくいかない気がする。
「どうせ何も変わらない」と始める前から諦めてしまうのには理由がある。
204
アダルトチルドレンにとって笑顔は、自分を守る仮面。
落ち込んでも辛くても限界でも、笑顔でいれば気づかれない。気づかれないために笑うが、本当は誰かが気がついて救い出して欲しいとも願う。
傷つけられないための防御として「怒り」を使うこともあるが、多くの場合は相手を傷つける意図はない。
205
206
「未だに過去に縛られているなんて」と、自責する必要は全くない。
心が柔軟な幼少期に習得した行動、思考、人間関係の作り方は自分の基礎として残る。知らないうちに「性格の一部」のように身につき、大人になった時の生きやすさに影響を与える。
だからこそ縛られていると気づけたのは大きな一歩。
207
自分の名前を呼ばれるだけでドキッ…としたり、焦ったり、ソワソワする人がいる。
子どもの頃、励ましたり褒められるよりも、怒られたり指摘されることの方が多いとそうなりやすい。「名前を呼ばれる=良くないことが起こる」と思ってしまう。
その影響が強いと、条件反射でビクッとなることがある。
208
209
遊びに行きたいけど、家にいたい。
一人になりたいけど、誰かに傍にいてほしい。
仲良くなりたいけど、自分のことを知られるのが怖い。
両価性(1つの物事に相反する2つの感情を同時に抱く)が強く出ることがある。
本人もどうしたらいいか分からず、大きなストレスを抱えてしまう。
210
211
212
親に遠慮して生きてきたACが、大人になって人間関係を自ら壊し後悔することがある。
相手を好きで理解したいし、大切にしてずっと一緒にいたいのに、感情的に攻撃してしまい自己嫌悪に陥る。
「好き」の言葉を信じられず、愛が分からず苦しみ、大切な存在がいつか自分から去っていく恐怖を感じる。
213
214
モラハラやパワハラ、毒親の怖さは、離れてもなお影響を及ぼすところ。
相手と似たような人を見ただけで怖くなったり、相手から連絡が来るだけで胸がバクバクしたりする。被害に気がついてからの方が「酷い辛い」と訴える人は多い。
これまで麻痺していた心が、離れることで「感じる」ようになる。
215
216
ハラスメント加害者は「外から見た自分」のイメージを大切にする。
だから攻撃するのは、やさしいパートナーや子ども、特定の人だけ。それも家など周囲の目が届かないところでしか攻撃しない。
一歩外に出ると優しくて物静か、人当たりが良い、おとなしそう、優しそうという印象を与えることも多い。
217
218
毒親育ちだというと、「甘えている」「親のせいにしている」と非難されることがある。
だが、そうではない。
実際には、子どもらしく甘えられるはずの幼少期に甘えられなかった。そもそも人のせいにしていたら、大人になってこんなに苦しまない。
甘えてはいけないという発想こそ、過去の呪縛なから。
219
大人たちの「普通」に苦しむ子どもたちがいる。
特に身近な人や大切な人からの「普通は○○なのに…」という言葉は、全否定されているようで辛い。
おかしな行動をしていないか、変に見えないだろうか、どう思うか、何を選べば納得するのかと、「普通」のラインを探し求めるうちに「自分」を見失う。
220
221
誰かが辛そうだと、自分が疲れて限界なのに動いてしまうと悩む人が増えている。
「私は家政婦じゃない」「働かざるもの食うべからず」など、過去に見聞きした親の言葉に駆り立てられることもある。
人間関係のベースは親子。
過去の罪悪感や恐怖が、大人になった時の「やらなきゃ」に繋がる。
222
相手に尽くすのがダメなのではない。
尽くすことが自分の喜びになっているのならそれも1つの幸せの形。
でも、自分の無価値観(私には価値がないという不安)を隠すために尽くしすぎると関係が長続きしない。自分の気持ちがおいてけぼりになり、気がついた時には疲れてしんどくなってしまう。
223
脳は、思っていることを現実にしようとする。
「こうなりたい!」と願いながら「どうせ私には出来ない」と思っていると、無意識に『出来ない』行動をとってしまう。
実は、これは幼少期に作られやすい思い込み。
励まされるはずの時期に、否定や心配ばかりされると「できない」イメージが強くなる。
224
225
ACは、親が必死になって守ろうとする「世間体」のために自分を犠牲にする。
その家で少しでも平和に生きていくため、親を悲しませたり怒らせないために、自らそうすることを選ぶ時もある。
…正確には、そうするしかなかった。
理想の家族を演じて周囲から褒められ羨ましがられるたび、心がすり減る。